Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

ヤマザキマリ「テルマエ・ロマエ」最終巻

2013-07-01 00:34:21 | 読書感想文(コミック)


温泉町・伊藤のインテリ芸者さつきにやっと愛の告白をしたかと思いきや、古代ローマに呼び戻されたルシウス。
死の床にある皇帝のために浴場施設建設に打ち込むが、さつきのことが忘れられず苦しい日々が続く。
一方、現代日本でさつきもまた、ルシウスと再会できる可能性を求めて、彼が造った浴場施設の遺跡がある
イタリアのバイアエへ発掘調査に行くが…


※ここから先は重大なネタバレがありますので、ご注意ください。







「テルマエ・ロマエ」最終巻は、時空を超えたお風呂コメディが時空を超えたラブストーリーになってました。
まあ、ルシウスの伴侶にぴったりのスペックを持ったさつきが登場したときから、こうなるのは仕方ない感じでしたけどね。
ストーリーにお風呂ネタがあんまり出てこなくなってたし。ルシウスとさつきがハッピーエンドになるには、さつきが
古代ローマに行くのが一番落ち着くだろうし。さつきのために古代ローマでの風呂造りを捨てるルシウスなんて
無理がありすぎますもんね。かといって、さつきがルシウスのために現代日本での仕事や生活を全部捨てちゃったのは
ちょっとひっかかりますけど。いっそのこと「パイレーツ・オブ・カリビアン」のエリザベスとウィルみたいに、
数年に1度会えるくらいのほうがよかったんじゃないかとか…でもそれだと2人が会えるためのルールが必要に
なっちゃうから面倒くさいか。

最終巻は引き裂かれたルシウスとさつきの悲恋がどうなるのかがメインかと思いきや、さつきのお爺ちゃんの
鉄さんが、さつきのバイアエ発掘調査の資金集めに走ったり、古代ローマにタイムスリップしたりと大活躍する
巻でした。鉄さんにページを割いた分、ルシウスとさつきの再会が雑だったような気もしますが。

でも、ルシウスが伊藤にタイムスリップしたこととリンクする、皇帝ハドリアヌスの最期の入浴の場面はヤマザキさんの
思い入れが伝わってくる圧巻の場面でした。まさか信楽焼のタヌキがあるとは思いませんでしたけど。その後のルシウスと
さつきの再会より、この場面こそがヤマザキさんにとっての“『テルマエ・ロマエ』のラストシーン”なのかもしれません。

単行本収録のエッセイによると、最終巻が駆け足で終わったので、はっきりしないままに終わったその他の登場人物に
ついてのスピンオフを描く計画があるようです。伊藤の温泉町がその後どうなったのかとかそういう話なのでしょうかね。
さつきのお爺ちゃん、鉄さんの半生とかでもいいですが。多分、最終巻を読んだ人は皆、鉄さんがどんな人生を送ってきた
人なのか気になっていると思うので。

あと、タイムトラベルものではよくある話ですが、未来からやってきたさつきはこの先ローマ帝国がどうなるのか
当然知っているわけで、その上でルシウスと暮らすのはいろいろ苦労がありそうですね。まあ、このマンガでは
タイムパラドックスのことは気にしてないみたいなので、問題ないのかな。

何はともあれ、ヤマザキマリさん、お疲れ様でした。次にテルマエが話題になるのは映画の第2弾が公開される時かな。



コメントを投稿