Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

映画「百万円と苦虫女」(10月19日)

2008-10-21 00:59:53 | 映画



「百万円貯まったら、この家を出て行きます」
佐藤鈴子(蒼井優)は21歳のフリーター。ルームシェアした相手とのささいなトラブルが原因で前科者になってしまった鈴子は、弟の拓也(斎藤隆成)との口げんかをきっかけに、アルバイトで貯めた百万円を元に家を出た。目指したのは“自分を知る人がいない場所”。ある時は海の家でアルバイトをし、またある時は山奥の農村の桃農家に住み込みで働き、通帳の残高が百万円になるたびに鈴子は居場所を変える。しかし、農村の後に訪れたある地方都市で、鈴子はバイト先で出会った大学生中島(森山未來)に恋をして…


「百万円と苦虫女」公式サイト

※ここから先はネタバレしてるよ!気をつけてね!!


…いやー、なんというか、身につまされる映画でした。

人づきあいが苦手(学校ではいじめられてた?)で、自分の言いたいことをうまく言えず、気がついたら“前科者”と呼ばれるようになっていた鈴子。“自分を知る人がいない土地”に行けば、他人と、そして自分と向き合うことから逃げられると思ったのに―

海編:海の家で地元の青年(竹財輝之助)にナンパされる→逃げる
山編:桃農家で働いていたら、桃のキャンペーンガールにされそうになる→前科があることを暴露するも、雇い主母子(佐々木すみ江&ピエール瀧)に優しくされる
街編:バイト先の中島君に恋をして…?

と、違う土地に移動するたびにどんどん他人との距離が縮まっていき、街編ではとうとう中島君に自分の思いを告白するまでに至ります(この場面がまたキュンキュンで)。しかもなんと両思い!めでたしめでたし、よかったねぇ鈴子…ではなくて、鈴子の試練はまだまだ続きます。この“両思いになってからの試練”がまた、ヘタな失恋よりもやっかいなんだよねぇ(遠い目)。自分を出しすぎても、当然人間関係は上手く行かないけど、相手の顔色を窺って言いたいことをガマンしてたら、結局自分も相手も傷つけてしまう…相手を思う気持ちを素直に伝えられない21歳の鈴子と中島君のもどかしい姿に、自分のあまじょっぱい(というかしょっぱいだけ)過去を思い出して、椅子の上から5センチ腰を浮かしてしまいました。あの頃の私がこの映画を見てたらもっと違う未来が…(ますます遠い目)。あ、いやいや。

海編は結構あっさり終わってしまいましたが(なんせ相手が未来予想図)、海の家の小さな男の子と鈴子の仲良しぶりが、鈴子と弟の絆と重なって微笑ましかったです。まさかこの時は鈴子が拓也に手紙を出してないとは思ってなかったし。

山編は海編より出演者のキャラが(ものすごく)濃くて、喫茶店のマスターの笹野高史に桃農家のお母さんの佐々木すみ江、内気な息子のピエール瀧と、山奥の村にしてはパンチがききすぎるメンツが揃ってました。特に瀧は出てきた最初から怪しさ全開で、その言動にいちいち笑わされましたが、窮地に陥って素性を暴露してしまった鈴子をかばう姿にはちょっぴりしびれました。瀧なのに。瀧なのに!でも、瀧が鈴子に言った「嫌なら嫌ってはっきり言わないと」という言葉は、その後の鈴子の行動にもあてはまるんだよなぁ。鈴子が中島君にはっきり「嫌!」と言えてたら…でもそれができないのが恋ってものなのかも?(話が戻ってるがな)

鈴子の物語と並行して、映画では東京に残っている拓也の物語も描かれます。拓也を演じてるのは人気子役の斎藤隆成君。彼は「流星の絆」にも功一の子供時代役で出ていますが、演技うまいですねー。台所で弁当を作る鈴子に「ほんとに出て行くの?」と聞く場面やクライマックスでいじめっ子たちのほうに向かって歩いていく場面の表情には驚かされました。これから「流星の絆」でどんな演技を見せてくれるのか楽しみです。

ラストシーンはどう解釈すべきなのか、見終わってからも24時間以上ずっと悶々としてしまいました。なんせ私は蒼井優も森山未來も大大大大大好きなので、鈴子と中島君には幸せになって欲しかったのですが…やっぱりあのラストはアレがナニしてそうなったのかなぁ…?でもまあ、個人(=私)が頭の中でどう解釈していようと問題ないから、とりあえず受け入れられるまでは自分の好きなように解釈していようかな?

アパートってそんな短期間で引っ越せるのかとか、今日び短期のアルバイトはそう簡単に見つからないぞとか、いろいろ気になるところはありますが、あまり追求するのもなんなので受け入れることにします。それでもアパートの保証人の話はひっかかるけどね(ありえなさすぎだ)。


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