Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

「わたしを離さないで」第7話。

2016-02-27 00:14:10 | テレビ・ドラマ


今週も「わたしを離さないで」を見ました。

裏の日テレで「八日目の蝉」をしていたので、視聴率はそっちに持ってかれたかもしれませんが、あちらはあちらで番組の枠に合わせるためにいっぱいカットしてそうなので、見たらこのドラマとは違う種類のフラストレーションが溜まりそうだと思います。

さて、「わたしを離さないで」第7話はどうだったかというと、原作のクライマックスへじわじわと向かっていく、序章のような回でした。
恭子に紙粘土を買ってきてもらって、塑像を作る美和。友彦が描いた絵、そして恭子に届いた提供の通知書…「提供」を命じるハガキがピンク色なのは、赤紙を意識しているのでしょうか。ちょっとベタですが。でも、7話の冒頭で馬場園ちゃん演じる珠世が「自分も提供が始まる」と恭子に告げる場面で、常に眉間にしわの寄ってる恭子たちとは違って明るい雰囲気の彼女もまた犠牲になるのだと思い、こんなことおかしい、この世界は間違っていると憤った直後に、恭子のもとに「赤紙」が届いたのは皮肉が効いています。

恭子に届いたハガキは何かの手違いだったようですが、恭子がそのハガキを市役所に持って行ったのが衝撃でした。恭子たちの住む世界では、市役所に「提供」の窓口があるんですね。それにしても職員の対応がいかにも「お役所仕事」なのは、恭子たちの存在があの世界ではごく普通のことなのかなと思うとぞっとします。窓口の職員には、恭子や美和や友彦が何に見えるんでしょう。自分たちと同じ、血の通った人間?それともスペアの部品?

今週は話があまり進まず、恭子と美和の関係の変化がメインでしたが、綾瀬はるかと水川あさみの2人の演技合戦が圧倒的で、とても見ごたえがありました。学苑やコテージにいたときは攻撃的だった美和が、最期が近づくにつれて虚勢を張らなくなり、素直になっていく様子から目が離せませんでした。寂しい、悲しい、嬉しい…表情のひとつひとつに複雑な感情が込められているんだろうなと想像しながら。ここにきてようやく自分の気持ちに素直になったのかなと思うと切ないですが、友彦の体調を本気で心配する美和の姿は、とてもかわいく見えました。今まで、水川あさみを見てかわいいなんて思ったことないのに(←失礼)。回復センターで、いつも提供者仲間と楽しそうに過ごしている友彦と、恭子以外に話す人はなく、個室に1人でいる美和は対照的でした。美和も、もっとはやく素直になっていれば、誰かと楽しい時間を分かち合えたのかもしれません。同じ運命をたどるなら、どちらがより良いのかわからないけれど。恭子が介護していた加藤のように、何もかもふっきれたような顔で最期を迎えられる人は、そういないだろうし。

美和に変化があったのに対して、恭子の方はというと、美和に対して「ぶっ殺してやろうと思った」と、物騒だけどようやく本音を口に出せました。これくらいではちょっと物足りないけど、筋金入りの優等生の恭子には、これが限界なのかな。見ているこちらはそれくらいではスッキリできないんですけど。もっと言ってやれよ!とテレビに向かって突っ込んだ人は大勢いるに違いない。

ほぼ死を意味する「三種同時提供」が決まった美和と、提供後の体調がよくない友彦を連れて、恭子が向かったのは座礁した船のある浜辺…ではなく、かつて陽光学苑があった場所。ドラマオリジナルなので何が起きるかわかりませんが、予告を見た感じだと美和が2人に告白をするみたいですね。そして美和は最後の提供へ…?予告で流れたセリフだけで、次回の内容がだいたいわかったような気になっていますが、さて実際に見たらどうなんでしょう。いい方向に予想を裏切ってほしいです。

全編重苦しいドラマですが、唯一笑えたのは友彦が「美人 + 巨乳」で恭子を連想したこと。恭子がコテージでつけられたあだ名“デカメロン伝説”がよほど印象に残っていたんでしょうか。その後の美和のセリフ、「(友彦が興味あるのはサッカーと)体だけ」に説得力を与えてました。


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