「わたしを離さないで」の第8話を見ました。
おそらく最後になるだろう提供を目前に控えた美和の希望で、友彦と一緒に陽光学苑の跡地を訪ねた恭子。
しかし、そこで見たのは幼い頃の自分とそっくりな、目はうつろで何の感情も持たない少女だった。
そして美和は恭子と友彦に自分の本心を打ち明けて、2人に「猶予」を勝ち取ってほしいと訴える…。
うーん、今週も
なんかものすごいものを見せられた
という感想しか浮かびません。重すぎて暗すぎる内容だし、視聴率も散々のようですが、毎回見終えるたびに「このドラマを見ると決めてよかったな」としみじみ思います。
ドラマ前半、提供者になる運命の子供たちが、恭子たちよりももっとひどい環境で、人間性のかけらもない生活をさせられているのを見たときは、
「はっ!だからといって“陽光で感情豊かに育った分、恭子たちはこの子たちよりマシ”だなんて思わされないぞ!」
と鼻息荒くしていた私ですが、最後の提供に運ばれていく美和に、恭子が
「私たちは天使だから」
と諭す場面ではっとさせられ、鼻息がぴたっと止まってしまいました(呼吸は口でしました)。
「あなたたちは天使なのです」
恵美子先生が、恭子や美和や友彦に言った言葉は欺瞞だと今でも思ってはいるのですが。
結局、自分たちの運命から逃れられない恭子たちにとって、恵美子先生の言葉を真実だと思うしかない、それにすがるしかないのだと気づかされて、とてもやるせなかったです。
今週は美和の退場回だったので、美和は友彦と恭子に本心を打ち明けて、3人の間にあったわだかまりがようやく溶けました。普通のドラマなら美和のしでかしたことはヒドすぎて、「今更謝ってもおせーよ!」と突っ込みたくなるところですが、このドラマの場合事情が事情なので許せます。美和にとって恭子は世界のすべてで、恭子を奪われるのが怖くて好きでもないのに友彦と関係を持ち、あげく恭子とも断絶してしまった…自業自得だけど、彼女の境遇を思うと責められません。最後の提供に連れていかれる時の、子供のように泣きじゃくりながら「わたしを離さないで」と叫ぶ美和の顔と、恭子になだめられながら覚悟を決めて手術室に入った時の顔を見れば。この場面、水川あさみと綾瀬はるかの演技のやりとりがすごくて、“テレビドラマから受ける衝撃”を今年1年分使い切った気がしました。いや、昨日の「ちかえもん」最終回でもだいぶ使ったけど。それに負けないくらい今日の「わたしを離さないで」もすごかったです。
来週、ついに恭子と友彦は「猶予」をもらうために恵美子先生のもとを訪ねるわけですが、多分…アレですよね。2人が「猶予」をもらえるかどうかより、恵美子先生が庭で焼いていた家族写真(のようなもの)が何を意味するのかが気になります。あの赤ちゃんと陽光学苑に何か関係があるのでしょうか。来週も切ない展開になりそうです。ハンカチは3枚用意しとかないと。
余談ですが、恭子が美和に「私たちは天使だから」と言う場面で、ふと「マッドマックス 怒りのデス・ロード」に出てくるウォーボーイズを思い出しました。「英雄の館」に迎えられると信じて、イモータン・ジョーのために命を捧げるウォーボーイズを。だとすると美和の「わたしを離さないで」は、ニュークスの「俺を見ろ(witness me)」なのかな、と。あんまり考えてると、友彦が銀のスプレーで歯をシャーッ!ってやるのを想像しちゃうからいかんけど。来週、恭子はフュリオサになれるんでしょうか。なってほしいけど、どうなんでしょう。
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