【人生に歓喜の瞬間は幾度もない。そんな人生の最高点に達した”なでしこ娘”=jiji.com】
かみさんのホームページ『阿部りつ子の女川町(おながわちょう)便り』
『国民栄誉賞』が確実になった”なでしこ”を祝福!
7月17日夜、おらは眠れず18日未明になった。
午前3時40分になり、いよいよ女子サッカー界の頂点に君臨するアメリカへ、”なでしこジャパン”の挑戦が始まるのである。
おらの血が騒ぐのは、おらも若かりし頃は、サッカー小僧だったからである。
仕事中に7mの高所から落下して重傷を負った結果27歳で引退したが、その過去を話すと誰しもおらの体を見て(車椅子の身障者)一様に驚く。
おらのポジションは、高校2年までは背番号5のセンターバックであったが、高校3年の時にわがままを言って以降社会人になっても背番号5のまま、センターフォワードだったのである。
背番号5に拘ったのは、当時ワールドカップで優勝した西ドイツ(懐かしい国名である)代表キャプテンの、ベッケンバァウアーに憧れていたからである。
友人の一人は背番号14に拘り、彼はオランダのクライフのファンだったのである。
もちろん30年も前の事で、今のサッカーシステムと大違いなのは論を待たない。
さて、おらの事はともかく、女子ワールドカップに移ろう。
言うまでもなく皆さんご承知の通りアメリカとの決勝はもちろん、決勝トーナメントに入ってからの”なでしこ”の強さは驚異的だった。
予選リーグでイングランドに、0-2で敗れたのが良かった、との声が多い。
決勝トーナメントの第一回戦で、いきなりWカップ2連覇中で3連覇を狙う開催国の強豪ドイツと当たり、場内はもちろんドイツ応援一色であったが、サッカーの世界では当たり前で、”なでしこ”は完全アウェーだったのである。
しかし延長の大熱戦を演じ、残り時間わずかの終了間際の時間帯に、澤からの絶妙なスルーパスを受けた丸山が角度のない位置からシュートを放ち、それがものの見事に決まったのである。
大サポーターの声援を受けるドイツを破ったのであるから、これは面白い事になったと思った。
そして北欧の強豪スェーデンをも3-1で破り、メダルを確実にした後の彼女たちのコメントは、自信を持った力強いものであったが、何やら平常心でいるように見えたのは、おらだけだったのだろうか、本気でてっぺんを狙っていると思った。
決勝のホイッスルが鳴った。
ボールポゼッション(支配率)は圧倒的にアメリカだったが、”なでしこ”は落ち着いていた。
日本は過去24戦で3分け21敗と白星を挙げたことのなかったアメリカに対し、持ち前のスピードとテクニックで対抗し、前半を0-0で折り返したのである。
しかし後半24分、警戒していたアメリカのモーガンにゴールを割られてしまったが、ここから”なでしこ”の本領が発揮され、36分、宮間選手の冷静な技ありゴールで追い付いた。
延長戦に突入たが、延長前半14分に最も警戒していた、アメリカの180㎝の点取り屋である逞しいワンバック選手に、強烈なヘディングシュートを豪快に決められた。
【動画で見ると瞬間的な早さだが、三つに分けたら澤の凄さが解かる=euro TV】
しかし粘る”なでしこ”は、延長後半12分に、宮間選手のニアへのコーナーキックに飛び込んだ澤が、男子の世界レベルでもなかなか見られないゴールを決めた。
競り合う相手DFより、ほんの一瞬早く右足左側を使った芸術的ゴールは、勢い余って転倒する澤の進行方向と逆方向に、矢のようなスピードでネットに向かい突き刺さったのである。
延長で相手に先にゴールされると、肉体的な疲労もあり「がっくり」来るものだが”なでしこ”はそれを克服して再度追い付いた時、おらは一人で欣喜雀躍したのである。
【左=澤の”居合抜き”を想わせる切れ味の同点ゴール。右=諦めない仲間達=共同通信】
さぁPK戦になった。
おらの掌は汗ばんでいた。
先行はアメリカで、中央寄りに蹴ったが、ゴールキーパーの海堀は右に山を張り、飛んだ。
中央寄りに来たボールで海掘は飛び過ぎたかに見えたが、海掘は横っ跳びの体勢でボールから目を離さず、執念で右足で蹴り出したのである。
【海掘は正に守護神だった。一本目を止め二本目はバーの上方に、三本目も止めた=FNN】
それからアメリカの選手たちは、完全に浮足立ってしまったようで、二人目はゴールマウスの上にふかし、三人目を海掘が再びスーパーセーブで止めたのである。
アメリカは三人連続で失敗し、この時点で勝負はついた。
日本の四人目のキッカー二十歳の熊谷が天を見上げて大きく息を吸い、助走に入った。
ボールは、マウスの左上に綺麗に突き刺さった。
サッカーのワールドカップで、”なでしこジャパン”が世界の頂点に立ったのである。
男女を通じて初めてであるが、女子サッカーは男子とレベルが違うから価値は低いと言うご仁もいるらしいが、おらは全然そうは思わない。
確かに、まだ男子サッカーのように全世界に普及していないかも知れないが、世界の名だたるサッカー強豪国が並んでいるのである。
ワールドカップ・・・それは男女を問わず全世界を魅了するスポーツであり、こんなスポーツは他にないし、その頂点に立った”なでしこ”は、紛れもない『世界一』になったのである。
”あきらめない”を復興の合言葉”がんばろう”と置き換えよう!
被災地から、万歳・ばんざい・バンザイである。
いろいろな芸能人や著名人が各地の被災地に入った。
その方々が語る言葉は「被災者から逆に元気をもらった」が多かったように記憶している。
別にそれに異を唱えるつまりはないが、何かしっくり来ない。
それに比べて”なでしこ嬢”たちの言葉は、爽やかだった。
「試合前に監督から被災地の動画を(写真だったか?)を見せられ、奮い立った。私たちらしく最後まで諦めないでやろうと思ったし、事実決勝戦前半に先行された時、誰も諦めていなかった。まだ行けるとみんなが思っていた」
「頑張ろう」では、なく最後まで「諦めない精神」こそ被災地に相応しい。
「がんばろう」といわれても、何かも無くし徒手空拳で何を頑張れというのだろうか。
「ねっ、辛くても諦めないで生きて行こう」と言われた方が、余計相手の思いやりずしんと胸に来る。
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