高名な教授の講演に違和感を感じてしまったがじゃ
地元住民の参加者の少なさを危惧する
11月27日(土)に、宮城県女川町の中心部にある生涯教育センターちゅう場所で、『もっと知ろうプルサーマル~プルサーマルシンポジウム2010~』が、午後1時半から4時15分まであったがや。
毎日新聞は、聴衆は370人だったと報じているが、おらが見た感じじゃもう少し多かったように思っちょるが、これは瑣末な事でなく、いかに多くの町民が聴きに来たのかは大きな関心事であるわな。
もし、地元聴衆の構成比が以前開催された『プルサーマルの必要性、安全性及び耐震バックチェックに関する住民説明会』の時のように、半分にも満たないんでは、町民のプルサーマルへの理解が進んでいるとは思えんのじゃが、多分不参加は当局に白紙委任したと解釈されるんじゃろな。
おらがこん企画を知ったんはGooglアラートでじゃったから、知ったその瞬間に、メールで参加希望を県に送ったんじゃ。
ほんで開催一週間前に県から送られてきた入場整理券の受付番号を見たら、なんとかみさんが1番でおらが2番じゃった、っつう事はおらの申し込みがイの一番じゃったんじゃろな。
で、入場券が届いてからおらは物忘れが酷いもんじゃで、以前にもこのブログで紹介したRKB毎日放送制作のGooglビデオを観て復習?したんじゃ。
タイトルは『なぜ警告を続けるのか~京大原子炉実験所・”異端”の研究者たち~』じゃ。
こんビデオには今回のパネリストである山名 元・京大原子炉実験所教授の部下たち?で、女川町に来て講演した小林先生など馴染みのある助教たちが、科学者の良心に基づいて原子力の魔力から人類を救うために東奔西走している姿を活写していて、大変参考(勉強)になるもんじゃと思っちょるから、興味が無くとも是非アクセスしたもんせ。
驚き、考えに陥る事、間違いなしじゃぞえ。
大槻教授の話しに、興味を持っちょったのに・・・
第一部は、早稲田大学名誉教授で理学博士の大槻義彦氏の講演で、約45分間の話しじゃった。
先生は宮城県角田市の出身という事で、『宮城ゆめ大使』を務められているがじゃ。
んで先生の講演のタイトルは『~原子力発電はパンドラの箱ではない~』。
テレビで、オカルトやUFOを信奉する人たちを科学的な論証の反論で徹底的に叩き人気のある、大槻義彦・早稲田大学名誉教授の講演じゃから、正直いえば興味は大きかったぞな。
話術は、やはり有名大学の教授じゃもんで、さすがに上手いものじゃった。
そんで宮城県出身者らしく、東北地方では昔『火の玉』の事を『ひかりもの』と呼んでいた話しから始め、聴衆の心の掴み方を十二分に心得ていて、さすがにテレビにも何回も出演している方じゃのぉ、と感心した次第じゃ。
とまぁ、大槻教授は話し始めたんで、おらは必死の思いで先生の話しをなるべく忠実にメモって行ったがじゃ。
もちろんおらは速記術なぞ学んだ事があるわけもなく、書くのが話しに追い着かない場面も多くあったが、メモったのには、ある程度自信はあるで。
んなもんで、これ以降はメモを時系列で追って大事な部分を再現してみるがじゃ。
「私はプルサーマルは得意な分野ではない」
「原発は、震度7以上の揺れでも耐えられる」
「日本には、広島・長崎の原爆投下直後の放射能アレルギーがある。そして北大の○○教授(良く聴き取れなかった)は、原子核や放射能の研究は”パンドラの箱”だから開けるべきではないと言われた」
「しかし湯川英樹博士は原子核=素粒子の研究でノーベル賞を受賞した。小林誠・益川敏英の両氏は、クォーク=原子核で同じくノーベル賞。従って○○教授の論を超えたのであり、手をつけていけない分野ではなかった。もちろん○○先生を否定して言っているのではありません」
「そもそも科学には自然の神秘性を含む未知の物を研究するのは当たり前。しかし原爆は人類の大きなミステークだった」
「当初から比べれば、人類の幸せのために使われる原子核や量子力学の発達は、パソコンなど人類の身近なものに役だっている」
「携帯電話はヨーロッパでは腰に着ける。しかし若者の生殖機能に携帯電話の電磁波が、悪影響があるとの論文が2年前にフランスで出た。従ってヨーロッパでは今、電磁波の影響を避けるため、腰に着けないよう安全に気を配っている」
「プルサーマルへの不安を持つのは当然であるが、車社会では車だって事故のリスクを考えれば、安全な物とは言えない。年間の交通事故による死者は1万5千人にもなる」
「科学文明社会で生きて行く限りリスクはある。従って原発を100%安全とは言えない。私は専門家ではないので、プルサーマルの詳しい事は解からない。しかし研究者(科学者)や電力会社の運用を信頼している」
「反対運動はあって良かった。それによって、国やメーカーや電力会社は、より安全性に留意することになった。住民の強い不安や反対運動が、安全性の担保になった」
「従って、国であっても、国民の不安や反対運動に対して圧力をかけてはならないし、自治体も含めて、より安全対策に力を入れている」
「科学の発明や発見が、人類の幸せのために使うのは当然の事です」
「住民を大事にしてプルサーマルを進める事こそ、電力会社や国の責任である」
「私は北陸電力のCMに出ているが、”原発が安全だ”とは言った事がない」
感想
以上が大槻教授の講演の大要じゃが、反論ちゅうか訂正を求めたい箇所がある。
そもそも原発のリスクと自動車事故のリスクを、並列にして論じるには無理があると思うのじゃがのぉ。
原発は、現在時点で人類が到達した科学技術の集大成みたいな巨大なプラントであり、選ばれた極めて少数の人たちが徹底的に教育され訓練されて運転するものであるのに対し、自動車の方は国民は比較的手軽に、おそらく原発運転員の万分の1以下のレベルで免許を手にする事ができて運転しているのであり、それこそ国内では数千万人の人々が、運転免許を持って運転していると思うがじゃ。
そこで発生する交通事故のリスクは、当然ほとんどの人々が自覚しているに違いないし、また重要なのは、幾ら大きな自動車の多重事故であって犠牲者が例え多いとしても、間違っても放射能などという、おぞましい物質は放出されないがじゃ。
それに比して原発は・?・・・論ずるまでもなかろうて。
そして第二点。
大槻教授は、交通事故死者が年間1万5千人になると発言したが、いったいいつの時代の話しをしているのであろうかや。
警察庁の統計によれば、年間の交通事故死者(24時間以内)の最高は、1970年(昭和45年=大阪万博があったがじゃ)の16700余人であり、その当時は事故30日後の死者の統計はとっていなかったがじゃ。
んで、2000年(平成12年)には1万人を割り込み、その年の死者は9066人(24時間以内)であり30日後で10403人であったがじゃ。
その後は年々減少し、昨年、2009年(平成21年)では、24時間以内の死者が4914人で、30日後の死者は5772人じゃった。
年間交通事故死者1万5千人は、交通戦争と言われた今から40年ほど前の、昭和40年代当時の数字と断定するがじゃ。
よって以上の2点を考えれば、大槻教授の原発と交通事故のリスク比較論は、前提が成ってない事と、おらは言わざるを得ないと考えるがじゃ。
まぁ、後は大槻教授の発言を注意深く読めば、逃げ道(どっちとも取れる発言)が用意されている発言じゃと、気がつくお人もいると思うがのぉ。
もっとも、それは受け手側の感受性の問題じゃろから、それこそ♪かいしゃく いろいろ♪じゃ。
参考になりましたうえに、とても面白く読ませていただきました。
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