今日から12月が始まります。この齢になると時間の経過が本当に速く感じられる。同時に平凡な一日一日を大切に過ごしたいという気持ちも強い。今日の仙台は曇り。寒さは昨日ほどでもないようです。空気が乾燥しているので、脚や腕の皮膚がかゆいし、唇がひび割れするのは困ったもんですな。
数年前に描いた水彩画を手直ししました。どうも最近は旧作の手直しが多いですな。時間が経過すると旧作の気に入らない箇所を見つけてしまう。するとどうしても手を入れたくなる。
というわけで、今回は青い花瓶に生けた花たちを描きました。旧作は色彩も構図も単調だったので思い切って色彩を増やし派手にしました。前面に赤い椿と白い椿を置きました。ピンクの花、黄色の花、青い花、紫の花は何だったのかよく覚えていません。華やかな雰囲気がでるように描きました。ところどころ描き方が雑にみえる箇所があります。すかだねえ。
現代俳句の巨匠金子兜太(1919~2018)が、太平洋戦争でトラック島で米軍の捕虜になり捕虜キャンプで生活していたころの米軍隊長と金子のエピソードを書いている。隊長も金子も煙草好きで、隊長は「あんたも俺もヘビースモーカーだ。だから友達だ」と言って、エクレアという菓子を金子にくれたそうです。炎天下で食べた冷えたたエクレアの味を忘れることができない、「こんな美味いお菓子を食っている野郎と戦争したんじゃ、とても勝てない」と金子は実感したそうです(金子兜太著『荒凡夫 一茶』)。
金子の実感は重要なことを教えてくれます。第二次大戦時のアメリカの高い生活水準、高度に進んだ工業力、豊富な資源、圧倒的な軍事力、豊かな経済等々について日本の一般国民はどれだけ知っていたのか。一部の政府関係者は知っていたのでしょうが、精神主義を主張する軍部とか一般の日本国民はアメリカの強大さ豊かさに無知だった。というか知らされていなかった。それを知っていれば戦争をしなかったであろうと言っているのでなく、国民が世界の情報に無知だったということが大問題で、それが破局を招いた大きな要因の一つだといいたいのです。
民主主義では情報公開、国民の知る権利の保障が重要な要素だと思います。政治や社会の不正を未然に防止する強力な手段だと思います。日本軍がハワイの真珠湾を攻撃し、米英に宣戦布告した12月8日が近いので、こんなことを思いました。
師走入り枯れて耐えるやカサブランカ みちのく梵論師