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廃墟賛歌ブログ

廃墟をはじめ軍艦島とか炭鉱とか廃線とか、産業廃墟作品制作ユニット<オープロジェクト>オフィシャル・ブログ

『軍艦島ナイト』イベントリポート #05

2009-02-25 01:05:03 | ・軍艦島ナイト


2008年12月14日、
お台場の東京カルチャーカルチャーで開催したイベント
『軍艦島ナイト』のイベント完全リポートです。
『記憶屋 廃墟』管理人のドイテフさん、
そして『ワンダーJAPAN』編集長の関口さんをゲストに迎え、
オープロジェクト(大西、黒沢、西田)の3人と共に、
画像や映像を見ながらのトークセッション形式のイベントでした。

第5回 軍艦島に最初に魅力を感じた点

西田
(前回の記事の『廃墟の魅力』の話の続き)今日は軍艦島ナイトなので、このへんで軍艦島の魅力についても触れて行ければと思いますが、軍艦島に魅力を感じたきっかけは何だったのかを伺って行ければと思います。ドイテフさん、どうですか。

ドイテフ
軍艦島の魅力はなかなか行けない場所という点が大きいですね。誰でもいけないという、閉ざされた場所というところに魅力を感じています

黒沢
瀬戸内海にも確か軍艦島という名前の島がありますよね?

ドイテフ
四阪島。。。

黒沢
あぁ、そうです、そうです。あそこは行けるんですか?

ドイテフ
あそこも上陸禁止、、、じゃないですか。

西田
関口さんはどうですか。

関口
ドイテフさんがおっしゃったように、行きにくい、っていうことはあると思います。ドラクエのようにあちこちで情報を集めて行く、みたいな、ちょっと現代では考えられない感じなんですけど、簡単に行けない、というのが魅力だと思います。でもう一つは廃墟の島ということ。島にこれだけの建物が残っているということで、ある意味「国」みたいな感じじゃないですか。そういった小さな国が残っていて、それが廃墟になっている。そして上陸すると、他に誰もいない。岩がごろごろしてたりして、その島自体を征服してしまったような感じ、自分と対峙してしまうような魅力もありますね。

西田
大西さんはどうですか?

大西
他の廃墟とは違う所は生活感が非常に残っているところですね。他の廃墟では鉄とコンクリート、もしくは緑とのセットで僕は見るんですが、ここにはそれプラス生活っていうのが残ってる。このメッセージをだしている所が、魅力かなと思います。他の廃墟も特別は特別なんですが、そういった意味で、ここは特別だな~、という印象があります。

西田
軍艦島って海に囲まれているじゃないですか。国内の各地の産業遺産や廃墟は、どうしても周りに現実感のあるもの、例えば幹線道路があったり生きている家があったりしますが、ここにはそういった感じのものがないんですよね。海という空間に隔てられているゆえに全身を包まれ、かつその中に日本初のRCのアパートがあったりの歴史が眠っている。これだけ堪能出来る場所は、ここをおいて他にないところが最も魅力のひとつだとだなぁー、と思います。黒沢さんはどうですか?

黒沢
もともと炭鉱の島だったんで、島の半分には炭鉱の施設があったと思うんですが、今現在はほとんど残っていないんですね。なにがあったのかわからない状態でちょぼちょぼと残っている。で、それが何だったんだろうな?と。島の半分は住宅なんで、住宅の方には人が住んでいたんだな、とわかるんですけど、炭鉱って聞いても、ここに本当に炭鉱があったのかな?と、施設が殆ど残っていないから面白かった、とうか、ないからこそ、ここが全盛期の時にどんな形をしていたんだろう?という想像力をかき立てられたというところが、最初の魅力を感じたきっかけですね。

西田
ここには本当に竪坑も残っていなくて、遺跡のように残骸だけが残っている。今写っているのはドルシックナーですが、よく調べないとわからない、というのは軍艦島の魅力かもしれないなーっていうのは凄く感じますね~


◇ archives ◇
第1回 イベントコンセプト
第2回 イベントスペーズ
第3回 オープニング
第4回 廃墟の魅力
第5回 軍艦島の魅力
第6回 写真を見ながら各人解説 [ドイテフ/廃墟]
第7回 写真を見ながら各人解説 [ドイテフ/軍艦島]
第8回 写真を見ながら各人解説 [黒沢/廃墟]
第9回 写真を見ながら各人解説 [黒沢/軍艦島]
第10回 写真を見ながら各人解説 [大西/廃墟]
第11回 写真を見ながら各人解説 [大西/軍艦島]
第12回 写真を見ながら各人解説 [西田/廃墟]
第13回 写真を見ながら各人解説 [西田/軍艦島]
第14回 軍艦島大解剖
第15回 アンケートに答えながら1
第16回 アンケートに答えながら2
第17回 アンケートに答えながら3
第18回 アンケートに答えながら4
第19回 軍艦島や廃墟を表現するということ
第20回 軍艦島映像作品紹介


『軍艦島ナイト』イベントリポート #04

2009-02-22 05:56:03 | ・軍艦島ナイト


2008年12月14日、
お台場の東京カルチャーカルチャーで開催したイベント
『軍艦島ナイト』のイベント完全リポートです。
『記憶屋 廃墟』管理人のドイテフさん、
そして『ワンダーJAPAN』編集長の関口さんをゲストに迎え、
オープロジェクト(大西、黒沢、西田)の3人と共に、
画像や映像を見ながらのトークセッション形式のイベントでした。

第4回 廃墟の魅力

ドイテフ
廃墟の魅力なんですけど、僕の場合は廃墟になった状態からその被写体というか廃墟に入っています。お寺とかお城というのは誰が使ってどういう歴史があって今現存しているものですが、僕の場合は現在その状態になっているというところに魅力を感じてそこから入っています。廃墟の魅力は人まちまちで、建造物であったり、冒険心であったり、ヒビとか錆であったりとかすると思いますが、僕は鉄とかヒビとか錆、絵の具では表現できない複雑にからみあった色具合などにとても魅力を感じています。

西田
廃墟まで網羅する『ワンダーJAPAN』を編集されている関口さんは、廃墟の魅力をどう感じられていますか?

関口
ワンダーJAPANは普通の旅行ガイドブックとかに取り上げられていない日本の異空間を好んで紹介していますが、なぜかというと、普通の観光スポットは商業主義にどっぷり浸かっていて、いろいろな人が紹介しているが、そういうところが紹介しないけれど魅力があるものもたくさんある。そういうものの一つに廃墟があると思います。なんで廃墟かというと「意図しない美しさ」みたいなものがあるじゃないですか!誰かが作ったにもかかわらず、だんだん見捨てられていく、といった時間の流れがすごくわかりやすい。人間の造ったものは、すぐになくなっていくものなんだなと感じるとき、大きな時間の流れの中で、人間の存在ってちっちゃいんだな、と感じたりとか、自分を見つめ直すいろいろなことを提案してくれるところ、そういったところが魅力としてあるなと思います。

西田
じゃあオープロジェクトの黒沢さんはどうですか?

黒沢
一言で言うのは難しいですが、生きるっていう生の魅力と、その対極にある死の魔力が同居している、ってことじゃないかと思います。生きる事が輝くというのは、死の時間を意識するからだと思います。ところが最近街をみてみるとまず火葬場がない。墓地も東京だとかなり集中しているので家の周りにはない。家族も核家族化していて、家族の死に直面する事もなくなっている。街に住むと死を体験出来なくなっている。あたかも生だけで成り立っているような感じになっていますが、本来は必ず死がどこかにある。でも廃墟へ行くと、死の魔力を放つ建物に自然の力が加わって、鳥が命を吹き込み、植物が育って生を謳歌する。というように生の魅力と死の魔力の両方があるのが、廃墟の魅力なんじゃないかと思います。わかりやすい言葉で言うと、イン&ヤン、明と暗、光と影、それが明確な形であるのが廃墟だと思います。

西田
あっ、ちょっと前後してしまいましたが、実はさっきから会場に流れている音は軍艦島で実際に収録した音です。オープロジェクトの第四のメンバーとも言える山内さんに流してもらってます。
それではオープロジェクトの大西さんはどうですか?

大西
絵で見て頂ければという感じですが、



これは安比奈線ですが、
人間が作ったものと自然がミックスされているところ。
それがノスタルジックかつSF的な感じ

がしますが、そういったビジュアルなところに惹かれてきました。



これは96年頃に一番最初に撮った写真なんですが、北海道の奔別炭鉱の竪坑で、現在ではだいぶ壊されて残っていませんが、北海道をバイクで写真を撮りながら回った時に、おっ、何だあれは?と思って、入口のおばちゃんに入っていいですか??って聞いて入れてもらって撮りました。ここから廃墟っていうものに僕は取り憑かれました。

西田
僕はオープロジェクトの中では一番廃墟にはまったのは遅いんですが、実際に廃墟に入るというのは異世界に入る、自分とその周りとの距離感が見えなくなる感じ、そういったことが廃墟にはまってしまった原因かな、と思っています。もともとゲームが好きだったので、廃墟に入るという事は、ゲームの世界に入るのをリアルタイムで感じる、っていう部分が凄くあるのかな、と。それと、自然の森には循環があると思うんですが、廃墟にも、人工のものなのに、人の営みとしての大きな循環があるのかな、といつも感じさせられて、廃墟を見て行くということは、自分がどう生きていけばいいのかを含めて、その指針みたいなものがあるんじゃないかと思います。


◇ archives ◇
第1回 イベントコンセプト
第2回 イベントスペーズ
第3回 オープニング
第4回 廃墟の魅力
第5回 軍艦島の魅力
第6回 写真を見ながら各人解説 [ドイテフ/廃墟]
第7回 写真を見ながら各人解説 [ドイテフ/軍艦島]
第8回 写真を見ながら各人解説 [黒沢/廃墟]
第9回 写真を見ながら各人解説 [黒沢/軍艦島]
第10回 写真を見ながら各人解説 [大西/廃墟]
第11回 写真を見ながら各人解説 [大西/軍艦島]
第12回 写真を見ながら各人解説 [西田/廃墟]
第13回 写真を見ながら各人解説 [西田/軍艦島]
第14回 軍艦島大解剖
第15回 アンケートに答えながら1
第16回 アンケートに答えながら2
第17回 アンケートに答えながら3
第18回 アンケートに答えながら4
第19回 軍艦島や廃墟を表現するということ
第20回 軍艦島映像作品紹介


『軍艦島ナイト』イベントリポート #03

2009-02-20 10:06:01 | ・軍艦島ナイト


2008年12月14日、
お台場の東京カルチャーカルチャーで開催したイベント『軍艦島ナイト』。
『記憶屋 廃墟』管理人のドイテフさん、
そして『ワンダーJAPAN』編集長の関口さんをゲストに迎え、
オープロジェクト(大西、黒沢、西田)の3人と共に、
画像や映像を見ながらのトークセッションイベントの完全リポートです。
今回からは実際のイベントの内容を、
詳しくお伝えして行きたいと思います。

第3回 オープニング

16:00 オープン

DJ&VJタイム ずっと島内のウォークスルー映像を流し、
オープロジェクトの映像作品用に制作した曲をDJ。

17:00 第一部

『軍艦島 FOREST OF RUINS』チャプター3の上映
(現在の島内の様子をPV的に編集したパート)

terry(東京カルチャーカルチャーの店長さん):
皆さん今日はご来場ありがとうございます。東京カルチャーカルチャーと申しまして、niftyが昨年からオープンして、いろいろなコミュニティのイベントを行っています。今日は軍艦島ナイトということで、日活さんのDVD『軍艦島オデッセイ』と三才ブックスさんの『軍艦島全景』を制作されたオープロジェクトさんにナビゲーションをお願いしようと思います。ゲストは人気の廃墟サイト、それからCDのジャケットなども手がけるドイテフさん。そしてワンダーJAPANさんからは関口編集長です。最初に今日はおめでたいパーティーということで乾杯といきたいとお思います。オープロジェクトの西田さんお願いします。

西田
今日はお集り頂きありがとうございます。それでは乾杯!

会場
乾杯ー!

西田
オープロジェクトとしては過去にギャラリーで個展的なことをやったり、下北沢で元島民の方をお呼びしてお話を伺うイベントとかやって来ましたが、今回はみなさんどんな感じで来たのかな?と知りたいなと思い、まずは挙手をお願いしたいと思います。まず軍艦島の映像を見たいと思う方は?

(会場挙手)

けっこういらっしゃいますね。島のウォークスルーの映像など、どんどん見せて行きたいと思います。では、軍艦島に上陸またはクルージングで見たという方は?

(会場挙手)

まあぱらぱらですね。その辺も含めて後半話して行きたいと思います。次は軍艦島の操業時のコトが知りたいという方。

(会場挙手)

これは結構いらっしゃいますね。今回はそこにはあまり触れないようにしようかと思いましたが、けっこういらっしゃるので少し触れながら進めたいと思います。

黒沢
それでは軍艦島を廃墟としても興味があるという方は?

(会場挙手)

黒沢
結構いらっしゃってよかったです。誰もいなかったらどうしようかと思いました。(笑)

西田
今回のDVDは軍艦島の操業時はどんな島だったのか?というテーマで作らせて頂いたので、そのへんはDVDをじっくりご覧になって頂ければと思いますが、それ以外の視点で、制作秘話なども含めて進めていきたいと思います。質問も受け付けますので、お配りした質問用紙にご記入ください。休憩の時に渡して頂ければと思います。
まず前半のテーマとしては、「軍艦島と廃墟」という話しをして行きたいと思います。廃墟の魅力とは何なんでしょう?というのをそれぞれの方に伺っていきたいと思いますが、まずドイテフさんからお願いします。


◇ archives ◇
第1回 イベントコンセプト
第2回 イベントスペーズ
第3回 オープニング
第4回 廃墟の魅力
第5回 軍艦島の魅力
第6回 写真を見ながら各人解説 [ドイテフ/廃墟]
第7回 写真を見ながら各人解説 [ドイテフ/軍艦島]
第8回 写真を見ながら各人解説 [黒沢/廃墟]
第9回 写真を見ながら各人解説 [黒沢/軍艦島]
第10回 写真を見ながら各人解説 [大西/廃墟]
第11回 写真を見ながら各人解説 [大西/軍艦島]
第12回 写真を見ながら各人解説 [西田/廃墟]
第13回 写真を見ながら各人解説 [西田/軍艦島]
第14回 軍艦島大解剖
第15回 アンケートに答えながら1
第16回 アンケートに答えながら2
第17回 アンケートに答えながら3
第18回 アンケートに答えながら4
第19回 軍艦島や廃墟を表現するということ
第20回 軍艦島映像作品紹介


『軍艦島ナイト』イベントリポート #02

2009-02-18 11:02:34 | ・軍艦島ナイト


2008年12月14日、
お台場の東京カルチャーカルチャーで開催したイベント『軍艦島ナイト』。
『記憶屋 廃墟』管理人のドイテフさん、
そして『ワンダーJAPAN』編集長の関口さんをゲストに迎え、
オープロジェクト(大西、黒沢、西田)の3人と共に、
画像や映像を見ながらのトークセッションイベントの完全リポートです。

第2回 イベントスペーズ

2008年12月14日、曇り空の肌寒い冬の日。
会場はniftyが2年前にお台場にオープンした
東京カルチャーカルチャー」とういうイベントスペース。
都築響一さんの講演等、
サブカル的なアプローチでイベントを展開する会場。



今回のイベントは昨年末に発売した
DVD『軍艦島オデッセイ ?廿世紀未来島を歩く-』と
ビジュアル書籍『軍艦島全景 gunkanjima odyssey archives
のリリースイベントということで、
発売元の日活さん、三才ブックスさん、
そしてHMVさんの共催によるイベントに出演させてもらう形のものでした。

以前はイタリアンレストランだったという会場は、
こジャレた内装の気持ちいい空間。着席で120席前後ですが、
HMVさんの宣伝効果もあり、チケットは前売り段階で完売でした。
入場料が前売りで2,300円、しかも飲食別ということもあって、
以前行ったイベント『Meet the GUNKANJIMA』より
やや年齢層が高い印象ですが、これだけのお客さんにいらして頂いたのは、
とても嬉しいことです。
軍艦島の関心度が高まっている証拠だとも思います。



細長い会場の中央に舞台が設置され、その背後に大きなスクリーンがあるのは、
映像を流すイベントには嬉しく、更に舞台真横に位置するテーブル席は、
巨大画面が見られない事を考慮して、
テーブルに小さいモニターが沢山設置されているのも嬉しいです。



ゲストの方々との打ち合わせをはじめ、
リハーサルや映像の放映、DJの準備に追われ、
美味しそうだった料理をなんにも食べられなかったのは残念でした。



オープロジェクトの前作を含めた軍艦島DVD3本に『軍艦島全景』、
「軍艦島を世界遺産にする会」発行の『軍艦島 住み方の記憶』
で物販コーナーは軍艦島三昧に。

 
◇ archives ◇
第1回 イベントコンセプト
第2回 イベントスペーズ
第3回 オープニング
第4回 廃墟の魅力
第5回 軍艦島の魅力
第6回 写真を見ながら各人解説 [ドイテフ/廃墟]
第7回 写真を見ながら各人解説 [ドイテフ/軍艦島]
第8回 写真を見ながら各人解説 [黒沢/廃墟]
第9回 写真を見ながら各人解説 [黒沢/軍艦島]
第10回 写真を見ながら各人解説 [大西/廃墟]
第11回 写真を見ながら各人解説 [大西/軍艦島]
第12回 写真を見ながら各人解説 [西田/廃墟]
第13回 写真を見ながら各人解説 [西田/軍艦島]
第14回 軍艦島大解剖
第15回 アンケートに答えながら1
第16回 アンケートに答えながら2
第17回 アンケートに答えながら3
第18回 アンケートに答えながら4
第19回 軍艦島や廃墟を表現するということ
第20回 軍艦島映像作品紹介


『軍艦島ナイト』イベントリポート #01

2009-02-15 10:35:26 | ・軍艦島ナイト


2008年12月14日、
お台場の東京カルチャーカルチャーで開催したイベント
『軍艦島ナイト』のイベントリポートです。
ゲストにワンダーJAPAN誌編集長の関口さんと、
廃墟サイト『記憶屋 廃墟』管理人のドイテフさんを迎え、
オープロジェクトの3人とともに
トークセッション形式で進行したイベントでした。
会場に足を運んで頂いた方々、ありがとうございました。


壇上左からオープロジェクトの黒沢、西田、大西、ドイテフさん、関口編集長

第1回 イベントコンセプト

イベント『軍艦島ナイト』は、当初その軸となるコンテンツに関して
2本の柱がオープロジェクトの中であがっていました。
一つはNHKの番組『熱中時間』になぞらえて
「軍艦島熱中時間」
と題し、軍艦島に熱中する人達をゲストに招き、
なぜ熱中するのかを解き明かしていくといった内容。
もう一つは今まで表立って語ってこなかった
「廃墟の視点で見る軍艦島」
というものでした。

熱中時間の方は、
かねてよりイベントを行う時には是非お話を伺いたいと思っていた
『軍艦島実測調査資料集』のメイン著者である阿久井先生が軸になると思ってましたが、
残念なことに先生は冬場は持病の腰痛があり、
あまり外出なされないということでした。
阿久井先生をゲストに迎える事が不可能になった段階で、
自然と「廃墟の視点で見る軍艦島」のテーマに移行せざるおえなくなったわけですが、
特にこの廃墟視点の軍艦島というテーマをあえてやろと思ったのには、
様々な理由がありました。

ひとつには、オープロジェクトは本来産業廃墟の作品を制作すること
を目標に始めたプロジェクトでしたが、
ここ最近軍艦島に関する作品の発表が増え、
軍艦島だけの制作チームという捉え方をされている気がしていたこと。
また2000年以降の廃墟ブームによって廃墟の認知度は上がった反面、
廃墟を心霊スポットやサバイバルゲームの舞台としてだけ捉え、
廃墟に対してマイナスな印象を持っている人が増えたなぁ~
という感覚があることでした。
確かに古城に住むドラキュラをはじめ、
廃墟とは心霊的な興味を喚起する場所だとも思うし、
そういった楽しみ方がお化け屋敷のルーツだとも思います。
また犯罪の温床になる危険性がある場所である事も否めませんね。

もともと人が廃墟を廃墟として意識し始めたのはルネサンス時代に遡ると思います。
人間復興といわれる時代に注目された廃墟とは、
古代ローマやギリシャの廃墟であり、それは人間の理想郷という意味を持っていました。
それ以来廃墟は時代に即して、様々な意味を与えられながら、
人に寄り添って存在して来た廃墟は、
ある意味人間を映し出す鏡の様なものだったと思います。
そういった様々な顔を持つ魅惑的な場所だということを少しでも伝えたいと思いました。

日活さん、三才ブックスさん、HMVさんの主催による
DVDと書籍のリリースイベントでしたが、
その場を借りて、廃墟をテーマにしたイベントを是非行えればと思いました。

ゲストには徹底的にビジュアルににこだわりながらも、
より広い廃墟の表現方法を模索し続ける記憶屋廃墟管理人のドイテフさん、
産業遺産の安易な観光化に警鐘を鳴らしながら、
廃墟とは自らを振り返る場所と語る
ワンダージャパン編集長の関口さんという素晴らしい方々と
オープロジェクトのメンバーによる廃墟と軍艦島の話からは、少なくとも
廃墟とは一筋縄ではいかない奥深いものだ
ということぐらいは伝わったんではないかと思っています。

それではこれからイベントの様子を、
少しずつアップして行くことにします。

◇ archives ◇
第1回 イベントコンセプト
第2回 イベントスペーズ
第3回 オープニング
第4回 廃墟の魅力
第5回 軍艦島の魅力
第6回 写真を見ながら各人解説 [ドイテフ/廃墟]
第7回 写真を見ながら各人解説 [ドイテフ/軍艦島]
第8回 写真を見ながら各人解説 [黒沢/廃墟]
第9回 写真を見ながら各人解説 [黒沢/軍艦島]
第10回 写真を見ながら各人解説 [大西/廃墟]
第11回 写真を見ながら各人解説 [大西/軍艦島]
第12回 写真を見ながら各人解説 [西田/廃墟]
第13回 写真を見ながら各人解説 [西田/軍艦島]
第14回 軍艦島大解剖
第15回 アンケートに答えながら1
第16回 アンケートに答えながら2
第17回 アンケートに答えながら3
第18回 アンケートに答えながら4
第19回 軍艦島や廃墟を表現するということ
第20回 軍艦島映像作品紹介