自民党派閥の政治資金パーティー券疑惑で、東京地検特捜部は政治資金規正法違反(不記載・虚偽記載)の疑いで安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)の事務所を家宅捜索した。「裏金」問題の全容解明とともに焦点となるのが政治資金規正法の改正だ。岸田文雄首相は「選択肢として否定しない」と言及、規制強化や厳罰化などが検討対象となるが、そこで見逃してはならないのが「外国人によるパーティー券の購入問題」だ。外国人献金を禁じた規正法の「抜け穴」となっている疑いがある。自民党で無派閥の青山繁晴参院議員(71)は「裏金作りと並ぶ非常に深刻な問題で、必ず法改正されなければならない」と訴える。
青山氏は2016年の参院選で初当選して現在2期目で、後援会などを持たず、政治献金を受け取らず、政治資金パーティーも一切開かないという完全無派閥だ。その大きな理由の一つが、外国人による政治献金やパーティー券購入を警戒するためだと明かす。
「パーティー券を買った相手が後になって外国人や外国に関連が深い団体だったことが判明して、そのことを盾に政治家が水面下で脅されるなどの事例を知っている」
規正法では、政治や選挙への海外勢力からの関与を防ぐために、外国人や外国人が過半数の株式を保有する会社(上場5年未満)からの政治献金を禁じており、違反すれば3年以下の禁錮か50万円以下の罰金、罪が確定すれば公民権停止の対象となる。だが、パーティー券購入には国籍の制限などはない。
青山氏は「私は国会議員になってからそうしたパーティーに一度も出席したことがないが、政治記者時代に取材で実態は知っている。外国人がパーティー券を大量購入しているという話は年々増えている。国籍はさまざまだが、中国が関与する例が多い。中国は経済面では日本頼みで、資本投入を求めるためにパーティー券購入額も増えていた。今回の騒ぎで外国人によるパーティー券購入にも疑惑の目が向けられることは痛手のはずだ」と指摘する。
青山氏は「特捜部は告発以前から慎重に内偵を進めていたと聞いている。岸田首相は疑惑を否定した宮下氏のクビまで切った。これでもし岸田派内にも瑕疵(かし)が見つかれば、一発で首相辞任につながる」と党内の空気を表現した。
青山氏は党内に、派閥とは違う純粋な政策集団として保守系グループ「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」を立ち上げ、94議員の代表を務める。
「政治資金規正法を改正できるかどうかが岸田首相の試金石となるが、その前にまず、自ら岸田派を解散することだ。いまや打開策はそれしかない」と言い切った。