放射線治療と医学物理

放射線治療、特に医学物理に関する個人的記録

OBI systemの包括的QA

2008年06月03日 | QA for IGRT
第11号

Sua Yoo, et al.: A quality assurance program for the on-board imager, Med Phys, 33(11), 2006

Varian社から発売されているOBI systemのQuality assurance programです。正直かなり良く考えられた方法で、かつ簡単に施行することができます。また、各々のテストに許容値およびテストの頻度が記載されており、OBI systemのQA入門編といえそうです。

<Safety and functionality QA>
1. Doorインターロック
2. 警告表示
3. 警告音
4. 衝突検出およびインターロック
5. ペンダントの動作チェック
6. X線管のウォーミングアップ
7. 機能チェック

<Geometrical accuracy QA>
 Geometrical accuracy QAはソフトおよびハードウェアの安定性を見るために行います。
1. OBIアプリケーションにて得られるアイソセンターとMVアイソセンターの正確性
2. 2D2D match and couch シフトの正確性
3. SAD, SIDを変更した際の正確性
4. アーム移動における正確性
5. ガントリー回転に伴うOBIアイソセンターの正確性

<Image quality QA>
1. 撮影におけるimage quality (コントラスト分解能、空間分解能)
2. CBCT画像評価
2-1 HUの直線性
2-2 低コントラスト分解能試験
2-3 高コントラスト分解能試験
2-4 HUの均一性
2-5 スライス内空間の直線性
2-6 スライス厚

 筆者はこれらのテストの結果から、OBI systemは機械的に信頼性があり、また安定していると報告しています。上記QAの方法、頻度、推奨許容値は個々の施設に依存するものの、このガイドラインは重要であると締めています。

OBI systemを用いた位置あわせは、照射したい領域と実際の位置ずれが生じている場合に、その位置ずれを少なくするために使用されます。正確に動作しないと、照射したい場所ではなく、正常組織やリスク臓器が含まれる領域にカウチが誘導されることもありえます。やはりIGRTのQAは他のQAと同様重要な項目です。

詳細は論文を。