放射線治療と医学物理

放射線治療、特に医学物理に関する個人的記録

高精度放射線治療における呼吸性移動への対応

2008年05月20日 | Stereotactic Body Radiosurgery
高精度放射線治療における呼吸性移動への対応, 臨床放射線, 53(3), 2008

体幹部定位放射線治療に関するレポート集。
AAPMによる「The management of respiratory motion in radiation oncology report of AAPM Task Group 76」の考えが重要としつつも、各施設の方法を簡便に取りまとめたもの。

ここでは、
前林勝也, 他.: 安静時呼吸下体幹部定位放射線治療時の呼吸性移動の対処法
唐澤克之, 他.: Body frameを用いた体幹部定位放射線治療時の呼吸性移動とsetup error
大西洋, 他.: 胸腹2点式簡易呼吸インジケータ(アブチェス)とバイオフィードバック効果を応用した自己呼吸停止下照射4D(動体)の3D(静止)化のメリット
野末政志, 他.: RPM (Real-time Position Management System)を用いた呼吸同期照射

が有用でした。

特に大西先生のアブチェスの方法はCT取得、線量計算、照射とすべてにおいて理解しやすく、かつ安価であり最も好まれる方法ではないかと思われました。
一方で、同期照射はテクノロジーの結晶であり、野末先生のコメントにもあるようにUSERからするとアルゴリズムに不明点が多いようである。

ここから推測するに、
1. アブチェス呼吸管理下にてCTを撮影して治療計画を作成
2. OBI にて脊椎対象とした2D-2D matching
3. アブチェス呼吸管理下にてOBI透視
4. 3がOKであればEPID-Cine modeを使用した実際の照射へ。
というのは最良ではないかと推測されました。

もちろん、線量計算にどのようなアルゴリズムを用いるのか、QAの確立等、問題は山積です。