つれズレ愚抄

つれ：「直前に不祥事があっても詰め腹を切らせずに甲子園出場を認めるたぁ、高野連さんも柔軟になったもんだねぇ」

ズレ：「そもそも事情の如何に関わらず一律連帯責任なんて軍隊みたいな対応に無理があったってことよ」

つれ：「高校野球は一際注目されるだけに、出られなくなるのは無論のこと出られるとなっても妙に騒がれて生徒さんにはお気の毒だよねぇ」

ズレ：「個人主義が未成熟な日本じゃ個人と全体の責任の境界が曖昧だから、何か事が起これば一事が万事の色眼鏡になるからなぁ」

つれ：「今や個室が当たり前の住宅事情になっても、周りの様子が気に掛かる長屋で肩を寄せ合ってた頃の習性が抜けてないってことかぃ」

ズレ：「助け合いの方が怜悧な個人主義になった分、足の引っ張り合いのは方ますます泥試合の全体主義になってるのかもしれねぇぜ」

つれ：「それが当世日本の連帯主義ってもんかねぇ・・」

つれ：「コンサルタント企業の外国での賄賂が立件されるたぁ珍しいよねぇ」

ズレ：「あくまで合わせ技で出てきた話で、一律に事件にしようってんじゃ大なり小なり途上国ビジネスに関わる会社は軒並み検挙されちまうぜ」

つれ：「袖の下の相場は５％のところを、たかられるままに１０％の大盤振舞いしたのが裏目に出たってことかぃ」

ズレ：「ほとんど紐付きじゃなくなったからにはなおのこと、日本のＯＤＡなら日本の企業が回収しなけりゃと張り切り過ぎたのかもなぁ」

つれ：「ってことは日本企業が賄賂の相場を吊り上げたと他の先進国に睨まれないように、日本としては後ろ盾になってた訳じゃないと姿勢を示したようなもんかねぇ」

ズレ：「政府開発援助と言やぁ聞こえはいいけど資金供与に形を変えた帝国主義の植民地政策みたいなもんで、或る程度シマは分かれているとはいえ大帝国の親分衆を刺激するようなハネッかえりは自粛してじっくり日本の影響力を浸透させてくのが得策だろうよ」

つれ：「金離れが良すぎても足下を見られるのがオチだしねぇ・・」

つれ：「内閣改造に打って出る前に、ここんとこ揺らいでる社会保障に絡んだ５つの安心プランなんてものをブチ上げてたんだねぇ」

ズレ：「高齢者・医療・子育て・雇用に厚生労働行政の信頼回復たぁ、メインディッシュにデザートまで付いた絢爛豪華なフルコースメニューじゃねぇか」

つれ：「近年問題視された内容への取組を総花的に並べてる分、かえって美辞麗句が連なる選挙公約みたいでホンマかいなと疑いたくなるようだょ」

ズレ：「”国家や社会に対する信頼の源は安心にあり”なんてＺ旗みたいな檄を飛ばしたうえで”１～２年の間に実行に移す”と宣うからには、よもや空手形ってことはないだろうよ」

つれ：「裏を返せば今のままなら”高齢者が活力をなくし不安に暮れる・健康に心配があっても医療を受けられない・未来を担う子供にぞんざいな・派遣やパートで働く者が将来に希望を持てない”社会ってことだろうに」

ズレ：「”この国に生まれてよかったと思える国づくりを進める”と近頃流行の物まね芸人さんのようなことまで仰るからには、まずは新閣僚のお手並みを拝見させていただくようでぇ」

つれ：「１～２年のうちには政権交代があるから反古に出来るってのを織り込み済みのアドバルーンプランでなけりゃいいんだけどさ・・」

ズレ：「お盆の時期になると毎年記憶が蘇る未曾有の大惨事を背景としているだけにフィクションとして見るにはなかなか気の重い部分もあるものの、原作者が実際の取材に当たった地方紙の記者さんだっただけに新聞業界の内幕を赤裸々に描き出した群像劇としては出色の出来映えと言えそうだぜ。
　リアルタイムでは実際の事故をご存知ない方にとっちゃその頃はまだ携帯どころか地方新聞社には無線もなかったって辺りから既にアンビリバボーかもしれないけど、日々御巣鷹の尾根のニュース画像を目にしてた世代とすれば時折インサートされる谷川岳の峻壁が絶妙なモンタージュになって、事故の惨状に直接触れるまでもなく当時の絶望的な状況がまざまざと蘇るってもんよ。
　映画に取り上げられている事故直後の状況だけでなくその後の周辺情報や現地の山深さにも触れてる身としては殉難された皆様のご無念を察するにその都度万感胸に迫るものがあり、作品鑑賞を通じてひたすらご冥福をお祈りするようでぃ」