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TAR/ター

2023-06-09 11:37:26 | 活弁見聞録

つれ:「ケイト・ブランシェット丈当て書きのオリジナル脚本だから事前の情報は公式サイトレベルの梗概だけで、そこから察するにオーケストラ版白い巨塔じゃなかろうかと見当をつけていったのが映画には珍しく冒頭に延々とタイトルロールが流れるスタイルでいきなり意表を突かれちまったよ。

 逆に予め大筋を吞み込んでないと何のネタ振りか分からないほど中盤に至るまでは衒学的な音議論の応酬が表面に出てくるから、原語で筋を追える方やバッハから現在の流行先端に至る音楽産業の推移に造詣の深い方は主人公のセリフ回しにはシビれるとこが多いのかもしれないねぇ。

 LGBTや各種ハラスメントの今日的な要素をふんだんに盛り込みながらも全般的に因果関係に踏み込むシーンや状況ごとの説明台詞は少なく、さながら行間の余白にイマジネーションを働かせる散文詩のような展開がいかにも芸術を背景にした映画らしいんじゃないかぃ」

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