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ノート上のお話

ノートの上に子供が三人、笑顔でしゃべっている。母親はシチューを煮込みながら本を読み、父親は旅先の風景を写真に収めていた。

いいことがある

2005-12-01 03:01:12 | ノート上のお話
とし「あ、今日はきっといいことがある」
ねえ「なんかあったの?」
とし「はっぱがあたまの上におちたの」
ねえ「はっぱが」
とし「うん。それからしばらく、はなれなかったんだ」
ねえ「だから?」

とし「それだけじゃなくてね、はっぱのうらには赤い虫がいたんだ」
ねえ「赤い虫がいるといいことがあるの?」
とし「ううん。それでね、いま黄色い虫がここにいるの」
ねえ「黄色い虫がいるといいことがあるの?」
とし「ううん。紅葉がきれいだから、きょうはいいことがある」
ねえ「葉っぱも虫も関係ないじゃん」

とし「え?」
黄色い虫「えじゃねえ」

テヲアゲテアキヲカンジル

2005-11-18 17:54:51 | ノート上のお話
A「ちょっと手ぇあげて」

すっと。いや、ぱっと。

A「そこにさあ、何の意味を感じる?」

いや、ちょっと待って。異議あり。タクシー止まらん。スキを見せるな。先生。宣誓。

A「僕はちょっと脇が弱いんだよね」

そろそろ意味を考えて行動しろと、だけどそれはとても重くそれでいてしなやかで。

A「季節に当てはめるなら秋かな」

精神的なものは肉体的なものよりもずっと頑固で、だからこそ何でもできるような気さえ起きるわけで。

A「風がとても冷たくて。だけどその冷たさが、すごく心を奇麗にしていくんだ」

奇麗なものは必ず完全ではなくて、次元を変えればきっとそこにはロボットのような人がいるわけで。

A「あっ、そろそろ行かなくちゃ」

コンピュータ

2005-10-18 02:05:34 | ノート上のお話
たー「今日から私は国語辞書です」
ひー「じゃあワタシは英和辞書にしようかな」

たー「ひーちゃん英語できないでしょ」
ひー「たーちゃんは紙じゃないでしょ」

たー「最近は電子辞書というものがあるんだよ」
ひー「あれ?たーちゃんてコンピュータプログラム?」

たー「ジャングルの王者」
ひー「そんなアニメあったねえ」

たー「関係ないよね」
ひー「最近はコンピュータで漫画が読めるらしいよ」

たー「じゃあ私はコンピュータですって言えば間違いないね」
ひー「ワタシはコンピュータを持っている人です」
たー「私はひーちゃんに飼われています」

だって

2005-09-30 03:36:05 | ノート上のお話
だって

すごい人1「『忙しいから』という言い訳はしないようにしています」
すごい人2「『だって』という言葉は使いません」

みい「だってきのう、いいって言ったじゃん!」
とし「きのうはいそがしかったんだ」
かあ「ほらほら、けんかしないの」
みい「だってね、としがね、きのうはいいって言ってたんだよ」
とし「だってきのうはいそがしかったんだ」
じい「おかあだって、忙しいんだからそんなことで騒ぐな」
とし「だってぇ」
みい「だってぇ」

こぁい話「酒に強くなる薬」

2005-09-26 04:48:06 | ノート上のお話
こぁい話「酒に強くなる薬」

「お酒に強くなりたいんだよ」
「じゃあこれあげるよ。酒に強くなる薬」
「酒に強くなる薬?これが?ほんとう?」
「ほんとうさあ」
「じゃあためしてみるわ」


「なあ、あの薬すごいな。本当に強くなったよ。適度に酔っ払うけど、そこからいくら飲んでも変わらないんだ」
「…そう。でもよかった。気をつけてね」
「ん?なにを?」
「飲みすぎで何人も死んでるから」

「十個がちょうどいい」,「いい友達」

2005-08-29 02:52:30 | ノート上のお話
「十個がちょうどいい」

とし「いくつあつめられるかな」
みい「よんこくらい?」
とし「じゅっこはあつめようよ」
みい「じゅっこも?」
とし「うん」
みい「じゅっこぉ。たいへんだな」
とし「たいへんだけどがんばろうよ」
みい「うん」

とし「あっ、あった」
みい「こっちにも。すごいいっぱい」
とし「すごい!たくさんとれるね」
みい「………」
とし「どうしたの?」
みい「こんなにたくさんとっていいのかな?」
とし「………、じゅっこにしようか」
みい「うん!じゅっこにしよう!」


「いい友達」

い「これ飲めばきっと治るよ」
ろ「うん。ありがとう」
は「ららら」

ろ「うそつき。治らないじゃん」
い「ごめん」
は「るるる」

い「今度こそ治るよ。これすごくいいやつだから」
ろ「うん。ありがとう」
は「あーー」

ろ「うそつき。治らないじゃん」
い「ごめん」
は「そうなのよ」

い「きっと身体に合わなかったんだよ。これはきっと合うさ」
ろ「うん。ありがとう」
は「まだかな」

ろ「うそつき。治らないじゃん」
い「ごめん」
は「まだかぁ」

い「友達に聞いたんだ。これは効くって」
ろ「ありがとう」
は「そろそろだね」

ろ「おかげでなおったわ。これほんとに効くわね。他のはだめだったのに」
い「そうだね。友達に感謝感謝」
は「ふふふ。いーね」

さかな

2005-07-25 15:09:34 | ノート上のお話
さかな

かあ「お魚もきれいに食べてあげないとかわいそうでしょ?」
とし「…うん」
さかな「いやいやいやいや」
かあ「?」
さかな「むりでしょ。むりむり。ぜったいむり。それはむりだよぉ」
とし「きれいじゃなくていいの?」
さかな「たまんないよお。残しといてよ。全部はやだよぉ」
とし「って言ってるよ」

かあ「だめ!きれいに食べなさい」
とし「ほんにんがいやだって言ってるのに」
かあ「だめ!きれいに食べないともったいないでしょ」
さかな「きれいは嫌だよざんこくだよ。魚生最大のひげきだよ。三日三晩は泣き続けるよぉ」
とし「かわいそう」
かあ「早く食べなさい。もうあと少し」
とし「だってかわいそうだよ」
さかな「そうだよぉ」

かあ「ある山の洞穴の中にバナナが四房ありました。あるサルはある夏の晩、そのバナナを一房も食べました。するとどうでしょう。その後そのサルは、バナナの皮に足を滑らせて三回も転びました」
さかな「何のはなし?」
かあ「次の日、他のサルが足を滑らせないように、そのサルはバナナの皮を捨てました」
とし「えらいね」
さかな「えらいね」
とし「ぼく、バナナだったらきれいに食べられるよ」
かあ「バナナはかわいそうじゃないの?」
さかな「かわいそうだ!」
とし「かわいそうじゃないよ」
さかな「え……」

とし「だってね、おさかなさんは生きてたんだよ」
かあ「バナナだって生きてたのよ」
とし「ええっ!?バナナもしゃべる?」
さかな「しゃべらないけど生きてたんだよ。きれいに食べるなんてざんこくだよ」
かあ「バナナも魚も同じ。命をもらうんだから、きれいに食べてあげないとね」

とし「だってぇ、さかなはおいしくないんだもん」
さかな「……」

開店(後半)

2005-07-11 02:18:28 | ノート上のお話
開店(後半)

くま「はーい。森のくるみ屋さんは閉店だよ」
りす「誰もいません」

ざざっと揺れて、
くまは持っていたくるみを草むらへ投げる。

誰?「いぁっ!」

りす「……」

くまはまた草むらをかき分けて、

赤りすがいた「いひゃ~らほにょへあみみぃ~」
赤りすのピヨってる下に、くるみが4個。

赤りす「いたーい。ばか」

くま「なんだおまえ?」
だから赤りすだよ「え?」
くま「おまえがくるみ並べてたのか?」
そうだよ「ちがいます」
くま「じゃあその下にあるくるみはなんだ?」
頭いたいなぁ「私のごはん」
くま「また並べようとしてたんだろ?」
そうだよ「ちがいます」

くま「おい、りす。お前がこの赤いのに指示したんだな」
赤いのって「そこのりすさんは知りません」
りす「はじめまして」
赤いの「はじめまして」
くま「うそつけ!」
うそだよ「嘘じゃありません」
りす「嘘ではありません」
くま「たぬきが崖から落ちた話も嘘なんだろ」
りす「それは嘘です」
赤りす「嘘です」

ざざざざざっと木が揺れて、
くるみが空から落ちてきて、
くるみがたぬきに直撃し、
たぬきの子供が悲しんだ。

りす「だから子供が悲しみます」

くるみはくまの頭に当たった。
空は雲ひとつない青空。

赤りす「今日もいい天気ですね」
りす「そうですね」

開店(前半)

2005-07-07 15:19:41 | ノート上のお話
開店(前半)

くま「はーい。森のくるみ屋さんが開店したよー。みんなじゃんじゃん買おうね」
りす「くるみならその辺に落ちてます」
くま「はーい。買おうね。落ちてるけど買おうね」

 ざざざざっとして、

くま「誰だ!?」
りす「どちらさまでしょう?」

 ざざざ、ざっ、ざざざざっと揺れて、

くま「だからぁ」

 くまが草むらをかき分けて、
 くるみがころころ、整列していて、二十メートル超えている。

りす「うほぅぅ」
くま「く、くるみが並んでる」
りす「くるみが怒ってるんです」
くま「なんでくるみを売っちゃ悪いんだよ」
りす「売らないから怒ってるんです。落ちてるくるみはそのままじゃないですか」
くま「全部拾えっていうのか?無理に決まってるだろう」
りす「ならば売ってはいけないのです。昔くるみを売った愚かなたぬきが、全部拾わなかったために、崖からくるみの木の下に落ちてしまったということがありました」
くま「関係ないだろう。なんで全部なんだよ」

 ずずずず、ずっと転がって、ざざざざっと木が揺れて、

後半へ続く

ある一人

2005-07-03 05:27:51 | ノート上のお話
ある一人

立体構造の駅前。下には車が流れ、上には人、人。夕陽が沈みかけ、ビルの大きなスクリーンでしゃべる人、
「今日で終わりですか!?使い捨てコンタクトは…」
はい、今日で終わりです。今日で閉店です。
終わってみれば早かったとはよく言うけれど、ほんとに時間というやつは残酷なものだ。まるで記憶を蝕んでいく。蝕まれたせいで長く感じた時間が思い出せないじゃないか。もっと思い出せるはずなのに、あっけない。思い出せないから、勝手にいい思い出にして、脳に保存していく。みんないい思い出にしたがる。

なんで言わなかったかって?送別会とかそういうの嫌なんだよ俺は。だからいいんだよ。

熱くなりたいよ。そりゃあ。やりたいよ一人で。でも金が要るんだよ。

じゃあ、元気で。また。