ルネッサンスジェネレーション '09
パラレルワールド -明日見る夢を、あなたは憶えていますか?-
「明日見る夢を、あなたは憶えていますか?」
「はい。憶えています」
「それはどんな夢ですか?」
「分かりません。でも憶えています。それは、私の問題だから」
「今日、私はあなたと出会って、話をしました。それと同時に、あなたと出会わなかった私もいます。だけど、あなたと出会わなかった私は、あなたと出会った私に話しかけることはできません。両者は同じ空間を共にすることはできません。想像という一種のフィルター越しにしか話すことはできないのです。その存在のみを知ることができ、それ以外の関係はありません。
宇宙は、一つではありません。マルチヴァースといいます。違う宇宙の中にいるもの同士は、関係を持つことができません。全く違う法則の上に成り立っているからです。
多重人格者は、複数の宇宙を持っていますが、外から見たらそれは所詮同じ宇宙です。だから別人格に話しかけることが可能です。これはパラレルなようで実はパラレルではない類のものです。
あなたは、5秒後に手を上げます。この言葉を発した時点か5秒後かのどちらかで、手を上げるあなたと手を上げないあなたが存在します。だけど両者は同じ宇宙に属さないので、この宇宙で確かめることはできないようです。
違う宇宙を行き来するには、想像というフィルターを使います。これを、ファンタジーと呼ぶことがあります。存在は知っているのに話しかけられないこのもどかしさを解決するには、どれだけ突き詰めても結局たどりつかないところに行くには、違う宇宙の世界を創るしかない。自分の住んでいる宇宙の法則を少しだけ曲げて、違う宇宙を創るしか方法がないようです。少なくとも今のところは。」