noribo2000のブログ

特定のテーマにこだわらず、意見やアイデアを表明するブログです

東証システム障害の責任について

2005年11月27日 | 政治・社会

11月1日に発生した東証システム障害について当ブログでも幾つかの記事を書き、他山の石とすべくその後の動向も追跡していました。その中でトップ・幹部のとる「責任」について思うところがあったので、今日のブログではそのことについて述べます。

東証役員の処分について(11月15日発表)

富士通役員の処分について(11月25日発表)

まず東証の発表では、役員の報酬を最大50%6ヶ月間返上すること、および再発防止措置を期限を切って実施することが述べられています。

この処分・対策の発表について、私が東証の人間の立場だとしたら、「役員が結果責任をとって自身の報酬を5割近くカットしたし、再発防止策も決めたから、昔から良くあるトップがやめてそれ以降うやむやという状態からは一歩も二歩も踏み込んでいるので、十分責任を果たした。」と思ってしまうかもしれません。

しかし、傍から見るともう少し踏み込んで欲しいと思うことがあります。

■ 役員報酬の減額は本当に必要か?

役員など企業幹部のトップクラスは組織が起こした問題に対し「結果責任」と称し報酬の減額を行うことがあります。もちろん経営者として顧客に迷惑を書けた行為について、自戒の意味を込めて報酬を減額するということ自体は役員本人にとってはそれなりに意味のあることだと思います。しかしそれは顧客から見れば自己満足に過ぎないでしょう。役員の報酬が増えようと減ろうと顧客が被った損害・社会に与えた影響が解消されるわけではないためです。それよりも大切なことは、発生した問題に対し今後何をするかを明確にするということだろうと思います。

■ 施策は誰の責任でやるのか?

東証は(i) 売買システムにおける再発防止策 として4項目、(ii) 全般的なITセキュリティ等向上策 として5項目、合計9項目を実施するとあります。しかし、残念なことにこれを「誰の責任でやるのか」が言及されていません。処分を受けた役員の誰がどの項目を責任もって実施するのか明示する必要があると思います。社長の指示で役員の某がどの項目についてリーダとして推進する、という体制が判る記述が欲しかったですね。

なお、処分を受けた役員のうち、その体制に含まれていない人がいるとすると、そもそもその処分は全く意味のない「目くらまし」の処分に過ぎないということになります。当の本人は「とばっちりを受けた」ぐらいにしか考えられないでしょう。

■ 施策の実施経過・結果はいつ報告するのか?

東証の発表では、いつ着手する、ということは記載されていますが、いつ完了しいつ報告するか、という点が記載されておりません。発表した施策を本当に実施しているのかどうかを我々は確認する手段が無く、本当に実施するつもりがあるのか判断できません。


東証の発表はこのあたりを明確にするべきと考えます。どうしても企業トップの責任というと、「処分」の方に目を奪われますが、本当はその後何をやるかを可能な限り具体的に示し、その結果をもって本当の責任を果たしたかどうかを判断する、という形にすべきであると考えます。


次に、富士通の発表についてですが、正直論外というしかない惨状です。単に役員の報酬カットを決めただけで、その内容も東証の処分内容をマネしたようなものであり、さらに再発防止策について何の言及もありません。富士通については25日に発表があっただけなので、今後何らかの再発防止策が出てくれば良いのですが。でも問題が発生してから1ヶ月近く経とうとしているにも関わらずあの程度の発表なので、期待はできないかもしれません。


と、偉そうに役員の責任について論じてしまいましたが、このことは企業人全般についても同じことが言えると思います。ミスを犯したときや問題を起こしたときに、謝ったりサービス残業したりすれば責任を果たしたことになるのではなく、その後どういう施策をどの程度実施したかで本当の責任を果たしたかどうかが問われる、ということだと思います。


最新の画像もっと見る