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ハイドン(ピアノ)ソナタと鍵盤楽器について参考になりそうな資料

2009年04月07日 | ピアノ・音楽
 パソコン自粛中だったのですが、書きたくなるネタがでてきました。ハイドンのソナタがどんな鍵盤楽器のために作られたかということをとらえる上で、参考になりそうな資料が見つかったので掲載します。

ピアノの歴史―楽器の変遷と音楽家のはなし (音楽選書) (単行本) 大宮 真琴 (著) の付表より引用

ハイドン 1770年代~90年前半のソナタ
曲番号(XVI)はホーホーゲン番号
(3)以降、ダイナミック記号の記入あり

(1)「6曲のソナタ集」XVI/21-XVI/26 1773年
自筆楽譜(No.21-23)の楽器表示 「チェンバロ」
初版 クルツベック(ウィーン)1774年出版
初版の楽器表示「クラヴィ・チェンバロ」

(2)「6曲のソナタ集」XVI/27-XVI/32 1774-76年 私が弾いているXVI/27が入っています。XVI/27は1776年作曲となっています。
自筆楽譜(No.29)の楽器表示 「クラヴィチェンバロ」
初版 フンメル(アムステルダム)1778年
初版の楽器表示「クラヴサンまたはピアノ・フォルテ」

(3)「6曲のソナタ集」XVI/35-XVI/39,XVI/20 1771-80年 有名なXVI/37が入っています。XVI/37は1780年作曲となっています。
自筆楽譜(No.20)の楽器表示 「クラヴィ・チェンバロ」
初版 アルタリア(ウィーン)1780年
初版の楽器表示「クラヴィチェンバロまたはピアノフォルテ」

(4)「3曲のソナタ集」XVI/43,XVI/33,XVI/34 1770末-80年代初 よっしー^^さんの好きなXVI/34が入っています。
古い筆者譜(XVI/43,XVI/33)の楽器表示「クラヴィ・チェンバロ」
初版 バードモア・アンド・バーチャル(ロンドン)1783/84年
初版の楽器表示「ピアノフォルテまたはハープシコード」No.33:強弱記号の記入なし

(5)「3曲のソナタ集」XVI/40-XVI/42 1783年頃
初版 ボスラー(シュパイアー)1784年
初版の楽器表示「ピアノフォルテ」

(6)ウィーンのピアノで作曲した1789年-90年の2曲のソナタ XVI/48,XVI/49
XVI/48
初版 ブライトコップ・ウント・ヘルテル(ライプチヒ)1789年
初版の楽器表示「チェンバロまたはピアノフォルテ」
XVI/49
自楽楽譜の楽器表示「フォルテ・ピアノ」
初版 アルタリア(ウィーン)1791年

(7)イギリスのピアノで作曲した1794年-95年の3曲のソナタ XVI/52,XVI/50,XVI/51
XVI/52
初版 ロングマン・クレメンティ(ロンドン)1800年
初版の楽器表示「ピアノ・フォルテ」
XVI/50
初版 ブライトコップ・ウント・ヘルテル(ライプチヒ)1804年
初版の楽器表示「ピアノフォルテ」
XVI/51
初版 コーフィールド(ライプチヒ)1800年頃
初版の楽器表示「ピアノ・フォルテ」

 すごいです、ハイドンはあきらかにチェンバロからピアノフォルテへの過渡期に作曲していたのですね。まさに鍵盤楽器の十字路に立っていたわけです。「クラヴィ」と「チェンバロ」や「ピアノ」と「フォルテ」の間に中点が入っていたり入っていなかったり、「ピアノフォルテ」と「フォルテピアノ」があったりと表記がさまざまです。(4)のようにロンドン出版の作品については「ハープシコード」と英語読みの楽器名が書いてあります。ちなみにこの本には楽器の変遷について参考になりそうな記事も書かれています。
 気になる装飾音ですが、18世紀後半の古典派の時代には、装飾音の種類が多く、記譜法もさまざまであり、しかも作曲者の許可なしに作製され流布した筆者楽譜や出版楽譜には、各種の装飾音が無原則に入り混じっているので、今日これをただしく解読することはきわめて困難なのだそうです。とはいってもいくつかきまりはあります。ハイドンが記譜した装飾記号のうち、独特のものに、とくにハイドン・オルナメント(装飾音)とよばれている、なだらかな波型に縦線の入った記号 (図に掲載)があります。この装飾記号、ウィーン原典版にたくさん登場していました。概して下降する短い三連音を前につけて演奏するとあるけれど、CDなどでは必ずしもそう演奏しているとはいえない感じですね。

 ちなみにサイトでもハイドンの装飾音やソナタについても充実した翻訳サイトがありましたが。。。読むだけでもおそろしく大変です(^^;今回はこのへんぐらいにしておこう。


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