清水義範というヘンな小説家をご存知ですか?
パスティーシュという他の作家の作品や世の中の現象を面白おかしく模倣する広範囲で言うパロディ文学で有名な人です。
たとえば、私は国語に苦手意識を持っていました。ピントがずれた答えをよく選んでいたのです。だから「
国語入試問題必勝法」という本を読んだとき、自分の感性はおかしくないのだと肯定されたような気分になりました。英語は比較的得意だったけど、「
永遠のジャック&ベティ」を読んだとき、教科書は登場人物の行く末のことをあまりしっかりと考えていなかったということが分かりました。日本国憲法をいろいろな文体で書きながら憲法の本質に立ち向かっていそうな「
騙し絵日本国憲法」で最も憲法の勉強ができました。他にも「ジャンケン入門」「お金物語」「単位物語」「アキレスと亀」「江勢物語」などがH市の図書館に置いてあり、それらの本を読むとたちまち笑いと勇気がわいてきていました。つらいことがあっても清水さんの本を読んで勇気付けられたことがたくさん。パロディばかり書いているけど本当はすごく心優しい人なのだと思っていました。そして今は手元に図書館から借りてきた「
日本語の乱れ」という本があります。久しぶりに清水さんの本を図書館で発見し、前回書いた岸本さんの本を見つけたときのようななつかしい気分になって借りました。なんだかエラぶったようなタイトルですが、中身はヘンな小説がつまっております。日本語の乱れに抗議する人たちの投書をあつめたものとか、音声認識ソフトの爆笑認識結果とか、おかしい「学習の手引き」とか、比喩教育の成果にならない成果とか。。。
たとえばヘンな比喩の例(以下引用)
「ぼくは学校で、遊んでもいいような休み時間には、よく学校のすみっこのような校庭で、ボール遊びのような三角ベースをしている。これは四人ぐらいのような五、六人で、やきゅうのようなことをすあそびで、友達のような男子とやる。そのときはたのしくあそんでいるようにたのしい。
それにあきると、ほかのことがしたくなったようにべつのことをする。
休み時間は、勉強をしなくてもいいように大好きだ。」
なんとAをBではなくてAをAに喩えているのだ。それは喩えではないのだが。
おっと、この記事で書きたいことはそれだけではなかった。清水義範さんは最近雑誌婦人公論にも素晴らしい記事「大人が持つべきは、ほめあって育てる自己肯定感」を投稿されました。新聞で目次を見つけ、これは中身を読まなければと思って立ち読みしたところ(ワルイ客です)、心温まるやさしい内容の文章でした。やっぱり清水さんは我々の心優しい味方です!って、我々ってだれ?人たちみんなということにしておこう。
最後に彼のファンサイト「
永遠の清水義範」を紹介しておきます。