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環海異聞 2 - ハワイ初の日本人?

2006-01-15 17:41:20 | 書籍
この本については3月にもで少し触れていますのでそちらも見て下さい。
何故またこの本を取り上げたかというと、1804年に、今のハワイで
ある当時のサンドイッチ諸島に寄港している日本人たちがいたからです。
かれらはイザベラ・バードよりも早く、また恐らく日本人としては初めて
ロシア船による世界一周の航海をして、現在のハワイ、当時のサンド
イッチ諸島にも初めて着いた日本人と思われます。

この日本人たちは仙台の船乗りで江戸に米を運ぶ途中時化に合いロシア
へ漂着します。当地で8年の滞在を経てロシアの使節レザノフにより
2年の世界一周の航海の後1804年に長崎に送り返されるのでした。

レザノフの船はロシアからデンマーク、イギリス、ブラジルを経て長崎
までの途中にサンドイッチ諸島に立ち寄っています。
従って、この船に乗せられていた日本人たちは長崎に着くまで世界一周
の航海をしたことになるのでした。

このロシア滞在記「環海異聞」をまとめあげたのは仙台藩の医師大槻
玄沢でした。この本は現代訳として雄松堂から出版されていますが
何と6,180円もします!

今から200年以上も前にハワイを訪れていた日本人がいたとは
ちょいと驚きですね。幕府は当時鎖国政策をとって
おり、日本人が海外へ出ることも許されることではありませんでした。
漂流民とはいえ外国から帰国することは結果としてご法度になるのです。

ロシアから送り返される際の航海で、世界の国々に寄港し帰国してその
滞在記録が今に残されているのは大変貴重な資料でもあります。
彼らが寄港した当時のハワイはカメハメハがオアフ島を征服してハワイ
王国を樹立してまだ間も無い頃でした。そういう意味ではハワイはまだ
まだ未開の土地だったのですが、すでに当時のハワイにはフランス人
が先に来ていたことを仙台の漂流民たちは船中のロシア人から聞いて
いますので、この時の寄航ではロシアとしてはフランスに対し警戒心を
抱いたせいか、ハワイにおいて大した交易は出来なかったようです。

ジェイムス・クックがハワイ島に上陸したのが1778年、クックの
航海の成功に触発されたフランス人の探検家がハワイを訪れマウイ島に
1786年に一日立ち寄っています。

したがってレザノフがハワイに寄港したときにロシア人以外の国の
人間が既に来ていたとしても不思議ではありませんが、当時のロシア
とフランスの関係を考えるとこの辺は非常に興味深い歴史のヒトコマを
垣間見ることができます。

レザノフ自身の日本滞在日記も文庫本で出版されております。
こちらも当時を知る上で大変貴重な資料であることを付け加えておきます。

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