建築家のブログ 西尾善博 【 多治見 土岐 瑞浪 恵那 可児 版】

瑞浪の設計事務所。近代建築を研究。シンプルで、温かく、しっかりした設計を心がけています。

連想 学校の耐震補強

2012-02-23 22:10:08 | 建築に関するコラム
小中学校の耐震補強は子どもたちの命を守るための工事です。

でも、学校を守るということは、ほかにも守るものがあります。
たとえば、地域の人達の心のよりどころを守るということです。
卒業生にとって、校舎というのは自分のふるさとの象徴です。

そして、地域にとっては歴史や文化の象徴です。

ですから、学校を守るということは地域の精神性を守ることにもつながるのです。

そこで、提案です。
せっかく補強したのですから、そして最近は子どもの数が減って教室にも余裕があるようですから、一室を地域の資料館にしては堂でしょうか。

というのが、私の連想で、提案です。

町医者的建築家

2012-02-18 20:48:57 | 建築に関するコラム
自分がどんな建築家になりたいかといえば、町医者的建築家といったところでしょう。
大病院の専門的な治療ではなく、町の診療所で患者さんを診察し治療する医者です。


(野口英世博士は町医者ではなかったですが・・・尊敬する人です。)

町の診療所だからといってもけっして技術が未熟だとかレベルが低いというわけではありません。医者としての診立てはしっかりしていなければなりません。また、人の体について熟知していることはもちろんですが、新しい医療や病気についても知っていなければなりません。たとえ自分では行わないような外科手術や治療法であっても知っていて、適切に大病院と連携しなければなりません。
同様に町医者的な建築家というと、建築について熟知していることはもちろんのこと、大規模な建築や最新の建築、デザイン以外の構造や設備に関する技術、文化伝統、都市計画にいたるまで知っていて、適切に関係者と調整することが重要です。
私も、大学卒業後、東京の建築家に指示し、大規模なマンション、商業施設を扱い、また都市整備公団、ゼネコンにも在籍し、大規模な工事を経験しました。また独立し、小規模な住宅を経験し、また家業の工務店の仕事も経験し、住宅の建設、リフォーム、補強工事や修繕工事などを経験してきました。
なぜこんなにいろいろやっているのか、自分でも疑問に思うこともありました。結局、自分がなりたかった建築家の姿がこの「町医者的建築家」だったんだな、と思っております。これからもこの経験を生かして、地域の方々の建築に関する課題に果敢に取り組んで生きたいと思っております。

お寺の屋根瓦

2012-02-11 08:41:14 | 建築に関するコラム
地震からみですが、
日本の大きなお寺の屋根。たいていは瓦で葺いてあります。住宅用と比べ大きな瓦で葺き方も違います。重厚な構造になっていて大変どっしりとしています。そして大規模なものは勾配が非常に急になっています。


(唐招提寺 参考)

ただし、屋根が重いということは地震には不利な条件です。しかしこういう大きなお寺は屋根を急勾配にすることで、大きな地震があったときには瓦がパラパラと先に落ち、屋根が軽くして建物の倒壊を防ぎ、中にある仏様を守るという説があります。
「なるほど。」と思うわけですが、しかし建築家としては瓦が落ちた時点で「建物の一部が壊れた」と考えるわけ、お寺ならではの美談かなと思っています。

住宅という凶器

2012-02-11 08:09:05 | 建築に関するコラム
このことは、建築家は必ず触れなければいけないことです。
今日の新聞でも、住宅火災で死傷者が出た記事が出ています。
火災による死者数はここ20年ほど年間2,000人とほぼ一定です。
(このうち相当の数が自殺らしいですが。)
また、それよりも地震時の建物の崩壊も人命に危害を及ぼします。
阪神・淡路大震災では死者6,400人のうち80パーセント以上の方が建物の下敷きで亡くなっています。
(あまり具体的なことは書きたくないのですが・・)


(写真は神戸市ホームページより)

2階の床が落ちてくるとか、梁が落ちてくる、屋根が落ちてくる、壁が倒れてくることで人が押しつぶされてしまいます。
さらに家具の下敷きになるとか、家財道具が散らかって避難できなくなるということも多数ありました。
そして地震発生後数秒から十数分の間に多くの方が犠牲になっています。

しかしながら、一方でしっかり補強したもの、昭和56年以降の新しい建築基準法の基準に従って建てられていたものは被害が少なかったようです。

家を凶器にしてはいけません。
まずは家の中の片付けをして、是非、耐震補強を行いましょう。
また、不要な部分は撤去することも大変有効です。

増改築を考える前に

2012-02-10 20:50:10 | 建築に関するコラム
「増改築を考える前に、掃除をしましょう。」
なぜ増改築を考えるのでしょうか。
家族が増えるとか、キッチンを新しくしたいといった理由があると思います。
いずれにせよ、部屋が増えたり趣が変えると家全体の雰囲気が変わります。
ですから、増改築をする場合はその部分だけでなく、家全体のことを考えなければなりません。
となると、いったん家全体を整理整頓し、
どこをどう変えると全体がどうなるのかを見直す必要があります。


(パナソニック ホームページより)

場合によっては不要なものを整理した結果、
スペースが確保できて、キッチンや設備機器、家具などの取替えだけで済むことがあります。まずは全体を見直してみましょう。