建築家のブログ 西尾善博 【 多治見 土岐 瑞浪 恵那 可児 版】

瑞浪の設計事務所。近代建築を研究。シンプルで、温かく、しっかりした設計を心がけています。

窓の参考写真

2015-10-22 23:26:45 | 建築作品

窓の形については、一般に引違いや嵌め殺し(FIX)が多いのですが、組み合わせると、意外とおもしろいデザインになります。

写真はロフト的な部屋を設計した時の窓ですが、引違い、片開き、FIXを組み合わせたものです。

もちろん費用はそれなりにかかりますが、戸建て住宅用のカタログにあるものなので一般的な予算でできると思います。

窓は意外と大事です。ここぞというところの窓はきちんと納めましょう。


住宅の形態の分類

2015-10-21 22:45:31 | 建築作品

 

今日は住宅の分類をしてみました。分類するためには基準が必要ですが、二つの軸を考えました。

ひとつは地域性と一般性です。住宅は地域ならではのデザインがあります。日本らしいとかヨーロッパ風だとか北欧風だとか、南仏風だとかです。地域性は地域の材料や技術、人びとの嗜好や歴史によってつくられてきたものです。対する一般性というのは、特に1900年ころから世界中に共通に作られるようになった直方体や平面、曲面の組合せで構成された近代建築があります。地域の特性にこだわらず装飾を排し、シンプルで抽象的な美しさを表現したものです。これは地域性と一般性の軸です。

もう一つはOPENとCLOSEの軸です。開放性と閉鎖性です。日本の数寄屋造りは柱で屋根をさせる構造は基本で、外部や部屋と部屋の境は襖や障子で構成されており、非常に開放的な空間の構成になっています。一方でヨーロッパの組積造の家は壁で建物を構成しているので構造的に窓は小さな穴をうがつように設けられており非常に閉鎖的な空間となっています。数寄屋もヨーロッパの組積造も地域性の強い家ですが、一般性の強いつくりでも壁で構成して隙間や壁に穴をあけて窓をつくるなど閉鎖性の強い家もあれば、壁のほとんどをガラス張りにして視覚的にも外部とのつながりを感じる開放制の強い家もあります。前者の代表的な建築家はル・コルビジェや安藤忠雄があげられ、また後者はミース・ファン・デル・ローエがあげられるでしょう。

またバランスの良い建築家としてはFLライトや吉村順三らがあげられます。

お気に入りの住宅があれば、この二つの軸でできた平面に当てはめてみると面白いでしょう。

 


自分の思い通りの間取りの家づくり実践編(5)

2015-10-15 22:03:53 | 建築作品

こんどははじめに作ったプランに戻って、1.の建物の外形から見直してみました。

リビングの南の壁をななめに振ってみました。

建物に面白味ができたのとリビングの空間にゆとりができたように思います。

天井高をあまり気にしていないのですが、鋭角になった部分の天井を上げても面白いかもしれません。

寝室はロフトを作る前提で建物の高さを高くしてみました。

なんとなく建築家らしくなってきたでしょう。

 


家づくり、ちょっと一休みして

2015-10-13 21:48:26 | 建築作品

ここまで間取りをつくってきましたが、このあたりでちょっとひと休みして検討しなければならないことについて考えてみます。主に次の4つの分野について考える必要があります。

1、法律

2、構造

3、予算

4、オプション

 1.法律については、実はこの規模の敷地でこの程度の面積の平屋の建物で構造が法律的に問題になることはほとんどありません。法律は集団規定といって、この地域に建ててもよい用途かどうか、面積や道路との関係は問題ないかといったことをチェックしますが、近隣に住宅があるような場所ならほとんど問題はないでしょう。また単体規定といって建物自体の構造や採光などの条件は満たされているかチェックしますが、一般的な高さ、広さであれば問題はありません。敷地については、周辺との高低差が2m以上の段差があるとガケ条例の対象となる場合がありますが、そういう場合は始めから高低差を活かした計画をするよう心がけましょう。

 2.構造については実は木造を前提に進めてきました。地震に耐えるため、あるいは強風、積雪に耐えるために柱や筋違、壁の配置が重要ですが、この方法では初めに建物を4つの部分に分けて考えるようにしていますので、それほど大きな空間をつくることもないので構造的に問題になることはないと思います。もし大きな窓をつけたいとか壁をもっと減らそうとするならば鉄骨造等の工法を検討すればよいでしょう。

 3.予算については、坪当たりの単価を50万円弱で想定しています。システムキッチンや洗面化粧台をどういうものにするか、壁紙や外壁の仕様、建具の仕様などで金額は異なりますが、50万円で想定して予算を立ててから工務店などに相談し、余裕があればグレードアップ、厳しければ仕様や構造の見直しをすることになります。いずれにせよ坪あたり50万円程度で収まるのが望ましいと思います。

 4.オプションについては、オール電化や断熱性能のアップなど建物の構造に関わるものから、キッチンのグレードアップ、便器のグレードアップ、間接照明などなどの設備機器、木製建具や階段の手すりなど建築部材などさまざまなものがあります。予算と相談しながら繰り返し間取りを変更していく中で織り込んでいくことになります。

 以上については、実は設計士の仕事です。もちろん設計士の一番重要な仕事はお客様の希望を形にすることですが、お客様の見えないところで専門家としてこれらの検討を行っています。ときどき「建築家は予算を無視してかっこうばっかり考えている。」といわれますが、予算を無視して設計の仕事は成り立たないことはよくわかっています。