暑さをしのいで 陽がやわらぐのを待って
夕刻を待たずに 夏の日の横断歩道を渡って
追い抜いて行った 10代の夏休みの子たちが
もう 若くない自分を 振り返らせた
帰りの道の真ん中 車がやってくるというのに
道に倒れた アゲハの羽が広がっている
走って 家のドアを開けて あなたに助けを求めた
アゲハを 助けてあげて
晩夏生まれのあなたは アゲハに手を差し伸べた
触れられた瞬間 アゲハは高く舞い上がった
道には アゲハの血
痛々しい羽ばたきは あなたの最後のよう
渾身の力を込めて 飛んだ羽ばたきは
まるで あなたの最後のよう