やあよのブログ

コツコツと詩を書いています。楽しく読んでいただければうれしいです。

雨が心を揺らして

2021-06-28 00:54:07 | ポエム
今日も あなたはいない
いつになっても いつまでもひとりぼっち

今日も あなたは来ない
いくつになっても いつまでもひとりぼっち

梅雨の夜の空気は蒸して 家のネコは瞳スネて
誰もいないけど 誰も来ないけど

雨が心を揺らして
こんな夜は さみしさに誰かに電話したい
雨が心を濡らして
こんな夜は 悲しさに誰かに逢いたくなるけど

涙ぐむひとり寒く
両手で自分の肩を抱いて
もしも愛されたなら
わたしを知るのなら

雨が心を揺らして
こんな夜は さみしさに誰かに電話したい
雨が心を濡らして
こんな夜は 悲しさに誰かに逢いたくなるけど

こんな夜は 悲しさに誰かに泣きたくなるけど

泣きたくなるけど



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リトル・スカイ・タイ

2021-06-28 00:19:14 | ポエム
 今年、クレイジー・リッチが流行った。
 3月末の夜、向かいの家の奥さんが崩壊して2階の窓から乱れた髪で、今にも気のフレた声で落ちてきそうだった。
 僕は家の前からその夜、町中の不吉な空気を感じていた。
 僕の気の狂った母は、経済的にうまくいっている僕を当てにして、毎日のようにインターホンを押し、ドアを叩いた。
 次の日には郵便配達の人が同じようにインターホンを押し、ドアを叩いた。
 2月の上旬には、最後の犬が郵便局を語って国中に転送不要の郵便物をバラまいた。
 その後1ヶ月くらいしてから、僕の住んでいる市から、謎の給付金の郵便物が届いた。
 僕と僕のネコのタイは泣かなかった。家のドアを開いて一歩家を出ると空気が狂っている。政府崩壊の日が来たのかもしれない。

 タイは今年、9歳になろうとしている。
 白いボディのネコのタイも家の外の空気を敏感に察していた。
 4月8日の朝だった。その日は晴れだった。
 大阪に出張していた父が帰ってくるので、僕はタイを2階の窓際から外を眺めさせた。タイを自立させた。僕は1階に降りて外に出て道の角から、家の2階の窓際から青空の下、町を見下ろし見張っているタイに両手を挙げた。
 「タイー! タイー!」
 タイにはとりあえず2週間分の食事を用意しておいた。父ならこの町の異常な空気をすぐに感じとるだろう。
 僕はテーブルに、父に簡単なメッセを残した。
 「この町には精神科がないので、隣町の精神科にお世話になってきます」

 僕が家を去る時、タイは泣かなかった。
 リトル・スカイ・タイ。
 今日は快晴だ。
 タイは今にも大空を、青空を飛ぼうとしている。
 2か月後には僕も短期入院で家に帰るだろう。
 タイは人社会のギセイじゃない。
 タイなら生き残るだろう。




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