日本の真実

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世界に誇る日本人の発見 化学編 その一 フロンティア軌道理論

2006-10-09 12:42:56 | Weblog
◎フロンティア軌道理論の発見:福井謙一

1918年、奈良県に生まれた福井は京都大学工学部に進学し、化学を専攻しました。当時、化学反応は電子のプラスとマイナスが電気的に引き合うことで起こるという有機電子論が信じられていましたが、これでは電荷を持たない一部の化合物の反応の説明が付きませんでした。
数学や物理学が好きで勉強していた福井は、量子力学の考え方で化学反応を説明しようと試みました。有機電子論は全ての分子軌道が関与しているという考え方でしたが、福井は分子軌道のうち最もエネルギーの高い軌道と最もエネルギーの低い軌道のみが反応に関与すると考えました。そして、この2種類の軌道を「フロンティア軌道」と名付けた「フロンティア軌道理論」を完成させ、1964年に発表しました。発表当初は注目されませんでしたが、翌年、アメリカのウッドワートとホフマンが福井の論文を引用して「ウッドワード・ホフマン則」を発表し、これが脚光を浴びたため、福井の理論も世界的に知られるようになりました。
「フロンティア軌道理論」はとても難しい理論ですが、全ての化学反応に当てはまる画期的な発見であり、1981年、福井はこの業績により、ホフマンと共に日本人初のノーベル化学賞を受賞しました。
(信)