日本の真実

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アジア発の国際学術誌創刊

2006-06-16 23:46:54 | Weblog
 日本、中国、韓国、インドを中心としたアジア発の国際学術誌「Chemistry-An Asian Journal(CAJ)」が今年7月に創刊される。本誌を通じて、アジアの有力化学会が一致団結して、自前の学術誌を発刊し、欧米のトップジャーナルに対抗していく。初代編集長(Chairman of Editorial Board)は、ノーベル化学賞受賞の野依良治博士(理化学研究所理事長)である。
 編集者の一人である東京大学の中村栄一教授によると、「アジア発の研究の評価は、欧米の一流誌への掲載の有無で決まってきた」が、「これを是とするアジア人は恐らく今はいない」。CAJ創刊は、「台頭著しいアジアが自分たちの研究の方向性を自ら決定し、自ら評価するという決意表明である」。(「アジア化学雑誌の発刊について」中村栄一著より)
 CAJ創刊の背景には、アジア発の一流誌が存在しないために、学術分野で主導権を握ることができないという事情があるが、わが国の研究成果の海外流出という懸念も見落としてはならない。日本人の論文発表の世界シェアは12%であるが、実にその80%が海外の学術誌に発表されている。日本の研究者は、欧米のトップジャーナルに論文を発表しようとしているが、学術論文を雑誌に投稿する場合、著作権は出版社に移譲されることが慣例となっているため、日本の知的財産の多くが欧米の出版社に帰属してしまっているという由々しき状況をひき起こしている。野依博士らは、日本発の国際的学術誌の発刊を目指しているが、今回、アジア発の国際学術誌創刊の運びとなったことは歴史的な第一歩である。(ほ)

アジア化学雑誌の発刊について(東京大学 中村栄一教授)
http://www.chemistry.or.jp/kaimu/ronsetsu/ronsetsu0602.pdf
Chemistry - An Asian Journal Editorial Board
http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/jabout/112140232/2451_edbd.html