グリュプスは朝からのお仕事と夜中からのお仕事を掛けもってる。
前のお仕事がなくなってしまってから。
そうなってからのグリュプスは、本当につらそうだった。
あのグリュプスが、「つらい」と口にしたのだ。
いつもの穏やかな優しい話し方で、「正直きついね」と口にしたのだ。
この間逢えたときも、いつものように微笑んで、わたしの荷物をすっと持ってくれたけど。
グリュプスの翼はかなり傷つい . . . 本文を読む
グリュプスはあまり眠れないんだと話してた。
それはグリュプスと付き合うよりかなり前からのことで、たびたびグリュプスが口にしていた。
あるときわたしは、グリュプスに睡眠薬を勧めた。
ほんとはよくないことだけど、わたしといるときにわたしの睡眠薬を飲んでもらった。
それを幾度か繰り返して、グリュプスに合う睡眠薬を見つけた。
グリュプスは睡眠薬を使うようになった。
睡眠薬は正し . . . 本文を読む
この間、仕事中にコロルとすれ違った。
コロルが正面から歩いてきたのに全く気付かなかった。
コロルから、「お疲れ様」と声をかけられて、全く無防備だったわたしは「お疲れ様です」すらまともに話せなくて、反射的に口が動くままに応えた。
コロルとすれ違った後もしばらく心臓は跳ね上がったままで、マスクの下の頬はいつもより熱かった。
あぁ、やっぱりコロルがすきなんだなぁ、と思った。
この . . . 本文を読む
この白い地から出たら、どんな世界なのかな。
何回か、出たことはある。
でも、この白い地から離れ住んだことはない。
この白い白い鳥籠は、わたしにとって居心地がいい。
それでも、ふと出てみたくなる。
南の白くない冬、都会の星が見えない程のネオンを見てみたくなる。
きっと、白い鳥籠よりいい場所はないだろう。
わかってはいるんだ。 . . . 本文を読む
あぁ…そうだ。
わたしには絵があるんだ。
まなりにご飯を作ったり、手を繋いだり、頭をなでたりできなくなったこの手は。
絵を描くことが出来た。
そしてその絵は、わたしに新しい人々をくれた。
その人々達が、昨日思い出させてくれた。
また、描いてみようか。
わたしは紙を使っても謳えるのだ。 . . . 本文を読む
七夕。
わたしの住む土地は、まだ七夕じゃないけど。
去年、まなりは私のために願ってくれた。
忘れてない。
願い事も、短冊も。
今年は、願ってくれる人はいない。
わたしが願ってもいいかな。
例え、もう遅くとも。
今日くらいは。 . . . 本文を読む
最近、消耗している。
動悸や刻むリズムもおかしいし、
下痢もしやすくなっている。
頭痛がする日も増えている。
痛み止めをのみ、
この身体を動かす。
もともと壊れている足は、調子がいい日が減ってきた。
だんだん、弱ってきた。
こんなときでも思い出すのは。
彼女は弱っていたとき、何を考えていただろう。
そんなことを思いながら浅い眠りをくり返す。 . . . 本文を読む