「ritsu、好きだよ。」
このメールの3日後、「実は少し前から気になってるひとがいたんだ…」
「欠点だらけの俺だけど、絶対にritsuを幸せにするにゅ!」
その手紙も、果たされることはなく。
何度も繰り返されてきたこと。
喜んで、傷つけられて。
信じては、裏切られ。
相手に期待をしてはいけない。
「このひとはわかってくれている」
こんな期待もいけない . . . 本文を読む
グリュプスが、指輪を買ってくれた。
ペアリング。
ずっとほしかった。
でも、その気持ちはそっとしまっておいた。
だから、すごくうれしくて。
部屋で、ふときいてみた。
「これは何指輪?」
グリュプスは、あの優しい表情で、穏やかに言った。
「婚約指輪だよ。」
はじめてきいた言葉。
プロポーズなら、されたことがあるけど。
これは、わたしがグリュプスのもの . . . 本文を読む
昔飼っていたインコ。
すごくすごく、なついていて。
鳥かごから出せば、いつもわたしの手にまとわりついていた。
あるとき、ついしつこいと、軽く手を払った。
その手はぺち、とインコにあたり、インコは軽くソファに落とされた。
ケガも何もなく、インコはすぐに体勢をととのえ、わたしの方に身体を向けた。
でも、飛んでこなかった。
ただ、ただわたしをじっと見ていた。
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「甘えていい」という言葉は信用してはいけない。
これは嘘だから。
何故か、みんな本当に心から言ってくれるのに、嘘だから。
今まで何人もの人間で学んできたはずなのに。
つい、疲労のあまり甘えてしまった。
案の定、こうなる。
学ばないな、わたしも。
何のための記録なんだか。 . . . 本文を読む
はぁ…
シラユキが…うごかなくなってしまった。
時間のあるときに少しずつ絵を描いたり、寝る前に音楽を聴いたりして過ごすことが、この街に来てからのささやかな趣味、だった。
それができなくなってしまった。
いつ直るかわからない。
修理に出せる日さえめどがたたない。
直らなければ、どちらもまた、1から築かなければならない。
はぁ…
ほんとうは、かなりショックなのだ。
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グリュプスは朝からのお仕事と夜中からのお仕事を掛けもってる。
前のお仕事がなくなってしまってから。
そうなってからのグリュプスは、本当につらそうだった。
あのグリュプスが、「つらい」と口にしたのだ。
いつもの穏やかな優しい話し方で、「正直きついね」と口にしたのだ。
この間逢えたときも、いつものように微笑んで、わたしの荷物をすっと持ってくれたけど。
グリュプスの翼はかなり傷つい . . . 本文を読む
グリュプスはあまり眠れないんだと話してた。
それはグリュプスと付き合うよりかなり前からのことで、たびたびグリュプスが口にしていた。
あるときわたしは、グリュプスに睡眠薬を勧めた。
ほんとはよくないことだけど、わたしといるときにわたしの睡眠薬を飲んでもらった。
それを幾度か繰り返して、グリュプスに合う睡眠薬を見つけた。
グリュプスは睡眠薬を使うようになった。
睡眠薬は正し . . . 本文を読む
わたしは音がにがてだ。
車の音、他人の話し声、耳を切る風…
全てわたしの思考をかき消す。
ここの町はわたしを休ませてくれない。
ありえないほどうるさいナースステーション。
大きな十字路の角にある寮は四六時中車の音がやまない。
ふだんは全ての音にそこまで敏感であるわけでもない。
少し疲れたり、気がたっているときはそれらの音がすごく気に障るのだ。
前にいたところは、ナー . . . 本文を読む
こんなに苛ついても、すれ違うとかなしくて。
もしかしたら、これで終わってしまうのかな、と思うとくるしくて涙がとまらなくて。
やっぱり、わたしはグリュプスが好きなんだと。
グリュプスが必要なんだと思った。
グリュプス、ごめんなさい。
だから、これからもわたしのそばにいてください。 . . . 本文を読む