たまたま、通りすがりのブログで、ネザーランドドワーフの記事を見かけた。
そういえば、まなりはこの子が好きだった。
ペットショップで見かけて、一目惚れしたようだった。
いつか飼おうね、って言ってて。
未来の生活を想像してふたりで遊んだ。
その未来は永遠に来ないけど。
たまに、グリュプスとの未来を想像する。
いつか一緒に暮らせたら。
あんなことやこんなことをしよ . . . 本文を読む
きょうは、グリュプスの紹介でもしようか。
グリュプスは、才能にめぐまれたひと。
賢さ、運動能力、文才、音感、色彩感覚に秀でているひと。
でも、その能力を発揮することを許されなかったひと。
環境が、運命が、グリュプスの翼を封じた。
グリュプスは賢いから。
自分の能力を知っている。
だから、翼を封じられながらも、誇りは失わなかった。
ただ、じっと耐えて。
弱音も泣き言 . . . 本文を読む
グリュプスがふと言った。
俺はきっとritsuを置いてきてしまうから。
ritsuを独りにしてしまうのはどうなんだろって。
本当に俺でいいのかなって。
もっと年の近いひとの方がいいのかなって。
最近思うんだ、と。
前に、わたしが年の差を気にしたことがあった。
わたしはグリュプスにしたら、小娘みたいなものじゃないかと。
グリュプスは言った。
対等だよ、と。
年の差な . . . 本文を読む
わたしが前の鳥籠を飛び立ったのは、もうそこでは生きていられなくなったから。
そして、わたしには「外科」というものが合わないとわかったから。
血が、手術が、というのではなく、あの時の流れかたになじむ事ができなかったから。
だから、内科にきた。
仕事は忙しいけど、時の流れかたは違う。
でも……
ときおり、ふと頭をよぎる。
わたしは、白衣の天使として舞うことそのものが…
. . . 本文を読む
今日から既に部屋を持った。
2部屋だけど、10人いる。
今では建築すら許されない、6人部屋があるから。
新規採用看護師には、2種類の看護師しかない。
既卒か、新卒か。
ただそれだけ。
限りなくsimpleで、限りなくsevereな分類。
でも仕方ない。
わたしは既卒看護師なのだから。 . . . 本文を読む
新しい鳥籠は。
あまりに前の鳥籠と違いすぎて。
前の経験が全く役に立たない。
新卒となんら変わらない。
それでも今日から既に、部屋を担当はしないが処置をこなし始めた。
自分が今何をしてるのかすらわからない。
ただ、ただ動き、ひたすら頭に、身体に叩き込む。
たまにふと頭に浮かぶのは、グリュプスのこと。
わたしは、このために。
ただ、ただグリュプスのために動いて . . . 本文を読む
昨日。
グリュプスはセイレーンに爪を向けなかった。
風もやませた。
そして、高く舞い上がり、セイレーンの頭上をくるりくるりと飛んでみせた。
グリュプスはまた静かに飛んでいった。
ありがとう…
ありがとう、グリュプス… . . . 本文を読む
セイレーンがいなくなる。
わたしたちが出会ったところから。
最後に、セイレーンは謳った。
距離以外は、受け入れる覚悟はあったはず、と。
ああ、わたしの謳は。
全く届いていなかったわけではなかった。
わたしの中の、わだかまりが溶けた気がした。
本当に、決別できた気がする。
きれいに、終われる。
セイレーンには、感謝してる。
グリュプスとの関係を進 . . . 本文を読む