ジーンズの糸くずを切る作業「時給7円、残業代無し、徹夜有り、休みは数ヶ月無し、罰金有り」
北京五輪で中国関連映画続々 経済成長『負の側面』描く
中国では北京五輪が開催中だが、急成長を続ける同国経済の「負の側面」を描いたドキュメンタリー映画が最近目立っている。農村から都会に出稼ぎにきて時給七円の工場で働く少女、大量の産業廃棄物から流れ出し、自然を破壊する有毒物質…。映像は市場原理主義、グローバリゼーションの暴走がわれわれに何をもたらすのか
警告している。 (小田克也)
「史上最大の民族移動が今、中国で起きている」。今秋公開の「女工哀歌(エレジー)」は、こんなナレーションから始まる。ユダヤ系米国人のミカ・X・ペレド監督作品だ。
主人公の少女ジャスミン・リーは十六歳。家計を支えるため四川省の農村から広東省の縫製工場へ出稼ぎにきた。
完成したジーンズの糸くずをはさみで切るのが仕事という。
朝八時から夜中の二時、三時まで働き、徹夜もしばしば。残業代はなく、休みも数カ月はとれない。
時給は〇・五元(7円、2005年の撮影時の換算)だ。
工場では、作業中の私語や居眠りに罰金が課せられ、労働者としての権利や安全は確保されていない。
中国には出稼ぎ労働者が約一億三千万人(人口の約1割)いるとされており、欧米諸国や日本に輸出するジーンズ工場などで働く。政府にすれば、彼女のような労働実態は知られたくない状況だろう。当局は撮影隊を拘束したり、撮影済みのテープを没収したりしたという。
こうした困難をへて出来上がった作品は、アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭で審査員から「『現代の奴隷制度』とでもいうべき状況を描いた」と絶賛されている。
北京五輪で中国関連映画続々 経済成長『負の側面』描く
中国では北京五輪が開催中だが、急成長を続ける同国経済の「負の側面」を描いたドキュメンタリー映画が最近目立っている。農村から都会に出稼ぎにきて時給七円の工場で働く少女、大量の産業廃棄物から流れ出し、自然を破壊する有毒物質…。映像は市場原理主義、グローバリゼーションの暴走がわれわれに何をもたらすのか
警告している。 (小田克也)
「史上最大の民族移動が今、中国で起きている」。今秋公開の「女工哀歌(エレジー)」は、こんなナレーションから始まる。ユダヤ系米国人のミカ・X・ペレド監督作品だ。
主人公の少女ジャスミン・リーは十六歳。家計を支えるため四川省の農村から広東省の縫製工場へ出稼ぎにきた。
完成したジーンズの糸くずをはさみで切るのが仕事という。
朝八時から夜中の二時、三時まで働き、徹夜もしばしば。残業代はなく、休みも数カ月はとれない。
時給は〇・五元(7円、2005年の撮影時の換算)だ。
工場では、作業中の私語や居眠りに罰金が課せられ、労働者としての権利や安全は確保されていない。
中国には出稼ぎ労働者が約一億三千万人(人口の約1割)いるとされており、欧米諸国や日本に輸出するジーンズ工場などで働く。政府にすれば、彼女のような労働実態は知られたくない状況だろう。当局は撮影隊を拘束したり、撮影済みのテープを没収したりしたという。
こうした困難をへて出来上がった作品は、アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭で審査員から「『現代の奴隷制度』とでもいうべき状況を描いた」と絶賛されている。