リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

ダムの時代 再び!?

2007-09-05 19:48:04 | ダムの穴
 脱ダムという言葉は好きではないのだが、そう呼ばれた時代があったということになるかもしれない。淀川水系でダム計画が復活されている。

淀川水系5ダム中4ダムを建設へ 国交省(朝日新聞) - goo ニュース
現場から 記者レポート 毎日新聞20070901

☆テキスト版
◎朝日新聞
淀川水系5ダム中4ダムを建設へ 国交省
2007年8月29日(水)00:53

* 朝日新聞

 国土交通省近畿地方整備局は28日、近畿の主要水源となっている淀川水系の河川整備計画の原案を発表し、琵琶湖周辺で建設・計画中のダム5カ所のうち4カ所について、建設を推進する意向を明らかにした。周辺住民や有識者らでつくる「淀川水系流域委員会」の提言を受けて05年7月、大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)と余野川ダム(大阪府箕面市)の凍結方針を打ち出していたが、大戸川ダムについては、「新たな洪水調節施設が必要」として異例の撤回を決めた。

 大戸川ダムは68年、利水、治水、発電を目的に計画され、用地取得などに約600億円が投じられた。だが、大阪府など自治体が相次いで利水から撤退の意向を表明。治水面でも淀川本流での洪水調節効果は低いとして事業を凍結していた。

 原案では、洪水が多発する桂川の大下津地区(京都市伏見区)の河道掘削計画を挙げたうえで、計画が完了すれば本流へより大量の水が流れ込むようになり、大戸川ダムを造った場合、本流への水量を調節できるとした。ダムは治水専用の「穴あきダム」とし、通常は水を流して洪水時のみ水をためる。総貯水量は当初計画の3360万トンから、2190万トンに大幅に減らした。

◎毎日新聞
<現場から記者リポート>大戸川ダム凍結撤回 問われる国の建設根拠 /滋賀
2007年9月1日(土)12:27

* 毎日新聞

 ◇2年で方針一転

 ◇中流部改修に伴い必要性? 流域委の議論に注目

 国土交通省近畿地方整備局が28日発表した淀川水系の河川整備計画原案で、普段は水を貯(た)めずに流し、大雨時に貯める「穴あき」ダムとしての建設方針が示された国直轄の大戸川ダム(大津市)。同ダムは、国が2年前に「凍結」方針を示したが、再び建設に転じる事態となった。今回発表されたのは国の原案で、今後は地元や学識者、府県の意見を聞くプロセスを経て決定されるが、実際に穴あきダムの建設にいたるのか。これまでの流れと国の方針の背景を探った。【服部正法】

 ◆複雑な経緯◆

 大戸川ダムは大戸川、宇治川、淀川の治水や大津市、京都府、大阪府の利水などのために計画された多目的ダム。80年代以降、ダムや堰(せき)の建設など国の河川政策への反対が高まり、97年に河川法が改正。法の目的に「治水」「利水」に環境保全が加えられ、20~30年の河川整備内容を示す「河川整備計画」に住民や知事の意見が反映されることになった。これを受けて発足した専門家会議「淀川水系流域委員会」は03年、建設・計画中のダムについて「原則として建設しない」と提言。一方、近畿地方整備局は05年7月、大戸川ダムなど2ダムを「凍結」、丹生ダム(余呉町)など2ダムは「規模縮小」の方針を示した。

 脱ダムの流れの中、ダムで水没するため移転を強いられた大戸川、丹生両ダムの地元は反発。当時の国松善次知事も国に建設を訴えたが、昨年7月に両ダムを含む治水ダムの「凍結・見直し」を説く嘉田由紀子知事の就任で事態は複雑化。国の判断が待たれていた。

 ◆根拠の妥当性◆

 「淀川水系下流部の堤防強化が約5年で終了できることが調査で分かった。次のステップは中流部の桂川などの整備。2年前には中流部の改修がすぐできるとは思っていなかった」。近畿地方整備局の谷本光司・河川部長と井上智夫・河川調査官は28日の記者会見で、わずか2年で大戸川ダムを“復活”させた根拠を尋ねる報道陣に対し、最新の知見を基にした判断だと繰り返した。根拠は(1)2年前には、先に進める淀川水系下流の堤防強化に相当時間かかると想定し、中流部の改修は整備状況を見て判断すると考えた(2)その後、下流の堤防強化が約5年で終わることが分かり、地元から改修の要]がある桂川、宇治川など淀川水系中流部の整備に入ることが可能と判明(3)中流部の整備が進めば、下流部への流量が増え、下流部での洪水リスクが高まるため、上流部での洪水調節機能が必要――との論法だ。同局は具体的な数値は出さなかったが、今後流域委員会や関係自治体への説明の中で詳細なデータが提出されるとみられ、根拠が妥当か否かの検証が必要だ。

 国の大戸川ダム凍結撤回をどう見るか。ある県幹部は「2年前に一気に『凍結』まで持っていったのが行き過ぎだったのでは。背景は分からないが、今回はノーマルに戻ったと言える」。また、別の幹部は「国の意図は分からないが、計画してきたダムが『凍結』ばかりになると困るという考えもある」と省内での“揺り戻し”を推測する。

 嘉田知事は同ダムの有効性を認めるが、本音では「凍結」を貫きたいように見える。国が凍結から建設へと舵(かじ)を切ったことは、知事の本音とは逆方向とも取れるが、県にとって当面の問題は、進行中の道路など周辺事業の成否。下流の京都、大阪両府が負担金の支払いを渋る中、国が再度凍結を明言すると事業自体が止まりかねないが、国が建設の意思を明確にしたことで、中止が避けられる可能性が出た。一方、ダム本体については、流域委で国がどれほど説得力のある根拠を示せるかで事態が変わることも考えられる。果たして、ダム建設に道が開かれるか――。9月の流域委の議論ェ注目される。

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