リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

第38回  ミズガキと川ガキ  河川遊泳型児童を考察する?

2016-09-12 05:36:52 | ”川に生きる”中日/東京新聞掲載

(ミズガキ」と「川ガキ」。河川遊泳型児童には二種類があるという発見レポート! 「ミズガキ」の誕生秘話も紹介?!

川辺のにぎわいが消え、暑かった夏も終わろうとしている。にぎわいといえば、川で遊ぶ子供たちに優るものはない

 魚類研究仲間たちと飲んでいる時だ。魚類研究家で日本中の河川を知る君塚芳輝さんがどこそこの川には「ミズガキ」がいる。という話をされた。君塚さんは川で遊ぶ子供をミズガキと名づけて、魚類など生き物と同じように記録していた。

 長良川河口堰建設に反対する作家、写真家が参加した出版プロジェクト「長良川の一日」(1989年 山と渓谷発行)。私は長良川には普通にいるミズガキを紹介する文章を書いた。エッセイなどを集めた本だったが、洒落のつもりで「ミズガキ(河川遊泳型児童)」と、絶滅危惧の生物として、分布や生態などを論文調に仕立て記述した。「ミズガキ」が活字となった最初の例だ。 

 それから二七年。夏ともなると各所で川遊び講習が開かれるようになったが、そこで生まれるのは「川ガキ」が多いようだ。

 川ガキかミズガキか。どちらでも良いようなものだが、その区別点を上げてみたい。

ミズガキはその川に固有のものだ。近くに住んでいて徒歩か、自転車で川にくる。持ち物はスクール水着とサンダル。水中メガネ、網やバケツなど採集道具を持っていることも。保護者はいないことが多く、自立した子供らが、群れを作って行動する。

川ガキは自動車で川にくる。水着はカラフルで、浮き輪は必須だ。最近はライフジャケットの着用率が増加している。川岸に布製の休み場をつくり、家族で行動する。

 川魚のアユで例えれば、ミズガキは天然鮎。川ガキは養殖鮎といえようか。

「ミズガキ」の最初の記録地は長良川だが、当地では川で遊ぶ子供のことを「ミズガキ」とも「川ガキ」とも呼んではいない。川で遊ぶ。それが当たり前の、本来の姿なのだろう。

(魚類生態写真家)

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