リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

ダムにより消える希少資源元

2009-06-03 17:50:12 | ダムの穴
サクラン 世界も注目 スイゼンジノリから抽出 米化学会誌の表紙飾る(西日本新聞) - goo ニュース

 サクランという物質。水の中のレアメタルを濃縮する性質をもっている。
 そのサクランが含まれれるのはスイゼンジノリという藍藻のなかま、食用になるのだが、緑色した寒天みたいな独特の食感がある。その藍藻にこんな性質があるとは知らなかった。
 藍藻以外にも淡水に生育する紅藻類のなかま、なんたらモズク 例 オキチモズク
 参考 こんなところにある

 なんかも、鉱泉など特別な物質があるところに生息しているからレアメタルの吸着をしているのかもしれない。
 
 ところが、こういった藻類の保護はほとんど困難である。地下水そのものを保護しないと生息する条件がなくなってしまう。だからダムができたらその保護は絶望的だといっていい。

 ダム関係のコンサルタント氏から聞いた話だが、「対策ができないから藻類はなるべく報告しないように」という意向が、その筋にあるそうだ。


 
☆テキスト版

サクラン 世界も注目 スイゼンジノリから抽出 米化学会誌の表紙飾る
西日本新聞2009年6月3日(水)17:30
 福岡県朝倉市の黄金(こがね)川だけに自生する絶滅危惧(きぐ)種スイゼンジノリから抽出される新物質「サクラン」が世界の科学者からも注目を浴びている。発見グループの論文が、このほど発行された米化学会誌「マクロモルキュルズ」に紹介され、サクランの写真が冊子の表紙を飾った。上流域のダム建設計画で死滅の危機に直面するスイゼンジノリの評価があらためて高まりそうだ。

 ●レアメタル吸着性 実用化に期待

 サクランは2006年、北陸先端科学技術大学院大学(石川県能美市)の金子達雄准教授(天然物化学)のグループが偶然発見した。自然界で最大となる1600万の分子量を持つ多糖類だ。

 1グラムで水6リットルという高い吸水性に加え、レアメタル(希少金属)やレアアース(希土類元素)を吸着する性質もある。資源回収や化粧品などへの応用が期待され、金子准教授たちは実用化を目指している。研究は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業にも採択された。

 サクランが紹介されたのは、米化学会が4月末に発行したマクロモルキュルズ。金子准教授によると、日本の研究グループの成果が同誌の表紙に載るのは初めてという。

 高分子学会九州支部によると、同誌は高分子分野で世界的に権威ある専門誌。九州大学前学長で高分子物理が専門の梶山千里さん(69)も「商業誌ではなく学会誌なので論文の信頼度は高い」と話している。

 金子准教授らは国外の学会でもサクランの可能性を紹介している。グループの一員でNEDOの岡島麻衣子研究員は「最近は天然由来の新物質の発見が珍しい。ラン藻類の多糖類の実用例も少なく、海外の研究者も興味を持っている」と語る。

 しかし、黄金川での収穫量は水量減で最盛期の5分の1の年間約40トン。研究用の需要増加に対応できない。さらに、上流域に建設予定の小石原川ダムの影響で、スイゼンジノリは死滅の恐れが指摘されている。建設事業主体の水資源機構(さいたま市)は4月、有識者会議を設置、ダム下流域の環境保全を検討中だ。

 ノリ業者の羽野俊彦さん(62)は「研究用にもっと多くのスイゼンジノリを提供したいが、食用の需要もあり、できない。黄金川が昔の水量に戻れば生産量が増えるのに…」と話している。

=2009/06/03付 西日本新聞夕刊=
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