リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

シジミはセルロース(植物繊維)を分解する。

2008-03-05 09:42:15 | アユの流し目/雑記帳
シジミは干潟の掃除役 特殊酵素で植物繊維分解(共同通信) - goo ニュース

 研究者からの発表を見た方がよくわかる。
京都大学 ニュースリリース 20080304

論文 はこちらから読める

★テキスト版

関連ニュース (テキスト版のみ)

山陽新聞
シジミは干潟の掃除役 酵素で植物繊維を分解
干潟に生息する二枚貝のヤマトシジミが、河川から流れ込む木や葉に由来する植物繊維
のセルロースを特殊な酵素で分解していることを、京都大の笠井亮秀准教授(海洋生物環
境学)らが確かめ、4日発表した。
海の微生物もセルロースを食べるが、干潟の埋め立てなどでシジミが減ると、バランス
が崩れて微生物の働きが過剰になり、貧酸素状態を招いて青潮が起きる恐れもあるという。
笠井准教授は「シジミが水質浄化に貢献していることが分かった。全国の干潟はどんど
ん減少しており、シジミが生息できる環境を守ることが大事だ」と話している。
研究では、ヤマトシジミの体に含まれる炭素や窒素の同位体比を分析。海の藻類よりも
陸の植物の比率に近く、河川が運ぶ有機物を主な餌にしていることが分かった。またセル
ロースを分解する「セルラーゼ」と呼ばれる酵素も見つけた。

産経新聞
ヤマトシジミは干潟を保全、京大グループ
3月4日22時51分配信
河口の干潟などに生息する小型二枚貝の「ヤマトシジミ」が、植物中に含まれる炭水
化物の「セルロース」を分解して体内に取り入れていることを、京都大学農学研究科の笠
井亮秀(あきひで)准教授(海洋生物環境学)らの研究グループが突き止め、4日発表し
た。セルロースは通常分解しにくく、植物の葉などは海に流れ込んで富栄養化の原因にな
るとされており、ヤマトシジミは干潟の環境を守る役割を果たしているという。
研究グループがセルロースを分解する貝を遺伝学的に調べる過程で、ヤマトシジミが分
解酵素「セルラーゼ」を持ち、セルロースを体内に取り入れて糖に分解している特性を発
見した。セルロースを食べることが知られているシロアリが持つ酵素とよく似ているとい
う。
干潟などに流れ込んだ植物由来のセルロースは、バクテリアなどが分解するが、ヤマト
シジミも同じように分解して富栄養化を防ぐなど、環境保全の一翼を担っていることがわ
かった。
研究グループは「セルロースが海に流れ込むと、環境が悪化して青潮(あおしお)発生
の原因にもなり、地球環境に重大な影響が及ぶことになる。ヤマトシジミが生息する河口
部の干潟の再生は、地球を健康にさせるカギを握っているといえる」としている。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 水産学会みたいものリスト2008 | トップ | ソニータイマーはあると思う »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
タイワンシジミ種群 (世界的教養人)
2008-03-05 11:35:23
環境省のHP(http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/caution/detail_mu.html#10)によると、以下のように書いてあります。松山でも、宮前川に「市場で買ってきた素性のしっかりしたシジミ」を撒いて、「保護」している人がいるそうです。


生態系に係る被害
近縁な在来種であるマシジミの生息場でタイワンシジミが見つかると、3~4年でマシジミが消失し、タイワンシジミに置き換わる現象が確認されている。

農林水産業に係る被害
一般に食用として流通しているヤマトシジミは汽水産であるため、淡水に生息するタイワンシジミが影響を及ぼすことは無いと考えられる。

●被害をもたらす要因
 生物学的要因
タイワンシジミは精子を大量に持ち水中に放精する。マシジミやタイワンシジミは精子側の遺伝子のみが遺伝するため、タイワンシジミの精子をマシジミが吸い込み受精すると、子供はすべてタイワンシジミになる。
分布拡大する能力が高く、アメリカでは数十年で全米に分布が拡大した。
稚貝は粘液状の糸を分泌し物に絡みつくため、物資に付着して移動することができる。

 社会的要因
食用に中国から大量に輸入されているシジミ類に混在していたタイワンシジミが、何らかの形で河川に投棄され、繁殖していると考えられている。
調理前に砂出ししたり洗ったりする際に、エラ内の稚貝を容易に吐き出してしまうため、下水処理施設へと流れ出ない場合は、溝や川へと流れ着底する。
ホタルを復活させる目的で幼虫やカワニナを放流する際に、カワニナとともにタイワンシジミを外来生物と知らずに採集・放流した例がある。
返信する
カワヒバリガイ (ニイムラ)
2008-03-05 13:11:45
タイワンシジミは外来種、カワヒバリガイの移入ルートになったようだね。
金曜日に神戸に着く鑑真丸にシジミがたくさん積んであるそうだ。
返信する

コメントを投稿

アユの流し目/雑記帳」カテゴリの最新記事