リバーリバイバル研究所

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裁判の合理性

2010-07-01 09:45:08 | ダムの穴
設楽ダム訴訟、建設費差し止め請求を棄却 名古屋地裁(朝日新聞) - goo ニュース

 毎日新聞より

 「また、ダム建設で国の天然記念物の淡水魚・ネコギギの生息環境に多大な影響があるとの原告側の訴えに対しても、「合理性を欠くとの理由としては主張が足りない」とした。」毎日新聞より

 判決の原文をみてはいないのだけれど、毎日新聞の報道のとおりならば、ボクが裁判で証言した内容については主張がたりないと判断されたことになる。

 なにをもって合理性が足りないとされているのか確認していないのだが、裁判でボクが指摘したのは、影響がないと判断した資料が公開されていないことの妥当性だった。ネコギギに対して影響がないという予測を行うならば、その根拠を示すべきだということを述べたつもりだが、裁判所の判断は違うところにあるようだ。




☆テキスト版

 毎日新聞
設楽ダム訴訟:住民敗訴「非合理と言えず」 名古屋地裁
判決後会見する、在間正史・原告側代理人(右)と「設楽ダムの建設中止を求める会」の市野和夫代表(右から2人目)=名古屋市中区で2010年 6月30日午後4時38分、竹内幹撮影
判決後会見する、在間正史・原告側代理人(右)と「設楽ダムの建設中止を求める会」の市野和夫代表(右から2人目)=名古屋市中区で2010年6月30日午後4時38分、竹内幹撮影

 国が愛知県設楽町に計画する「設楽ダム」を巡り、市民団体メンバーらが同県知事らを相手に建設負担金支出の差し止めを求めた訴訟の判決が30日、名古屋地裁であった。増田稔裁判長は「(ダム建設を定めた)国の基本計画が著しく合理性を欠くとは言えず、負担金支出は違法ではない」として、原告側の請求を棄却した。同ダムは政権交代で事業継続の検証対象とされた全国32の国直轄ダムの一つ。

 訴えていたのは「設楽ダムの建設中止を求める会」(市野和夫代表)のメンバーら166人。

 訴訟では、国の設楽ダム基本計画や、ダム建設の根拠データなどを示した「豊川水系フルプラン」などの妥当性やダムの環境への影響の有無が争点となった。

 県側はプランに基づき、15年度の水道用水の需要を毎秒約4.5トンと想定。原告側は「県の予想値は03年度までのデータで算出している。07年度までのデータで想定すれば毎秒約3.5トンで足りる」と反論していたが、判決は「長期的な視点に立って、地域の経済や社会の発展にも十分対応できる水需要の見通しを立てる必要があり、プランが合理性を欠くとまで断ずることはできない」と判断した。

 整備計画に基づくダムの洪水対策については、ダムの洪水調節機能は限定的で森林整備や堤防改修などで代替が可能とした原告側の主張に対し、判決は「多様な治水手法のうち、具体的な決定は河川管理者の裁量に委ねられる」とした。

 また、ダム建設で国の天然記念物の淡水魚・ネコギギの生息環境に多大な影響があるとの原告側の訴えに対しても、「合理性を欠くとの理由としては主張が足りない」とした。【高木香奈】

 【ことば】設楽ダム

 国が豊川上流の愛知県設楽町清崎、松戸を建設地として1973年に計画提示した。水道用水や農業用水の新規水資源開発、洪水調節を目的とする特定多目的ダムで、高さ129メートル、貯水容量9800万トン。建設に伴う移転対象は約120戸。09年2月に町、県、国が建設同意の協定書に調印し、20年度完成予定。総事業費約2070億円で、愛知県は09年度までに計75億4100万円を負担した。







朝日新聞
設楽ダム訴訟、建設費差し止め請求を棄却 名古屋地裁

2010年7月1日0時11分


 国が愛知県設楽(したら)町に建設を計画している設楽ダムをめぐる住民訴訟で、名古屋地裁は30日、計画に反対して建設費負担金などの支出差し止めを県側に求めた住民側の請求を棄却する判決を言い渡した。増田稔裁判長は「計画が著しく合理性を欠くとは断じられず、支出は違法ではない」との判断を示した。原告側は控訴する方針。

 設楽ダムは昨年の政権交代後に始まったダム事業見直しの対象となっているが、関連工事や用地買収は進んでいる。原告は市野和夫・愛知大元教授(64)ら同県民166人。「水の需要がないのにダムを建設するのは無駄で、環境悪化も招く」などと主張し、神田真秋知事ら2人を相手に2007年に提訴していた。

 判決は、ダムが必要だとされる根拠のうち、県が想定する水道、工業用水の需要予測については、原告側が提出した資料に基づいて「実際の需要量が達しない可能性が相当高い」と指摘した。ただ、水資源の開発施設の整備には長期間かかることを踏まえ、「長期的な視点に立って需要見通しを立てる必要がある」と述べ、計画策定は行政の裁量権の範囲内とした。

 一方、治水や利水、河川の流れの維持といった設楽ダムの機能について検討し、被告の県側の主張に沿って「著しく合理性に欠ける点はない」との結論を示した。

 原告側は、上水道、農業、工業用水などの水需要がない▽洪水調節効果は限定的で代替案で対応できる▽有効貯水量の65%が河川の流れの維持のために使われるのは異常▽予定地や周辺には国の天然記念物の淡水魚・ネコギギや絶滅危惧(きぐ)種・クマタカが生息しており環境悪化を招く――などと主張。建設費用を県が負担するのは、著しく合理性を欠き、不当だと訴えていた。

 判決について、神田知事は「東三河地域の渇水や洪水の被害軽減のために必要という県の主張が認められた。国交省による個別ダム事業の検証でも、このことをしっかりと訴えていく」とのコメントを出した。(志村英司)

     ◇

 〈設楽ダム〉豊川上流約70キロに国土交通省が建設を計画している巨大ダム。国は1978年度から実施計画調査に着手し、2003年度に建設段階へ移行。建設費約2070億円、道路整備など地元対策に約900億円をかけ、20年度の完成をめざしている。予定地には120戸があり、建設により水没する。
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