リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

第48回 川の観光価値 観光資源としての川 オリンピック カヌー・スラローム会場は自然の川でやるべきだ!

2017-02-05 21:04:19 | ”川に生きる”中日/東京新聞掲載

 2020年の東京オリンピック。カヌーコースはベイエリアに新築することになった。スラロームにしても、人工水路でポンプアップでの競技となる。今更なのだけれど、ボクは自然の川で競技を行うべきだったと思っています。多摩川はどうか?という提案については、盟友?矢野さんから情報を頂きました。彼のことは紙面に書ききれなかったので、彼の来歴はまたの機会に!

観光資源としての川を世界に誇りたい!

二〇二〇年の東京五輪。一時、競技開催地の見直しの機運があった

。江東区の森競技場での開催が決定したボートとカヌー・スプリント競技について、小池百合子知事が宮城県の長沼ボート場に変更する案を提示した際には、江戸川区に建設されるカヌースラローム競技場にも見直し案はないかと期待した。
 埋め立て地の人工水路ではなく、自然の川で五輪競技ができないか。
 葛西臨海公園に隣接するカヌー・スラローム競技場の建設費は七十三億円。五輪全体の建設費からみれば小さい額だが、競技のために、人工水路に大量の水をくみ上げて循環させる。恒久施設として五輪後も使用されるが、ポンプを動かす電力料金、施設の維持管理など、将来にわたり少なからぬ費用が必要となる。

 私は日本の川は世界で一番だと思っている。温帯域で降水量が多く、一年を通して水が枯れることがない。澄んで暖かく、魚が棲み、泳いで安全な水が流れる川。その川の素晴らしさを世界に紹介するのに、五輪は絶好の機会だった。
 多摩川上流。小河内ダムがつくる奥多摩湖は日本最大級の水道専用貯水池だ。多摩川は下流に位置する白丸ダムで、発電のため取水されるが、さらにその下流で水量は回復する。現状の流量はカヌー競技を行うには心許ないが、白丸ダムは東京都交通局が発電用に造ったダム。五輪開催を機に放流量を増やすことはできなかったか。
 東京都の観光地として近年、世界的に知られた場所がある。高尾山だ。二〇〇七年にミシュランガイドが三つ星をつけ、外国人観光客が激増した。年間の登山者数は二百六十万人と世界一だ。都心から一時間の距離にある豊かな自然が、高尾山の魅力だが、多摩川も都心から一時間余り。公共交通の便もよい清流だ。

 都下多摩川での開催は、費用の削減に留まらず、東京五輪のレガシーとして、日本の川の素晴らしさを、世界に発信する絶好の機会であったと思うのだ。(魚類生態写真家)
 
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