日韓往来 [Journal Korea]

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「現在──過去・未来」

韓国ドラマ「イ・サン」と『朝鮮王朝実録』東京大学の秘蔵

2009-12-20 03:45:39 | 日々
「東大の隠匿」として、ちょっと古いことを思い出した。きっかけは09年12月、エジプトとイギリス大英博物館の間で起きたやりとり。
ナポレオン遠征軍が発見したエジプト紀元前のロゼッタストーン(ヒエログリフ、古代エジプト文字解読の元)。後の英仏戦争で英国が勝ち、もちかえって大英博物館においた。世界史に写真とともに必ず出てくることだ。
エジプト(考古管理機関)が2012年、カイロ近くに開館する博物館にその貸し出しを要請、つぎに返還を要求した。
大英博物館広報のいいぶりがすごかった──返還できない。ひろく見てもらうために収蔵品の一部を失うことはできない。


ひるがえって朝鮮王朝実録をめぐる韓国と日本はどうだろうか。
新聞記事から───朝日新聞は旧帝大・東京大のいいなりに見出しからして「寄贈」する、だと。だぶん政治・政府次元にしないで処理しようと、東大・ソウル大間で「寄贈」形式にしたのかもしれない。だとしても、報道としては、事実上の返還ととらえた見出しにする姿勢くらいもったらどうなのか。「毎日」は返還、韓国へとしている。


National Institute of Korean History 「朝鮮王朝實録」

○朝鮮王朝実録:東京大が47冊返還、93年ぶり韓国へ
(毎日新聞2006-05-31)
東京大学は30日、朝鮮王朝(1392~1910)の公式記録『朝鮮王朝実録』(以下、『実録』)47冊をソウル大学に寄贈すると発表した。東京大学総合図 書館に保管されている『実録』は大正2年(1913)、朝鮮総督府から東京帝国大学に移され、大部分は関東大震災で焼失した。焼け残った74冊のうち27 冊は昭和7年(1932)に京城帝国大に移管され、47冊の寄贈で74年ぶりに一体化される。
東京大学によると、現在はソウル大学に保管 されている27冊は、韓国国宝と「ユネスコ世界記録遺産」に指定されている。歴代国王の事跡や業績を正確に記録した朝鮮時代最高の史料で、5セット作製されたうち4セットが正本(清刷本)。東大保管の実録は唯一の校正本で修正の朱筆などが入っており、学術的な価値が非常に高いという。
東大の関係者は「実録の編纂、修正、印刷過程など、歴史学的・書誌学的な解明が進む」と期待している。
東大の小宮山宏学長が貴重書として所蔵されている事実を知って、ソウル大学創立60周年記念に合わせて寄贈を決めた。29日に両大学間で合意した。

○東大所蔵の朝鮮王朝実録、ソウル大に寄贈へ
(朝日新聞2006-05-31) =ごく一部の引用
東京大学は、付属図書館に所蔵している朝鮮王朝の業績を記録した『朝鮮王朝実録』(以下、『実録』)を、ソウル大学に寄贈することを決めた。両大学が31日 発表する。日本人が植民地時代に朝鮮から持ち込んだ史料で、韓国の文化財専門家や国会議員らが「略奪された」として返還を求めていた。東京大学側は「学術交流を進めるため寄贈が望ましい」としている。
4セット現存するとされる『実録』のうち、東京大学が所蔵するのは「五台山本」と呼ばれるセットの一部47冊。東京大学によると、東洋史学者の故白鳥庫吉氏が朝鮮から持ち出し、明治45年・大正元年(1912)に同図書館の蔵書となったという記述が、当時の学術雑誌にある。だが、関東大震災で大半が焼失、偶然持ち出されていた74冊が焼け残った。
韓国では昨年、20世紀初めに日本に持ち出され、靖国神社にあった「北関大捷碑(プックァンデチョッピ)」が返還されたことから、日本に渡った文化財の返還 を求める機運が高まっている。昭和40年(1965)の日韓国交回復の際に結ばれた「文化財および文化協力に関する協定」では、陶磁器などがわずかに韓国に返還されただけだ。

○韓国の「朝鮮日報」報道=部分
(朝鮮日報2006-05-31)
1913年に日本に奪われ、東京大学図書館に保管されてきた『朝鮮王朝実録(以下、『実録』)』が韓国に返還される日が来た。

○韓国 歴史編纂委員会 提供サイト・National Institute of Korean History
「朝鮮王朝實録」──漢文をハングル訳して公開

http://sillok.history.go.kr/main/main.jsp

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もう一つの「返還」──秀吉軍、日露戦争・日本軍、靖国神社、韓国、北朝鮮



▽上の「朝日新聞」記事にある「北關(関)大捷碑」
豊臣秀吉侵略軍に対した朝鮮・義勇軍を称える石碑。日露戦争で日本軍将校が見つけ持ち帰って、長く靖国神社内に。
写真=話題になったころ、返還前の碑を靖国神社内で鉄柵越しに撮影した。外を囲む鉄柵のなかに厳重に保管していたかのようだった。
朝鮮日報2006年5月──日本は光武9年 (1905=明治38)に略奪した壬辰倭乱(文禄・慶長の役)時の朝鮮義兵の戦勝碑「北関大捷碑」を去年(05年)10月に返還──。
返還の時、韓国では碑の上に重しのように石を乗せているといったが、それは碑の形式として「屋根」つきもあるかもしれない。韓国から北朝鮮に送るときは、それを外したような写真をみた記憶がある。


ところが、以前は靖国神社境内のどこかの塀の脇にわびしく捨て置かれていた様子の写真がネット上にあった。当時検索してもっていた。片隅に「放り出された状態」。まわりをきれいにし大きな鉄柵で仕切って設置した上の写真の状態は、いかにもばたばたの、取りつくろいだった。




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1 コメント

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ドラマ「スポットライト」「イ・サン」 (hs)
2009-12-22 17:50:33
ことしの韓国ドラマ・NHK
「スポットライト」「イ・サン」
ついでに09─10年のメモ・備忘録
●2009──大日本帝国憲法発布120年/盧武鉉(ノ・ムヒョン)韓国・元大統領自殺、金大中元大統領死去でこの10年終焉。加えて年末に韓明淑元首相が収賄容疑で逮捕。「慰安婦」問題、女性家庭部など/安重根、伊藤博文射殺100年/NHK韓国ドラマ「スポットライト」「イ・サン」/北朝鮮帰国事業開始50年/ベルリンの壁崩壊20年 
●2010──冬季オリンピック/韓国・光州事件30年/FISワールドカップ/韓国併合100年
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