やぎの宇宙ブログ

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1月後半のニュース

2008-03-08 18:50:00 | 最新ニュース
配信時期が遅れていますが、1月後半のニュースです。

まずはやぎが勝手に選んだ、1月後半の3大ニュース!
選考にはかなり悩んだけれど、元々物理好きなもので、結局物理ネタが多くなってしまいましたw



今回のトップニュースは…

持ち帰った彗星の塵は、小惑星の成分に似ていた

Stardust Comet Dust Resembles Asteroid Materials
http://www.jpl.nasa.gov/news/features.cfm?feature=1587


NASAの彗星探査機スターダストは、1999年2月に打ち上げられ、2000年から星間塵の採取を始め、2004年1月にはヴィルト2彗星に接近して彗星から放出される塵を採取しました。
2006年に地球に持ち帰られたそれらのサンプルは、現在も詳しい分析が行われています。
長年にわたって太陽から遠く離れたところにあった彗星には、太陽系誕生当時の物質がそのまま現在まで残っていると考えられていました。

塵には2種類のケイ酸塩――金属や硫化物を含む無構造なケイ酸塩と、岩石の成分にもなるケイ酸塩エンスタタイトの結晶――が含まれています。
電子顕微鏡による分析の結果、誕生後間もない太陽によく似た成分が多く含まれていた一方で、より分化した成分も含まれていました。
太陽系誕生当時から変わらない姿というよりは、小惑星帯からやってくる隕石の成分に近いことが明らかになりました。



続いて第2位は…

ダークエネルギー存在の証拠

New Light on Dark Energy
http://www.eso.org/public/outreach/press-rel/pr-2008/pr-04-08.html



宇宙空間が膨張しているため地球から見ると銀河などの天体は遠ざかっていくように見えますが、その速度は距離に比例しておらず(つまり宇宙の膨張速度は一定ではなく)、加速していることが分かっています。
その一方で、重力は宇宙空間を収縮させる力としてはたらくはずです。
この矛盾を説明する考え方として、宇宙空間には重力に打ち勝つ何らかの斥力(ダークエネルギー)が存在する可能性と、現在の重力理論に欠陥がある可能性との2つがあります。
これまでの観測では、そのうちどちらが正しいのかを示すことはできませんでした。

地球から見た銀河の運動は、実際には宇宙の膨張だけではなく、近くの他の天体との間にはたらく重力の影響も受けています。
これまでの多くの研究では、こうした小さな歪みは無視されてきました。
VIMOS-VLTディープ・サーベイ(VVDS)では、4平方度の範囲にある、現在の宇宙の年齢の半分にあたる7億年前の銀河数千個について詳細な運動が調べられ、7億年前における歪みが測定されました。
また、地球に比較的近い銀河を調べた2dFGRSサーベイの観測結果からは現在の宇宙における歪みが測定されました。
国際研究チームがこの2つを比較したところ、重力以外の未知の力、すなわちダークエネルギーの存在を示唆する結果が得られました。

とは言え今回の観測結果ではもう一つの可能性を完全に否定するまでには至りませんでした。
今後さらに詳細かつ大規模な研究が行われれば、ダークエネルギーが存在するというより確かな証拠が得られ、ダークエネルギーの性質を探ることができると期待されます。



3位に滑り込んだのは…

ブラックホールの内部構造、解明へ
- 超弦理論の予測をスパコンで検証 -
http://www.kek.jp/ja/news/press/2008/BlackHole.html


超弦理論は、物質を形作る素粒子や素粒子間にはたらく相互作用(重力を含む)を、様々に振動する弦として捉え、一元的に説明しようとする理論です。
アインシュタインは重力理論として一般相対性理論を考案しましたが、量子レベルにまで適用できる重力理論はいまだに確立しておらず、ブラックホールの中心部のような極限に近い状態の様子を探ることは困難でした。
今回、高エネルギー加速器研究機構(KEK)と理化学研究所を中心とするグループは、スーパーコンピュータ「日立 SR11000モデル K1」を用いてブラックホール中心部の状態を超弦理論に基づいてシミュレーションしました。
その結果、今回の計算結果がホーキングの理論から導かれるブラックホールの状態によく一致し、これまで理論的に予測されていたブラックホールの性質を超弦理論で説明することができることが示されました。




ではそれ以外のニュースです



~超新星は丸くない:すばる望遠鏡で爆発する星の内部を探る~
http://ipmu.fiw.ad.jp/pdf/080201ipmu_press.pdf



以前のニュースも参照してネ
ニュース#155
http://blog.goo.ne.jp/petit_petty/e/ed07b8b654f0b3a6860621b80212ecf8



★周りの物質を飲み込みながら成長するHerbig Ae/Be天体

The Growing-up of a Star
http://www.eso.org/public/outreach/press-rel/pr-2008/pr-03-08.html


MWC 147はHerbig Ae/Be天体の一種で、太陽の数倍の質量をもち、周囲の物質を飲み込んでさらに成長を続けている天体です。
MWC 147は誕生後50万年未満しかたっておらず、周囲にはガスや塵からなる円盤があります。
VLTI/MIDIとVLTI/AMBERを使った近赤外線及び中赤外線干渉観測によって、この円盤の温度分布が詳しく調べられました。
その結果、半径1~2AU(1.5~2億km)の狭い範囲は数千℃にも達しており、主にガスからなっているらしいことが分かりました。
観測結果に最もよく合致するモデルでは、さらに半径約100AUまでガスと塵からなる円盤が広がっており、より冷たい外側の円盤から熱い内側の円盤へと物質が移動し、現在も1年間に太陽質量の0.0007%の物質を飲み込みながら星が成長し続けていることになります。


★銀河団の外にある銀河で活発な星形成

Cosmic Suburbia is a Better Breeding Ground for Stars
http://www.spitzer.caltech.edu/Media/happenings/20080125/



宇宙空間には、銀河が密に集まっている銀河団と、それら銀河団同士を結ぶ銀河がゆるく連なった構造(フィラメント)とからなる、宇宙大規模構造という巨大なネットワークが広がっています。
NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡は、Abell 1763銀河団の近くにあるフィラメントを構成する銀河を初めて詳しく観測しました。
その結果、フィラメントの銀河では、銀河団内の銀河に比べておよそ倍のスピードで星形成が起こっていることが分かりました。
上図は、星形成が活発な銀河(青)とそうでない銀河(橙)の位置関係を示したものです。


★地球に接近する小惑星の姿を撮影

NASA Scientists Get First Images of Earth Flyby Asteroid
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2008-014



2007 TU24は2007年10月11日に発見された小惑星で、米東部時間1月29日午後12時33分に月の軌道の少し外側となる地球から53万8000kmの距離を通過しました。
それに先立ち、地上の電波望遠鏡を使った観測が行われ、2007 TU24の大きさ(250m)や形状が明らかになりました。
上の画像の左側はゴールドストーン太陽系レーダー望遠鏡で、右側はアレシボ観測所で得られた画像です。


★銀河団は巨大な粒子加速器

X-rays betray giant particle accelerator in the sky
http://www.esa.int/esaSC/SEMRUOEMKBF_index_0.html


ESAのγ線観測衛星インテグラルは、へびつかい座銀河団で高エネルギーX線が発生していることを発見しました。
このようなX線の発生メカニズムとして次の2つが考えられます。
①銀河団中の磁場で電子の進路が変えられてX線が発生(シンクロトロン放射)している可能性
②電子が、宇宙誕生時に放射されたマイクロ波と衝突し、失ったエネルギーがX線として放射されている可能性


★予想より広かった電子拡散領域

New discovery on magnetic reconnection to impact future space missions
http://www.esa.int/esaSC/SEMCVGEMKBF_index_0.html



磁場再結合は、磁場が蓄えていたエネルギーを解放し、様々な天体現象を引き起こします。
2003年1月14日、ESAのクラスター衛星が地球の磁気鞘を通過した際に、磁場再結合を起こす電子拡散領域と遭遇しました。
観測の結果、電子拡散領域は長さ3000kmにもわたって広がっており、最近のコンピュータ・シミュレーション結果よりも約4倍長いという結果でした(上図は両者の比較)。
観測衛星が予想されたよりも高い確率で電子拡散領域に遭遇できることになります。
電子拡散領域内の状態をより精密に観測するべく、NASAやESAなどが将来の探査計画を検討しています。


★内部の熱が生み出す木星大気の激しい気象現象

Internal Heat Drives Jupiter's Giant Storm Eruption
http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2008/06/





★火星の気象に影響を及ぼす二酸化炭素の雲

Ice clouds put Mars in the shade
http://www.esa.int/esaSC/SEM1DV3MDAF_index_0.html



以前から火星には二酸化炭素の結晶からなる雲が存在すると推定されていました。
ESAの火星探査機マーズ・エクスプレスに搭載されたOMEGA可視光・赤外鉱物撮像分光器によって二酸化炭素の雲が初めて撮影されました。
地上80km以上の高さにあり、大きさは今まで考えられていたよりも大きく、中には幅数百kmのものもありました。
さらに、雲を構成する粒も直径1μ以上と非常に大きいことも分かりました。
そのため二酸化炭素の雲は思いの外密度が高く、太陽光の40%を遮って地表の温度を10℃も下げることが分かりました。
二酸化炭素の雲がどのように形成され、そして火星の気象にどのような影響をもたらしているのか、研究が進められています。


★ユリシーズ、1年の間に太陽の南極から北極へ移動

Ulysses at the North Pole
http://www.esa.int/esaSC/SEMLLN3MDAF_index_0.html


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2 コメント

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ダークエネルギーは未確認 (bbsawa)
2008-03-09 05:01:04
おはようございます。ダークエネルギーは未確定だったんですか?雑誌を読んでたら100%有ると思える記事が載ってたので、さすが、21世紀の科学は進んでるなと思ってたのに、やっぱり商売が絡むと売らんかなの記事になりますね。パイオニアアノマリーも未解決だし、竹村健一のように「大体やね」で探査機を飛ばすしかないようです。
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bbsawaさんへ (管理人やぎ)
2008-03-10 16:05:04
私も宇宙論が最近どの辺りまで話が進んでいるのか把握してないので、詳しくは分かりません。
宇宙空間には5番目の次元があって、重力はその次元を超えて作用することができるだとか、そこから宇宙の加速膨張を説明できるだとか、何やら色々と言われてるみたいですが…
ダークエネルギーもさることながら、究極の重力理論、更には超統一場理論(超弦理論の話題も出ましたが)の完成が待ち遠しいところです。
仮にダークエネルギーが存在するとして、その正体は何なのか、謎が謎を呼ぶとはこのことですわなぁ
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