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極超新星がγ線バーストの正体?

2005-07-03 14:39:56 | 最新ニュース
ニュース#155

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 γ(ガンマ)線バーストは、数秒~数分っていうとっても短い間に、太陽のような普通の恒星が1年間に出すよりも大きなエネルギーのγ線が一気に放出される爆発現象だょ。最近このγ線バーストの正体は、最期の時を迎えた大型の恒星が爆発を起こす極超新星じゃないか、っていう考えが正しいのではないかって考えられてるんだ。今回はハワイにある日本の巨大望遠鏡、すばる望遠鏡を使った観測で、この考えを裏付ける証拠が得られたょ。

 普通、星が爆発を起こすときは、物質やエネルギーはあらゆる方向に均等に広がるよね(下の管理人が作成した図(A))。もしγ線バーストもこのように球状にエネルギーを出す現象だとしたら、つまり地球にやってくるような莫大なエネルギーをあらゆる方向に均等に出す現象だとしたら、全体ではとてつもない量のエネルギーを生み出す爆発現象ってことになるよね。しかもγ線バーストの多くは遠くの宇宙で起こる現象なんだ。そんな大量のエネルギーを出す爆発現象はありえない!そんなわけで、γ線バーストは下の図(B)のように、ある方向にだけ大量のエネルギーを高速ジェットとして出す爆発現象なんじゃないかって考えられるようになったんだ。(B)の場合、爆発のエネルギーのほとんどがジェットの方向に放出されるから、ジェットの方向から観測すると莫大なエネルギーがやってくる、これがγ線バーストだってわけ。だからもちろんγ線バーストのような莫大なエネルギーを観測できるのは、このジェットが地球の方向へ向けて放出されてるときだけで、ジェットが別の方向を向いているときにはγ線バーストは観測されないはずだよね。



 ここでちょっと、γ線バーストの正体と考えられてる極超新星(ハイパーノヴァhypernova)について簡単に説明しておくね。

 太陽のような恒星の内部では、核融合反応が起こっていてそこから大きなエネルギーが生み出されているょ。核融合反応っていうのは、恒星を作っている水素どうしが合体してヘリウムになる反応だょ。恒星は、ガスが重力によって中心に集まろうとする力と、核融合反応によって生み出されるエネルギーとがつりあって成り立っているんだ。でも恒星も年老いてくると、材料となる水素が少なくなってくるょ。そうすると今度はヘリウムを材料にしてより重い元素を作り出す反応が起こるんだけど、やがて核融合反応はそれ以上続かなくなってしまうんだ。そうすると恒星を支えていたエネルギーを生み出せなくなって、ガスの重力によって物質は中心に集まり、中心部にとっても密度の高い天体ができるんだ。特に巨大な恒星の場合、中心部にはブラックホールっていうとんでもなく重い天体が生まれるょ。中心部にできたブラックホールはさらに周囲のガスを引き寄せようとするんだけど、吸い込みきれないガスは高速ジェットとなって吹き飛ばされるんだ。この爆発現象が極超新星だょ。

 極超新星がγ線バーストの正体だっていう証拠はこれまでにもいくつか得られているょ。例えば、2003年に発見された(起こった)極超新星SN 2003dhとγ線バーストGRB 030329は同じものだったことを、国立天文台や東京大などのグループが発表しているょ。さらに、極超新星SN 2002apをすばる望遠鏡を使って観測したところ、高速ジェットを持っていることがわかったんだ。

 ちなみにSNは超新星(supernova)の略、GRBはγ線バースト(gamma ray burst)の略だょ。

 γ線バーストの正体が極超新星だとするモデルによると、酸素などの比較的軽い元素はジェットに垂直な赤道方向に、ドーナツ状に放出されると予想されてるんだ(管理人やぎが作成した下の図の、青いドーナツ状の部分だょ)。①のようにジェットを横から見た場合、地球から観測すると酸素は近づいてくるものや遠ざかるものなど様々だよね。光には、物質が速く近づくほどそこから出る光の波長は短くなり、速く遠ざかるほど長くなる性質があって、光のドップラー効果っていうんだ。図では波長の短い光を青、長い光を赤で示しているょ。①の場合では、波長が短くなった光と長くなった光が観測されるから、酸素が放出する光のスペクトルは2つのピーク(山)を持つはず。逆に②の場合では酸素の運動は地球から見て近づきも遠ざかりもしていないから、スペクトルのピークは1つになるはず。つまり、γ線バーストが観測されるのは②のようにジェットが地球の方向を向いているときで、このときはピークは1つ。一方①のようなγ線バーストが観測されない極超新星ではピークは2つできるはずだってこと。



 実際にこのことを確かめるため、すばる望遠鏡を使ってγ線バーストが観測されない極超新星の一つ、SN 2003jdが観測されたょ。下はその写真で、黄色の線の先の点が極超新星SN 2003jd(画像:国立天文台/すばる望遠鏡)。



 この極超新星SN 2003jdの酸素スペクトルを調べたところ、予想通り2つのピークが発見されたんだ。つまり上の図の①の場合だね。一方、γ線バーストGRB 980425を起こした極超新星SN 1998bwではピークは一つだけだったんだ。下の図の2つのグラフを見てね(画像:国立天文台/すばる望遠鏡)。観測結果(黒線)がモデルによる予測(赤線)によく一致してるよね。左下の図は、極超新星の物質の分布を表していて、緑は鉄、茶色は酸素を表しているょ。極超新星をドーナツ状に取り囲んでいる構造が実際の観測でも確かめられたんだ。これによって、極超新星のジェットの方向から見たときにγ線バーストとして観測されるっていう考えが裏付けられたょ。



 γ線バースト: 数秒~数分間という短い時間に、非常に強いγ線を出す現象だょ。Gamma-Ray Burstの頭文字を取ってGRBともいうょ。太陽の30倍以上の質量を持つ恒星は死を迎えると自らの重力でつぶれていき、無限につぶれてブラックホールという天体になるんだ。このとき余分な物質がものすごい勢いで放出されるょ。その高エネルギージェットによって発生する衝撃波がγ線を生み出すと考えられているんだ。

 γ線: 光(電磁波)の一種。目には見えない光だょ。γ線は電磁波の中でも最も波長が短くてエネルギーが高く、浴びると生物に有害なんだ。

 極超新星: (本文中でも説明している通り)太陽のような恒星の内部では、核融合反応が起こっていてそこから大きなエネルギーが生み出されているょ。恒星は、ガスが重力によって中心に集まろうとする力と、核融合反応によって生み出されるエネルギーとがつりあって成り立っているんだ。でも恒星も年老いてくると、材料が少なくなってやがて核融合反応はそれ以上続かなくなってしまうんだ。そうすると恒星を支えていたエネルギーを生み出せなくなって、ガスの重力によって物質は中心に集まり、中心部にとっても密度の高い天体ができるんだ。特に巨大な恒星の場合、中心部にはブラックホールっていうとんでもなく重い天体が生まれるょ。中心部にできたブラックホールはさらに周囲のガスを引き寄せようとするんだけど、吸い込みきれないガスは高速ジェットとなって吹き飛ばされるんだ。この爆発現象が極超新星だょ。

 核融合反応: 太陽などの恒星の中心部で起こっている反応。莫大なエネルギーを生み出し、恒星を輝かせているんだ。具体的には水素原子核同士が合体・反応してヘリウム原子核になる反応だょ。水素を使い果たした高齢の恒星では、今度はヘリウムを原料にしてさらに重い原子核を作り出す核融合反応も起こっているょ。

 ブラックホール: ブラックホールっていうのは“潰れた天体”なんだ。全ての質量は、中心にある特異点っていう一点に集まっているんだ。ブラックホールに近づいた物質は全てこの特異点に引き寄せられていって、最後にはその物質も潰れてしまい、点になっちゃうわけ。ものすごい重力のせいで特異点からある決まった距離よりも近くに近づくと、光さえも外に出て行くことができない。そのためにブラックホール(黒い穴)って呼ばれるんだ。
 小型のブラックホールは結構ありふれた存在で、太陽の30倍以上の質量を持つ重い恒星が死んだ後にできるんだ。このような重い星は明るく光るためにすぐに核融合反応の燃料を使い果たしてしまって、超新星爆発っていう巨大な爆発を起こして死んでしまうょ。星の中心部ではそれまで星を支えてきた核融合反応が止まってしまい、収縮するんだ。このとき太陽の30倍もある重い星では、自分の重さに耐えられずに限りなく潰れていって、最後には特異点っていう一点になってしまう。これがブラックホールだょ。このようなブラックホールの大きさ(光が外へ出ることができない範囲)はせいぜい5~6km。なのに質量は太陽の10倍近くもあるんだ!!!!
 一方、太陽系を含む2000億個の恒星が集まってできている銀河系の中心部には、これとは比べ物にならないくらい巨大なブラックホールがあるょ。質量は何と太陽数百万個分!!!!その周囲には、ブラックホールに飲み込まれようとしているガスが膠着円盤っていう円盤を作っていて、秒速700kmっていうものすごい速さで回転しながら吸い込まれているんだ。

 波長: 光は波となって伝わっていくんだけど、その波の間隔を波長っていうんだ。

 光のドップラー効果: 光のドップラー効果は、光を出す天体が近づく(または遠ざかる)速度が速ければ速いほど、光の波長が短くなる(または長くなる)現象だょ。つまり光の波長がどれだけずれているかを測定すれば、天体の近づいてくる(または遠ざかっていく)速度が計算できるんだ。

 スペクトル: 波長ごとの強さを表したもの。どの波長の光が特に強いか、または弱いかがわかるょ。成分や温度など色々な情報を得ることができるんだ。

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