猫面冠者Ⅱ

主に東洋大学を中心に野球・駅伝などの記録・歴史・エピソードなどなど…。

東洋大学野球部の歴史-戦前⑫昭和八年

2015-10-17 08:59:00 | インポート
H27年10月17日
『野球界』昭和八年十一月号の記事を追加いたしました。


昭和八年

四大学野球

春のリーグ戦

5月13日
文理大001 000 010  2
工業大100 000 17X  9

拓殖大878 061 004  34
東洋大100 000 000  1


5月14日
東洋大200 0 06 200  10
拓殖大101 2152 32X  26

工業大150 000 002  8
文理大133 000 300  10


5月20日
拓殖大202 112 000 1  8
工業大002 101 003 0  7

文理大440 223 103  18
東洋大002 200 000  4

5月21日
文理大18-2東洋大

拓殖大13-12工業大


5月27日
拓殖大12-10文理大


5月28日
東洋大000 000 101  2
工業大111 340 11X  12

文理大001 003 071  12
拓殖大000 200 001  3

5月29日
拓殖大130 000 012  7
文理大011 000 001  3

工業大103 001 100 1  7
東洋大006 000 000 2  8


6月1日
東洋大401 200 000  7
工業大311 139 26X  26




     拓殖大工業大文理大東洋大
拓殖大○○○●○○○6勝1敗
工業大●●○●○○●○4勝4敗
文理大●○●●○●○○4勝4敗
東洋大●●●○●●●1勝6敗
 

四大學リーグの覇者拓殖大學
東京には、三つの大學リーグがある。東京大學野球聯盟(六大學野球リーグ)に、日本球界の中心勢力をなすものであって、其名は世界にも鳴りひびいてゐる。この他に

五大学野球聯盟(専修、中央、日大、國大、農大)
四大學野球聯盟(文理大、拓殖大、東洋大、工科大)

の二つがある。五大學野球聯盟は最近メキメキと腕をあげてきて、其實力と存在を認められてきたが四大學野球聯盟の名はまだあまり世間に知られてゐない。

△「五大學野球聯盟が出來た頃、其處にもれた文理大、拓殖大、東洋大の三大學が集まって、三大學野球リーグを組織した。ソコへ工科大學が加はって四大學りーぐとなったのだ」
×「創立以来、王子の北町球場でリーグ戦を行ってゐるが、収入も少なくて向上に對して苦心してゐる。今春の入場料収入の分配額僅かに十余圓なにがしと言ふのだから、各部共に大困難をなしている。ダガ各部の意氣は烈々たりで、學生野球として、立派なリーグをつくりあげるべく努力してゐる」

然るに、四大學リーグへ商科大學が加入することとなった。スルと五大學になるから、名稱を何とかかへなければならない。今秋から昭和大學野球聯盟と云ふ名をつけると云ふことである。

春の優勝は拓殖大學
四大學の春のリーグ戦は五月十三日から、王子の北町球場で開始された。今春リーグ戦の成績は
工科大9A  文理大2
拓殖大3A  東洋大1
拓殖大26A 文理大10
文理大10  工科大8
工科大12  文理大8
拓殖大8   工科大7
文理大18  東洋大2
文理大18  東洋大4
拓殖大13A 工科大12
拓殖大12  文理大10
工科大12A 東洋大2
文理大13A 拓殖大3
拓殖大7   文理大3
東洋大8   工科大7
工科大26A 東洋大7

△「マダマダ、五大學リーグに比して、レベルが低い、其存在を天下にしめさうと云ふには大きな努力を要する」
×「以上のスコアからみても、層一層の努力が必要だ」

今季は、七戦六勝で拓殖大学が優勝して、市長杯、野球界社杯、讀賣杯を獲得した。以上第二位は工科大學(八戦四勝)第三位文理大學(八戦四勝)東洋大學(八戦一勝)と云ふ順位であった。
今秋から商科大學が加入するので相當に活氣を呈することであらう。
然しまだこの四大學が六大學、五大學リーグ戦の境をますには相當の時間がかかることと思ふ。この野球の特色は技が下手でも元氣があるから、面白い。ことに拓大に至っては實に物凄い元氣である。
(『野球界』昭和八年十一月号)





秋のリーグ戦

秋のリーグ戦からは新たに商科大が加わり五校によるリーグ戦となり、名称も新大学野球連盟となった。(現在の東京新大学野球連盟とは無関係)
また、当時の新聞を見る限りでは、『野球界』記事にある“昭和大学野球聯盟”の名は見られなかった。



9月23日
商科大25- 3拓殖大

東洋大33x- 6工業大


9月24日
工業大25- 3東洋大

商科大 9- 6拓殖大


9月30日
商科大20x- 3東洋大

拓殖大3x- 0文理大

10月1日
拓殖大9x- 5文理大

商科大22x- 6東洋大


10月14日
文理大11x- 6工業大

東洋大 中止 拓殖大


10月15日
拓殖大22x- 3東洋大

工業大6x- 3文理大

10月17日
文理大13x- 1東洋大


10月18日
文理大 6- 6東洋大


10月21日
拓殖大10x- 9工業大


10月22日
商科大12- 8文理大

拓殖大13- 1工業大

10月23日
商科大224 110 405  19
文理大000 000 000  0


10月24日
東洋大0 0 2 010 160  10
文理大011 2 302 00X  18


10月28日
拓殖大15- 7東洋大

商科大22x- 6工業大


10月29日
商科大22x- 1工業大


商大八戦八勝 新大學リーグ
新大學野球リーグ戰、商大對工大二回戰は二十九日北町球場で擧行二十二對一で商大勝ち、かくて新加盟の商大は八戰八勝で優勝し、第二位は拓大(六勝)第三位は工大(四勝)第四位は文理大(二勝)第五位は東洋大(全敗)となった。(『朝日新聞』昭和八年十月三十日付朝刊)



     商科大拓殖大工業大文理大東洋大
商科大○○○○○○○○
拓殖大●●○○○○○○
工業大●●●●●○●○
文理大●●●●○●○△○
東洋大●●●●○●●△●
*新聞から拾い出した結果から星取表を作成すると上記のようになり、先に引用した朝日記事と結果が合わなくなる。運動年鑑で確認した結果も朝日記事と同じであった。筆者が思うには9月23日の東洋33-6工大と10月14日の文理11-6工大はいずれも誤植で工大の勝ちだったのではないかと思う。後日確認ができれば訂正したいが、今はそのまま記載させて頂く。 


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東洋大学野球部の歴史-戦前⑪昭和七年

2015-10-17 08:02:00 | インポート
H27年10月17日
戦前の雑誌『野球界』からの記事を追加いたしました。


三野球團體公認さる
文部省の野球統制令案が訓令として公布されてから既に一カ月餘りを經過したが、この結果各地野球團體はこれを常置團體としての公認を必要とし、東京では六大學リーグ及び五大學リーグ、関西では六大學リーグが早くも手續きを終了して公認團體となったが、その後公認された專門學校以上の學生野球聯盟は次の三團體で、尚引き續き公認申請が續出する模様で、一部では早くもこれ等公認團體の統制が必要であると見られて居る。公認された野球團體次の如し。
三大學野球聯盟(東京)
 加盟校 拓大・文理大・東洋大
関西醫歯薬專門學校野球聯盟(大阪)
 加盟校 大阪高醫・大阪薬專・大阪歯科醫專・京都府立醫大・京都薬專
関西學生野球聯盟(大阪)
 加盟校 大阪帝大・大阪工大・大阪商大・関學・大阪外語・神戸高工・神戸高商
(『朝日新聞』昭和七年五月七日付朝刊)


明治期の一高、早慶を中心として高まっていた野球熱は大正に入ってから中等野球の全国大会(今の春夏の甲子園)開催や軟式ボールの開発による小学生への普及などで裾野をさらに広げて行ったが、一方では一部選手のセミプロ化や有望選手のスカウト合戦など野球害毒論争の頃と変わらぬ問題を抱えていた。(今日に至っても相変わらずである)。
そこで、当時の文部省は「野球ノ統制並施行ニ関スル件」を公布し、大学野球については団体の登録と報告などを義務付けたのである。
三大学野球連盟が早期に公認を得られたのは、新聞社の後援が大きかったのかもしれない。このリーグ戦は読売新聞社の後援のもとに開催されていたのである。



春のリーグ戦

5月14日
文理大11x- 5拓殖大

5月15日
文理大23x-10拓殖大

5月20日
東洋大18x-17拓殖大

5月21日
拓殖大12x-11東洋大

5月22日
東洋大22x- 9拓殖大

5月29日
文理大14-10東洋大

5月30日
文理大11- 4東洋大


文理大優勝
三大學野球リーグ最終試合文理大對東洋大二回戰は三十日午後二時半から北町球場で擧行、十一對四で文理勝つ。この結果文理大は四戰四勝で優勝し、東洋大二位、拓大三位となった。(『朝日新聞』昭和七年五月三十一日付朝刊)


     文理大東洋大拓殖大
文理大○○○○4勝0敗
東洋大●●○●○2勝3敗
拓殖大●●●○●1勝4敗



秋のリーグ戦

秋のリーグ戦開始前に次のような告知記事が見られる。
四大學野球組み合わせ
三大學野球リーグ戰は新たに工業大學を加えて四大學リーグとなり、今秋のスケヂュールを次の如く決定した。尚球場はいずれも北町文理大球場を使用し、試合はいずれもダブルヘッダーで最初の試合は午前十一時半、次の試合は午後二時半から開始される。(以下略。『朝日新聞』昭和七年九月二十二日付朝刊)


また、戦前の野球雑誌『野球界』の昭和八年三月号には次のような記事が掲載されている。

新興リーグ四大學
文理、東洋、拓大の三大學がリーグ戦を開始して二年目、新たに工科大學を加盟して四大學リーグとなった。球場に困難を來たす新興リーグも王子北町球場で開催され、永田市長の始球式のよって秋の争覇は雄々しく火蓋を切った。昨年來野球界主幹横井春野氏、前早大市岡忠雄氏等の後援によって、市長盃、讀賣盃、野球界盃等のトロフィー争奪に、特に文理大の清水主将の苦闘三年、遂に報いられて今日の新興リーグの健全な發育となったもので、このリーグの主将會議各大學協議會は吉例によって、スポーツの謳歌朗らかな會として早くも學生界の名物となった。今年も九月二十日に工業會館で會合、各大學の精鋭百餘名、互いに握手して選手になるまでの履歴を述べ合って、意見交換かくて各校のエール、校歌を合唱したのち、各自の藝を示し、コーヒーと菓子でよくぞ愉悦會合が行われるとさへ思はれるほどだ。
ゲームそのものも何處までも學生のライフ、上品に勇敢に汚流や暗雲は何處にも停滞してゐない。不幸にも審判や球場の不完全によって、折角の選手の意氣も殺がれる傾きはあるが、この新興リーグのために既成六大學リーグその他も何かと指導の地位のたたれることを筆者は祈る。



トロフィーなども用意され、また、『野球界』の他の記事には翌昭和八年春の入場料収入の分配金が十四円あまりであったとの記述(『野球界』昭和八年三月合三号)も有り、技量の点はさておいて体裁としては本格的なリーグ戦であったようだ。

試合結果は以下の通りである。(判明したもののみ)

9月24日
文理大001 000 100  2
工業大423 054 43X  23

東洋大010 000 720  10
拓殖大203 000 031  9

9月25日
拓殖大100 000 111  4
東洋大300 003 41X  11

文理大000 311 000  5
工業大101 210 31X  9

10月1日
工業大010 012 011  6
拓殖大000 030 001  4

文理大002 311 02  9
東洋大001 001 00  2

10月2日
東洋大000 000 000  0
文理大000 020 20X  4

拓殖大110 225 034  18
工業大480 040 001  17

10月8日
文理大300 020 005  10
拓殖大100 204 13X  11

工業大100 001 001  3
東洋大101 011 00X  4

10月9日
工業大012 050 2101  21
東洋大010 120 0 00   4

拓殖大100 000 200  3
文理大300 000 000  3

10月10日
工業大003 220 003  10
東洋大000 201 001  4

10月18日
文理大200 100 000  3
拓殖大002 000 02X  4

工業大優勝す 四大學野球終了す
四大學野球リーグ戰は最後の試合、文理大對拓大戰は18日午後二時十五分北町球場で擧行四對三で拓大快勝。本シーズンは左の成績となって終了した。
①8戰6勝工業大學②8戰3勝一引分拓殖大學③7戰3勝東洋大學④7戰2勝一引分文理科大學(『朝日新聞』昭和七年十月十九日付朝刊)

 
     工業大拓殖大東洋大文理大
工業大○●○●○○○○6勝2敗
拓殖大●○●●●○△○3勝4敗1分
東洋大○●●○○●●3勝4敗
文理大●●●△●○○2勝4敗1分
(工大-拓大の三戦目の試合結果は見つけられなかったが、上記記事から工大○-●拓大と判断して星取表を作成した。)



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