H27年10月17日
戦前の雑誌『野球界』からの記事を追加いたしました。
明治期の一高、早慶を中心として高まっていた野球熱は大正に入ってから中等野球の全国大会(今の春夏の甲子園)開催や軟式ボールの開発による小学生への普及などで裾野をさらに広げて行ったが、一方では一部選手のセミプロ化や有望選手のスカウト合戦など野球害毒論争の頃と変わらぬ問題を抱えていた。(今日に至っても相変わらずである)。
そこで、当時の文部省は「野球ノ統制並施行ニ関スル件」を公布し、大学野球については団体の登録と報告などを義務付けたのである。
三大学野球連盟が早期に公認を得られたのは、新聞社の後援が大きかったのかもしれない。このリーグ戦は読売新聞社の後援のもとに開催されていたのである。
春のリーグ戦
5月14日
文理大11x- 5拓殖大
5月15日
文理大23x-10拓殖大
5月20日
東洋大18x-17拓殖大
5月21日
拓殖大12x-11東洋大
5月22日
東洋大22x- 9拓殖大
5月29日
文理大14-10東洋大
5月30日
文理大11- 4東洋大
秋のリーグ戦
秋のリーグ戦開始前に次のような告知記事が見られる。
また、戦前の野球雑誌『野球界』の昭和八年三月号には次のような記事が掲載されている。
トロフィーなども用意され、また、『野球界』の他の記事には翌昭和八年春の入場料収入の分配金が十四円あまりであったとの記述(『野球界』昭和八年三月合三号)も有り、技量の点はさておいて体裁としては本格的なリーグ戦であったようだ。
試合結果は以下の通りである。(判明したもののみ)
9月24日
文理大001 000 100 2
工業大423 054 43X 23
東洋大010 000 720 10
拓殖大203 000 031 9
9月25日
拓殖大100 000 111 4
東洋大300 003 41X 11
文理大000 311 000 5
工業大101 210 31X 9
10月1日
工業大010 012 011 6
拓殖大000 030 001 4
文理大002 311 02 9
東洋大001 001 00 2
10月2日
東洋大000 000 000 0
文理大000 020 20X 4
拓殖大110 225 034 18
工業大480 040 001 17
10月8日
文理大300 020 005 10
拓殖大100 204 13X 11
工業大100 001 001 3
東洋大101 011 00X 4
10月9日
工業大012 050 2101 21
東洋大010 120 0 00 4
拓殖大100 000 200 3
文理大300 000 000 3
10月10日
工業大003 220 003 10
東洋大000 201 001 4
10月18日
文理大200 100 000 3
拓殖大002 000 02X 4
(工大-拓大の三戦目の試合結果は見つけられなかったが、上記記事から工大○-●拓大と判断して星取表を作成した。)
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戦前の雑誌『野球界』からの記事を追加いたしました。
三野球團體公認さる
文部省の野球統制令案が訓令として公布されてから既に一カ月餘りを經過したが、この結果各地野球團體はこれを常置團體としての公認を必要とし、東京では六大學リーグ及び五大學リーグ、関西では六大學リーグが早くも手續きを終了して公認團體となったが、その後公認された專門學校以上の學生野球聯盟は次の三團體で、尚引き續き公認申請が續出する模様で、一部では早くもこれ等公認團體の統制が必要であると見られて居る。公認された野球團體次の如し。
三大學野球聯盟(東京)
加盟校 拓大・文理大・東洋大
関西醫歯薬專門學校野球聯盟(大阪)
加盟校 大阪高醫・大阪薬專・大阪歯科醫專・京都府立醫大・京都薬專
関西學生野球聯盟(大阪)
加盟校 大阪帝大・大阪工大・大阪商大・関學・大阪外語・神戸高工・神戸高商
(『朝日新聞』昭和七年五月七日付朝刊)
明治期の一高、早慶を中心として高まっていた野球熱は大正に入ってから中等野球の全国大会(今の春夏の甲子園)開催や軟式ボールの開発による小学生への普及などで裾野をさらに広げて行ったが、一方では一部選手のセミプロ化や有望選手のスカウト合戦など野球害毒論争の頃と変わらぬ問題を抱えていた。(今日に至っても相変わらずである)。
そこで、当時の文部省は「野球ノ統制並施行ニ関スル件」を公布し、大学野球については団体の登録と報告などを義務付けたのである。
三大学野球連盟が早期に公認を得られたのは、新聞社の後援が大きかったのかもしれない。このリーグ戦は読売新聞社の後援のもとに開催されていたのである。
春のリーグ戦
5月14日
文理大11x- 5拓殖大
5月15日
文理大23x-10拓殖大
5月20日
東洋大18x-17拓殖大
5月21日
拓殖大12x-11東洋大
5月22日
東洋大22x- 9拓殖大
5月29日
文理大14-10東洋大
5月30日
文理大11- 4東洋大
文理大優勝
三大學野球リーグ最終試合文理大對東洋大二回戰は三十日午後二時半から北町球場で擧行、十一對四で文理勝つ。この結果文理大は四戰四勝で優勝し、東洋大二位、拓大三位となった。(『朝日新聞』昭和七年五月三十一日付朝刊)
文理大 | 東洋大 | 拓殖大 | ||
文理大 | - | ○○ | ○○ | 4勝0敗 |
東洋大 | ●● | - | ○●○ | 2勝3敗 |
拓殖大 | ●● | ●○● | - | 1勝4敗 |
秋のリーグ戦
秋のリーグ戦開始前に次のような告知記事が見られる。
四大學野球組み合わせ
三大學野球リーグ戰は新たに工業大學を加えて四大學リーグとなり、今秋のスケヂュールを次の如く決定した。尚球場はいずれも北町文理大球場を使用し、試合はいずれもダブルヘッダーで最初の試合は午前十一時半、次の試合は午後二時半から開始される。(以下略。『朝日新聞』昭和七年九月二十二日付朝刊)
また、戦前の野球雑誌『野球界』の昭和八年三月号には次のような記事が掲載されている。
新興リーグ四大學
文理、東洋、拓大の三大學がリーグ戦を開始して二年目、新たに工科大學を加盟して四大學リーグとなった。球場に困難を來たす新興リーグも王子北町球場で開催され、永田市長の始球式のよって秋の争覇は雄々しく火蓋を切った。昨年來野球界主幹横井春野氏、前早大市岡忠雄氏等の後援によって、市長盃、讀賣盃、野球界盃等のトロフィー争奪に、特に文理大の清水主将の苦闘三年、遂に報いられて今日の新興リーグの健全な發育となったもので、このリーグの主将會議各大學協議會は吉例によって、スポーツの謳歌朗らかな會として早くも學生界の名物となった。今年も九月二十日に工業會館で會合、各大學の精鋭百餘名、互いに握手して選手になるまでの履歴を述べ合って、意見交換かくて各校のエール、校歌を合唱したのち、各自の藝を示し、コーヒーと菓子でよくぞ愉悦會合が行われるとさへ思はれるほどだ。
ゲームそのものも何處までも學生のライフ、上品に勇敢に汚流や暗雲は何處にも停滞してゐない。不幸にも審判や球場の不完全によって、折角の選手の意氣も殺がれる傾きはあるが、この新興リーグのために既成六大學リーグその他も何かと指導の地位のたたれることを筆者は祈る。
トロフィーなども用意され、また、『野球界』の他の記事には翌昭和八年春の入場料収入の分配金が十四円あまりであったとの記述(『野球界』昭和八年三月合三号)も有り、技量の点はさておいて体裁としては本格的なリーグ戦であったようだ。
試合結果は以下の通りである。(判明したもののみ)
9月24日
文理大001 000 100 2
工業大423 054 43X 23
東洋大010 000 720 10
拓殖大203 000 031 9
9月25日
拓殖大100 000 111 4
東洋大300 003 41X 11
文理大000 311 000 5
工業大101 210 31X 9
10月1日
工業大010 012 011 6
拓殖大000 030 001 4
文理大002 311 02 9
東洋大001 001 00 2
10月2日
東洋大000 000 000 0
文理大000 020 20X 4
拓殖大110 225 034 18
工業大480 040 001 17
10月8日
文理大300 020 005 10
拓殖大100 204 13X 11
工業大100 001 001 3
東洋大101 011 00X 4
10月9日
工業大012 050 2101 21
東洋大010 120 0 00 4
拓殖大100 000 200 3
文理大300 000 000 3
10月10日
工業大003 220 003 10
東洋大000 201 001 4
10月18日
文理大200 100 000 3
拓殖大002 000 02X 4
工業大優勝す 四大學野球終了す
四大學野球リーグ戰は最後の試合、文理大對拓大戰は18日午後二時十五分北町球場で擧行四對三で拓大快勝。本シーズンは左の成績となって終了した。
①8戰6勝工業大學②8戰3勝一引分拓殖大學③7戰3勝東洋大學④7戰2勝一引分文理科大學(『朝日新聞』昭和七年十月十九日付朝刊)
工業大 | 拓殖大 | 東洋大 | 文理大 | ||
工業大 | - | ○●○ | ●○○ | ○○ | 6勝2敗 |
拓殖大 | ●○● | - | ●● | ○△○ | 3勝4敗1分 |
東洋大 | ○●● | ○○ | - | ●● | 3勝4敗 |
文理大 | ●● | ●△● | ○○ | - | 2勝4敗1分 |
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