21話 「悲しみの中の戦艦」
マーズの鉱石を管理しているのは、エンド・カンパニーだった。
小隊長は星が散りばめられている光景が目に入る、どこか分からない土地にいた。
機体の中でも中堅クラスのザンラから攻撃を受け、本部と連絡を取ろうと思っていると、少女たちが目に入ったので逃げるように促し、立ちはだかっていた。
小隊は全滅に近いほどで、土地にいた人々も残り僅かになっているようだった。
「怖いよー!」と叫んでいる少女たちだったが、機体の手のひらに乗せて何とか逃げようと試みた。
どこか分からない国旗があったが、小さな国なのか把握できない。
後ろを振り向いた瞬間だった。
「ジャイワナーゾは弱い奴をやるんだよ、邪魔だからさ!」小隊長を乗せた機体は爆発し少女の姿もなかった。
麻生は悔しい思い出その光景を見ていて机を蹴り飛ばした。
「な、何で!エンド・カンパニーは何もできないんだ!」基地のような大きな建物のブリッジのような中に、響くように叫ぶと高官らしき白髪の人物が言った。
「あいつら!マーズの鉱石を持っている!間に合わないんだ!これでいくつもの小隊がやられている!」
高官らしき人物も悔しさのあまり机を叩いた。
麻生はエンド・カンパニーに普通に装うため出社していたが、まさかこの光景をスクリーンで見ることになるとは思わなかった。
すると扉が開いて「アル・レレンと申します」と高官らしき人物と麻生に言った。
「彼は若くして戦艦に乗っているが優秀な男性だ。私はこれで…」と白髪の人物は去って行った。
麻生は顔を真っ赤にして「何なんだあの人は!」と言うと、アル・レレンと名乗る人物は黒髪で若くどこか風格があるような態度で「申し訳ありません」と冷静に麻生に言った。
「あの方は…」まで話すと麻生は手で払うように遮って「聞く前に自己紹介じゃな」と冷静さを取り戻して言った。
「面倒だから麻生でいい、君は…アル・レレンだったかな」と聞くと頷いて話始めた。
「あの方は…「D」としか知られていない人物です」
冷静な口調でさらに続けて「私は最後まで残るように言われている者です」
そこまで話すと麻生は考え込むように歩いてから「…D氏か…そして君は最後の砦か」と話した。
アル・レレンは麻生に椅子に座るよう促され、2人は座った。
「まあ、私が最後ということで察して頂けるかもしれませんが…もうすぐここも落ちるでしょう」
まっすぐに目を見て話すアル・レレンに好感を持った麻生は、ため息混じりに言った。
「残りは僅かなわけじゃな?どのくらいで?」と話すと、まっすぐ見たままで答えた。
「20の小隊が出ているだけですが、相手の戦力があまりにも強力なので、時間の問題かと」
と答えた。
麻生は不思議そうに「これは…戦艦かね?」と聞くと「隠れた戦艦ですね。今までは会社として機能していましたが、この戦艦が一番大きいです。そして私は28歳の艦長になります」と言った。
麻生が不思議そうに「わしのことは聞かないのかね?」と言うと、アル・レレンは真面目に「秘密主義者のエンジニア、と聞いています」と答えるので麻生は不謹慎と思いつつ笑った。
真面目な顔をしていたアル・レレンも薄っすら笑みを浮かべたのだった。
この男は信用できる、麻生と同じことを思っているようにジッとアル・レレンは麻生の目を見た。