第11話 「セセリナの想い」
「アイザック…サラは本当に必要な存在?守るべきなの?分からないわ…」
セセリナがアイザックに話す。
「サラは俺たちを助けてくれる。いずれね。それに大切な存在だよ」
アイザックの言葉にムッとするセセリナ。
「ザメフィスはおとなしかった。でもサラと同時に現れたのに?それって邪魔な存在だからじゃない?守るべきなのは違うんじゃ…」
アイザックは真剣に答える。
「セセリナがそんなことを言ってはいけない」
納得したようで怒ってその場を去る。
「知っているよサラ。そこにいるね?」
クスッと笑いながらアイザックが言うと、サラが現れる。
同時だった。
黒い存在も同時に現れ、2人の間を遮る。
「お前は…」
アイザックが言いかけると、サラも例の存在と違うことに気づく。
「私が邪魔なら言えばいいじゃない!あんたラトね!」
いきなりアイザックと離され、その時セセリナがアイザックと一緒にいるのを見た。
「こっちへ来なよサラ。抱きしめてあげるさ。強くね」
上半身裸でラトが答える。
サラはアイザックが気になった。
「見てごらん。あれが本当のアイザックだよ。セセリナと一緒に戯れている」
目の前に見えていたのは、アイザックがセセリナと寝転んでいた。
まるで恋人のように。
サラに不安が現れた時だった。
「俺はあんな裏切りはしない。サラを守る。こうやって…」
ラトがいきなりサラを抱きしめる。
サラが離そうともがくが、力で勝てない。
「やめろ!ラト!サラ…あれは幻だ!」
見知らぬ10代後半らしい男性がラトに体当たりをした。
「ふ…」
ラトが消えて、助けてくれた人だけ残る。
「あなた誰?」
サラの質問に息を切らしながら答える。
「セセリナの弟カルロ。あの幻影はラトが出しているんじゃない!」
サラが驚いて事情を聞く。
「姉はね、アイザックが好きなんだよ。惑わしのラトを使っているのは…」
サラが言う。
「セセリナの表した幻影なの??」
「バカな姉だよ。気をつけた方が良いね。サラさん」
サラはラトに抱きしめられて強さを感じただけではなく、セセリナがアイザックを好きなことにショックを受けた。