僕が学校から帰ると
家に知らない女の人が二人いた
温泉の芸者さんで
男が出てくるのでしばらく
家でかくまってやるんだと
父が言っていた
二人は一週間ぐらいで
居なくなったが
とにか父は
知らない人をよく家に連れてきた
☆****☆
もう一つ 困ったのが
何でも人にあげてしまう癖、
ネギ、大根、ナス、キュウリ、イモ
自分が作ってもいないのに
その辺においてあれば
「いいから、持っていきな、」
僕の部屋の
人形まで勝手に人にあげてしまった
☆****☆
その人のよさで 父は事業に失敗して
我が家は貧乏のどん底へ
修学旅行に持っていく
一人500円の小遣いもなくて
僕は友達から350円をやっと借りて
持っていると
持ち物検査で 担任の教師から
「お前、隠しているな」
「全部出せ、」
と言われたときは辛かった
☆****☆
その夜も父は人を連れてきて
「夕飯を食べていけ。」としきりに言っていた
だが、家にはもう米がなかった
僕は母に言われて祖父に米を借りに行った
父は母の苦労も知らずに
「いいから食べていけ、」と 繰り返していた
☆****☆
僕が高三の時に
暴力事件を起こして相手が入院したとき
なにも言わずに
相手の家まで謝りに行ってくれた
中三の時に家出して上野で捕まった時も
怒らないで迎に来てくれた
大学病院で心臓の手術をするとき
「やめておいたほうがいいよ。」と僕が言うと
「治って、犬と歩きたいんだ」
と、言った父、
結局、そのまま亡くなってしまったが
看護婦さんが何人も泣いていたから
やっぱり父は
最期までいい人だったのかな....
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます