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【ナタマメの毒性と調理加工(8月22日草稿2訂版)】
(01) 入門者がナタマメを栽培し、サヤや豆を収穫して調理する際の注意です。
(02) 先ず、栽培しているナタマメがどの種類かを知りましょう。
(03) 豆が真っ白だったか?赤っぽかったか?手に入れたときの状態を思い出しましょう。
(04) 真っ白な豆は、白ナタマメかタチナタマメでしょう。
(05) 赤っぽい豆は、(赤)ナタマメでしょう。
赤ナタマメをナタマメといい、白ナタマメと区別することもあります。
(06) 赤っぽいナタマメは、弱い毒性があるといわれています。赤い花が咲きます。
(07) 白い豆でも、真っ白な花でなく、淡い紫色の花が咲くとタチナタマメであるかも知れません。
(08) 白ナタマメは毒性がないが、タチナタマメは毒性が強いといわれています。
(09) タチナタマメは栽培量が少なく、歯磨きや試薬などの加工原料に使われることが多いようです。
(10) 豆の入手経路も知っておくとよいでしょう。
(11) 乾物屋さんなどで食用として売られているナタマメを自家用栽培した場合は、食用が期待できます。
(12) 種苗店や栽培(農)家などから手に入れた場合は、食用が可能な種類か確認できたらしましょう。
(13) 次にナタマメ一般(タチナタマメを除く)の料理方法を述べます。
(14) ナタマメの調理方法は大きく2つあります。サヤを食べる方法と豆を食べる方法です。
(15) 若いサヤを調理するのが第1の方法で、福神漬けや味噌漬けが有名です。
(16) 秋に収穫した完熟種子(豆)を調理するのが第2の方法で、白餡やナタマメ茶が有名です。
(17)【サヤの調理①】奈良県農業情報・相談センターのホームページによると(以下同じ)、若いサヤは長さ10センチ前後でもぎ取り、加熱して食べるならば問題はないようです。
(18)【サヤの調理②】マメ類に含まれるレクチンの毒性は加熱で不活性化し、通常の量の食用は問題ないらしい。
(19)【サヤの調理③】若いサヤを生のままか、塩を加えた熱湯で茹でた後、みそ漬けやかす漬けにして食べます。
(20)【サヤの調理④】福神漬けも同様で、斜めに輪切りにし、ダイコン、ニンジン、キュウリ、レンコン、コンブなどと、醤油、砂糖、塩で作った漬け汁で漬けます。
(21)【サヤの調理⑤】おもいっきりテレビのホームページによると(以下同じ)、ナタマメの味噌漬けで有名なのが、熊本県あさぎり町の『たちわけ』です。
(22)【サヤの調理⑥】若いサヤを短くて3ヶ月、長い場合だと1年以上も味噌に漬け込むそうです。
(23)【サヤの調理⑦】サヤには血管を丈夫にし、肌を整えるリジンのほか、βカロテンや食物繊維が豊富です。
(24)【サヤの調理⑧】味噌漬けにすることで、味噌のビタミンEが浸透し、美肌効果や老化予防が期待できるそうです。
(25)【サヤの調理⑨】味噌の原料大豆にも骨を強くし、疲労回復に役立つといわれるイソフラボンが含まれています。
(26)【豆の調理①】農林水産省「消費者の部屋」のホームページによると(以下同じ)、ナタマメの完熟種子はサポニン、青酸配糖体、有毒性アミノ酸(カナバリン、コンカナバリンA)などに由来する有毒成分を含みます。
(27)【豆の調理②】豆の調理方法としては、2日ほど水にさらしたり、煮た後2~3回水にさらしたり、炒ったり、発酵させたりします。毒性分の量により、消失の度合いが違うので注意が必要です。
(28)【豆の調理③】『マメなマメの話』(吉田よし子著、以下同じ)によれば、成熟した豆は数種類の有害物質を含むため、ただ煮ただけでは食べられない。
(29)【豆の調理④】毒性の中で一番怖いのが、消化管内で栄養吸収を妨げたりするコンカナバリンAだそうです。
(30)【豆の調理⑤】ナタマメは繰り返しゆでこぼせば食べられるようになるそうです。
(31)【豆の調理⑥】日本産のナタマメは白餡用なので、何回もゆでこぼしてからすりつぶし、水でさらすので問題ないとのこと。
(32)【豆の調理⑦】インドでは、ナタマメを発酵させ、テンペにして無毒化しているそうです。
(33)【豆の調理⑧】スパスパ人間学のホームページによると(以下同じ)、ナタマメのコンカナバリンAは腎機能を向上させるとのこと。
(34)【豆の調理⑨】ナタマメは強い成分を含み、何度もアク抜きしないと食べられないので、お茶にするのがベスト。コンカナバリンAは熱に強いので大丈夫(!?)とのこと。
《私見》加熱処理して毒性を減らす対象は、いったい何なんでしょうねえ?サポニン?青酸配糖体?コンカナバリンA?ちょっと諸説に矛盾を感じないでもない。。。
(35)【ナタマメ茶の作り方①】ナタマメをフライパンで強火にして炒める。
(36)【ナタマメ茶の作り方②】十分に火が通ったナタマメを、ミキサーで細かく砕く。
《私見》砕いてから炒める方法もあります。ポイントは豆にしっかり火を通すことだと思います。
(37)【ナタマメ茶の作り方③】細かくなったナタマメを煮出してお茶にする。お茶というよりコーヒーに近い飲み方とか。
《私見》漢方では、煎じて飲む方法です。お茶風ならお茶パックに入れて飲みます。急須に入れて飲めば日本茶的、ティーバッグ風にカップに入れて飲めば紅茶式ですね。紙のフィルターでコーヒーのようにドリップすればコーヒー式ということでしょうか。
(38)【補足情報①】『野菜園芸大百科』8巻(農文協編)によると(以下同じ)、若サヤの福神漬け、味噌漬け、粕漬けのほか、近年は開花直前の新鮮な花を酢漬けにし、赤や緑に染色したものが、つまものとして利用されているそうです。
(39)【補足情報②】完熟種子はサポニンを含み有毒だが、塩水や水を何回もとりかえて煮れば安全であると記されています。
(40)【補足情報③】煮豆やきんとんとしても、また肉と煮ても美味であると紹介されています。
《私見》この記述は普通の豆の調理とかわりませんよね。十分に煮て、何度も水を取替え、アク抜きをするという点を除いては。若サヤの主成分はササゲ、インゲンマメと大差ないそうです。有毒物質を除けば、普通のマメということですね。当たり前のお話ですが、調理法も押して知るべしです。普通のマメとの違いでなく共通性に着目すれば。ただし、大きくなれば話は別で、硬くて煮ても焼いても食べられそうもないサヤと有害物質を含むマメ。ここが、普及しずらい原因のひとつなのでしょう。
(41)【補足情報④】『食材図典』<生鮮食材篇>(小学館)によれば、ナタマメには赤花、白花の2系統がある。同属のタチナタマメはサヤが小形でナタマメと同様に用いるが、種子にはアミノ酸のカナバリンを含み、中毒のおそれがあるので水煮してから、2~3回水洗いして利用するとあります。
(42)【補足情報⑤】『食品加工総覧』(農文協編、以下同じ)によると、タチナタマメの完熟種子は毒性があるが、若サヤには毒性はない。白ナタマメはサヤにも種子にも毒性がない。若サヤは熱湯をくぐらせ、うすく切り、サラダの材料にしたりできる。
(43)【補足情報⑥】福神漬けはシロナタマメの若サヤを小口切りにしたものだそうです。
(44)【補足情報⑦】シロナタマメの成熟種子はサヤのまま塩水で十分に煮沸して、ソラマメの代わりに食べることができるそうです。
(45)【補足情報⑧】完熟種子(特に褐色の種子)は、青酸配糖体や有毒性アミノ酸を含み有毒であり下痢をすることがあるそうです。
《私見》有毒性アミノ酸にコンカナバリンAも含まれるとすれば、スパスパ人間学の記述は誤解を生みかねないですね。先ず、無害なシロナタマメを食用として推奨すべきで、(赤)ナタマメやタチナタマメの食用には注意を促すべきです。広い意味でのナタマメ一般と、シロナタマメやタチナタマメと区別した(赤)ナタマメという狭い意味を区別してほしい。次に、コンカナバリンAが加熱にも耐えて温存され、健康増進に役立つような印象を与える表現にも配慮が必要でしょう。もともとコンカナバリンAが無害で有益な成分なのか?有害だが有益でもある(毒にも薬にもなる)成分なのか?はっきりしません。効用が強調されすぎて正確な認識が得られぬまま加熱してもコンカナバリンAが温存され、若ボケ防止などの健康増進に役立つかのごとき印象を与える可能性があります。加熱すると無害になるのか?無害になるということは効用が失われるということなのか?毒性のみ消失して効用は温存されるのか?不明確です。私も腎臓機能改善による尿素減少効果(ボケ防止)を期待してナタマメ栽培を始めた一人なのですが、まじめに栽培して試食試飲する段階になると、もう少し説明がほしいところです。
(46)【補足情報⑨】完熟種子は、水を何回も換えて十分に煮たあと数時間水にさらせば毒は除くことができ、食用として利用できるそうです。砂糖煮、いり豆、煮豆やきんとんの材料としたり、カレーに入れたり、肉などと共に煮て食べられるそうです。ただ、(特に商品化など)できるだけシロナタマメなどを利用することが好ましいといった説明になっています。ナタマメ一般には種類により毒性に強弱があるが、調理する前に2日ほど水に浸したり、煮た後2~3回水にさらしたり、煮汁を捨てる操作を繰り返したり、炒ったり、発酵したりすれば毒性がなくなるので食用に利用されているそうです。
(47)【ナタマメの加工①】若いサヤはナタマメ類一般(ナタマメ、シロナタマメ、タチナタマメなど)のいずれも利用できる。
(48)【ナタマメの加工②】完熟種子の加工はシロナタマメを用いるようにし、範囲を広げても(赤)ナタマメまでとすべき。
(49)【ナタマメの加工③】完熟種子を用いる調理加工品としては、主にナタマメモヤシ、ナタマメ味噌、糸引き納豆、ナタマメコーヒーなどがあげられています。
(50)【ナタマメの加工④】シロナタマメ以外の他のナタマメでも前述の処理で毒性がなくなるので調理加工はできるが、毒性と同時に薬効や風味なども失われるため、煮豆や豆きんとんなどの増量剤にしか使用できず、ナタマメを利用する価値も少なくなる。
《私見》この記述は毒にも薬にもならないただの豆にナタマメが変貌してしまうかも?という気になる記述ですね。
(51)【ナタマメの加工⑤】ナタマメの花は酢漬けとして保存し、染色して料理のつまとする。
(52)【ナタマメの加工⑥】ナタマメのやや若いサヤ(15センチ~20センチ)は塩漬けできる。十分の一の量の塩と五分の一の量の水を加え、2週間程度重石をして漬物とし、取り出してさらに十分の一の塩で漬けかえる。塩漬けを原料とし加工食品を作れる。
(53)【ナタマメの加工⑦】ナタマメのモヤシは、容器の中にスノコを置き、豆が底に付かないようにし、水洗いした豆を一昼夜水に漬ける。水は3~5時間おきに換える。容器に豆を入れ、30℃くらいの温水を入れ、しばらく暖めてから水を捨てる。容器に覆いをして放置する。毎日2回くらい20℃の水をかけては水を捨てる操作を続けると2週間程度で豆モヤシができる。
《私見》私がビンの中に水を入れてナタマメを育てようとしたときには、水が少ないと乾いてしまいました。水が多すぎても何日かして腐りはしないか心配でした。数日経つと豆は土に移植して腐ったのと、文字通りモヤシっぽくか弱い芽が出たのがありました。モヤシも育て方があるんですね。
(54)【ナタマメの加工⑧】ナタマメ味噌は、豆をよく洗い一昼夜水に漬けます。途中2~3回水を換えながら豆を煮ます。親指と小指にはさんで豆がつぶれるくらいまで蒸し、皮をむく。別に若コウジに塩を加え、塩切りコウジを作る。水1.8リットルに95グラムの塩を入れた種水で種味噌を溶かし、汁状にする。これらを皮むき豆と混ぜ、容器につめこみ、表面をならして塩をふり、中蓋をして重石をする。夏を越す1年後にナタマメ味噌ができる。
(55)【ナタマメの加工⑨】ナタマメの糸引き納豆は、味噌と同じように煮るか蒸すかして、皮をむいて小割りにし、ワラつとにつめる。43度Cくらいの所に、5~8時間おくとできる。あるいは、納豆菌を溶かした水を皮むき豆に散布し、よく混ぜてタッパー容器につめ、40℃~50℃、湿度95%以上の室温に置く。12時間で熱が出るので、室温を下げ、過湿を防ぐ。25時間たったら少しずつ冷却し、1日涼しい所でアンモニア臭を除き、完成する。
(56)【ナタマメの加工⑩】ナタマメコーヒーは炒って粉にしてコーヒーの代用にする。
《私見》ナタマメ茶とナタマメコーヒーは炒って粉にする点では呼び名の違いともいえます。
(57)【ナタマメの加工⑪】粉末にして1日に4グラム~10グラム服用すれば、生薬として効果があるそうです。茎や葉などを煎じて入浴剤として利用することもできるそうです。
(58)【補足情報⑩ダイズの栄養阻害・有害物質】『大豆』(女子栄養大学出版部86p~,123p~)によれば、ダイズが含むサポニンやイソフラボノイドなどは、ヨード摂取を阻害する。
日本人は海草などヨード摂取が多いので、ダイズを食べて甲状腺異常を起こす心配はないという。ただし、ヨード摂取が少ない国などでは配慮が必要とされている。
ダイズにもトリプシンインヒビター、ヘマグルチニン、サポニンなどの有害物質が含まれている。
これらの3物質は、いずれも水溶性で水を加えれば溶ける。しかし、加熱には比較的強く、100度以下の加熱ではその作用は残る。
たとえば、豆腐製造工程では投入中に18~20パーセント、製品の豆腐にも11~12パーセントのトリプシンインヒビターが残っている。
(市販)豆乳は、130~140度の加熱を行うので、有害物質は完全に失活・除去されて、安全な飲料とすることができる。
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ナタマメ豆知識(4訂版)【大幅改定しました】
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(01) 入門者がナタマメを栽培し、サヤや豆を収穫して調理する際の注意です。
(02) 先ず、栽培しているナタマメがどの種類かを知りましょう。
(03) 豆が真っ白だったか?赤っぽかったか?手に入れたときの状態を思い出しましょう。
(04) 真っ白な豆は、白ナタマメかタチナタマメでしょう。
(05) 赤っぽい豆は、(赤)ナタマメでしょう。
赤ナタマメをナタマメといい、白ナタマメと区別することもあります。
(06) 赤っぽいナタマメは、弱い毒性があるといわれています。赤い花が咲きます。
(07) 白い豆でも、真っ白な花でなく、淡い紫色の花が咲くとタチナタマメであるかも知れません。
(08) 白ナタマメは毒性がないが、タチナタマメは毒性が強いといわれています。
(09) タチナタマメは栽培量が少なく、歯磨きや試薬などの加工原料に使われることが多いようです。
(10) 豆の入手経路も知っておくとよいでしょう。
(11) 乾物屋さんなどで食用として売られているナタマメを自家用栽培した場合は、食用が期待できます。
(12) 種苗店や栽培(農)家などから手に入れた場合は、食用が可能な種類か確認できたらしましょう。
(13) 次にナタマメ一般(タチナタマメを除く)の料理方法を述べます。
(14) ナタマメの調理方法は大きく2つあります。サヤを食べる方法と豆を食べる方法です。
(15) 若いサヤを調理するのが第1の方法で、福神漬けや味噌漬けが有名です。
(16) 秋に収穫した完熟種子(豆)を調理するのが第2の方法で、白餡やナタマメ茶が有名です。
(17)【サヤの調理①】奈良県農業情報・相談センターのホームページによると(以下同じ)、若いサヤは長さ10センチ前後でもぎ取り、加熱して食べるならば問題はないようです。
(18)【サヤの調理②】マメ類に含まれるレクチンの毒性は加熱で不活性化し、通常の量の食用は問題ないらしい。
(19)【サヤの調理③】若いサヤを生のままか、塩を加えた熱湯で茹でた後、みそ漬けやかす漬けにして食べます。
(20)【サヤの調理④】福神漬けも同様で、斜めに輪切りにし、ダイコン、ニンジン、キュウリ、レンコン、コンブなどと、醤油、砂糖、塩で作った漬け汁で漬けます。
(21)【サヤの調理⑤】おもいっきりテレビのホームページによると(以下同じ)、ナタマメの味噌漬けで有名なのが、熊本県あさぎり町の『たちわけ』です。
(22)【サヤの調理⑥】若いサヤを短くて3ヶ月、長い場合だと1年以上も味噌に漬け込むそうです。
(23)【サヤの調理⑦】サヤには血管を丈夫にし、肌を整えるリジンのほか、βカロテンや食物繊維が豊富です。
(24)【サヤの調理⑧】味噌漬けにすることで、味噌のビタミンEが浸透し、美肌効果や老化予防が期待できるそうです。
(25)【サヤの調理⑨】味噌の原料大豆にも骨を強くし、疲労回復に役立つといわれるイソフラボンが含まれています。
(26)【豆の調理①】農林水産省「消費者の部屋」のホームページによると(以下同じ)、ナタマメの完熟種子はサポニン、青酸配糖体、有毒性アミノ酸(カナバリン、コンカナバリンA)などに由来する有毒成分を含みます。
(27)【豆の調理②】豆の調理方法としては、2日ほど水にさらしたり、煮た後2~3回水にさらしたり、炒ったり、発酵させたりします。毒性分の量により、消失の度合いが違うので注意が必要です。
(28)【豆の調理③】『マメなマメの話』(吉田よし子著、以下同じ)によれば、成熟した豆は数種類の有害物質を含むため、ただ煮ただけでは食べられない。
(29)【豆の調理④】毒性の中で一番怖いのが、消化管内で栄養吸収を妨げたりするコンカナバリンAだそうです。
(30)【豆の調理⑤】ナタマメは繰り返しゆでこぼせば食べられるようになるそうです。
(31)【豆の調理⑥】日本産のナタマメは白餡用なので、何回もゆでこぼしてからすりつぶし、水でさらすので問題ないとのこと。
(32)【豆の調理⑦】インドでは、ナタマメを発酵させ、テンペにして無毒化しているそうです。
(33)【豆の調理⑧】スパスパ人間学のホームページによると(以下同じ)、ナタマメのコンカナバリンAは腎機能を向上させるとのこと。
(34)【豆の調理⑨】ナタマメは強い成分を含み、何度もアク抜きしないと食べられないので、お茶にするのがベスト。コンカナバリンAは熱に強いので大丈夫(!?)とのこと。
《私見》加熱処理して毒性を減らす対象は、いったい何なんでしょうねえ?サポニン?青酸配糖体?コンカナバリンA?ちょっと諸説に矛盾を感じないでもない。。。
(35)【ナタマメ茶の作り方①】ナタマメをフライパンで強火にして炒める。
(36)【ナタマメ茶の作り方②】十分に火が通ったナタマメを、ミキサーで細かく砕く。
《私見》砕いてから炒める方法もあります。ポイントは豆にしっかり火を通すことだと思います。
(37)【ナタマメ茶の作り方③】細かくなったナタマメを煮出してお茶にする。お茶というよりコーヒーに近い飲み方とか。
《私見》漢方では、煎じて飲む方法です。お茶風ならお茶パックに入れて飲みます。急須に入れて飲めば日本茶的、ティーバッグ風にカップに入れて飲めば紅茶式ですね。紙のフィルターでコーヒーのようにドリップすればコーヒー式ということでしょうか。
(38)【補足情報①】『野菜園芸大百科』8巻(農文協編)によると(以下同じ)、若サヤの福神漬け、味噌漬け、粕漬けのほか、近年は開花直前の新鮮な花を酢漬けにし、赤や緑に染色したものが、つまものとして利用されているそうです。
(39)【補足情報②】完熟種子はサポニンを含み有毒だが、塩水や水を何回もとりかえて煮れば安全であると記されています。
(40)【補足情報③】煮豆やきんとんとしても、また肉と煮ても美味であると紹介されています。
《私見》この記述は普通の豆の調理とかわりませんよね。十分に煮て、何度も水を取替え、アク抜きをするという点を除いては。若サヤの主成分はササゲ、インゲンマメと大差ないそうです。有毒物質を除けば、普通のマメということですね。当たり前のお話ですが、調理法も押して知るべしです。普通のマメとの違いでなく共通性に着目すれば。ただし、大きくなれば話は別で、硬くて煮ても焼いても食べられそうもないサヤと有害物質を含むマメ。ここが、普及しずらい原因のひとつなのでしょう。
(41)【補足情報④】『食材図典』<生鮮食材篇>(小学館)によれば、ナタマメには赤花、白花の2系統がある。同属のタチナタマメはサヤが小形でナタマメと同様に用いるが、種子にはアミノ酸のカナバリンを含み、中毒のおそれがあるので水煮してから、2~3回水洗いして利用するとあります。
(42)【補足情報⑤】『食品加工総覧』(農文協編、以下同じ)によると、タチナタマメの完熟種子は毒性があるが、若サヤには毒性はない。白ナタマメはサヤにも種子にも毒性がない。若サヤは熱湯をくぐらせ、うすく切り、サラダの材料にしたりできる。
(43)【補足情報⑥】福神漬けはシロナタマメの若サヤを小口切りにしたものだそうです。
(44)【補足情報⑦】シロナタマメの成熟種子はサヤのまま塩水で十分に煮沸して、ソラマメの代わりに食べることができるそうです。
(45)【補足情報⑧】完熟種子(特に褐色の種子)は、青酸配糖体や有毒性アミノ酸を含み有毒であり下痢をすることがあるそうです。
《私見》有毒性アミノ酸にコンカナバリンAも含まれるとすれば、スパスパ人間学の記述は誤解を生みかねないですね。先ず、無害なシロナタマメを食用として推奨すべきで、(赤)ナタマメやタチナタマメの食用には注意を促すべきです。広い意味でのナタマメ一般と、シロナタマメやタチナタマメと区別した(赤)ナタマメという狭い意味を区別してほしい。次に、コンカナバリンAが加熱にも耐えて温存され、健康増進に役立つような印象を与える表現にも配慮が必要でしょう。もともとコンカナバリンAが無害で有益な成分なのか?有害だが有益でもある(毒にも薬にもなる)成分なのか?はっきりしません。効用が強調されすぎて正確な認識が得られぬまま加熱してもコンカナバリンAが温存され、若ボケ防止などの健康増進に役立つかのごとき印象を与える可能性があります。加熱すると無害になるのか?無害になるということは効用が失われるということなのか?毒性のみ消失して効用は温存されるのか?不明確です。私も腎臓機能改善による尿素減少効果(ボケ防止)を期待してナタマメ栽培を始めた一人なのですが、まじめに栽培して試食試飲する段階になると、もう少し説明がほしいところです。
(46)【補足情報⑨】完熟種子は、水を何回も換えて十分に煮たあと数時間水にさらせば毒は除くことができ、食用として利用できるそうです。砂糖煮、いり豆、煮豆やきんとんの材料としたり、カレーに入れたり、肉などと共に煮て食べられるそうです。ただ、(特に商品化など)できるだけシロナタマメなどを利用することが好ましいといった説明になっています。ナタマメ一般には種類により毒性に強弱があるが、調理する前に2日ほど水に浸したり、煮た後2~3回水にさらしたり、煮汁を捨てる操作を繰り返したり、炒ったり、発酵したりすれば毒性がなくなるので食用に利用されているそうです。
(47)【ナタマメの加工①】若いサヤはナタマメ類一般(ナタマメ、シロナタマメ、タチナタマメなど)のいずれも利用できる。
(48)【ナタマメの加工②】完熟種子の加工はシロナタマメを用いるようにし、範囲を広げても(赤)ナタマメまでとすべき。
(49)【ナタマメの加工③】完熟種子を用いる調理加工品としては、主にナタマメモヤシ、ナタマメ味噌、糸引き納豆、ナタマメコーヒーなどがあげられています。
(50)【ナタマメの加工④】シロナタマメ以外の他のナタマメでも前述の処理で毒性がなくなるので調理加工はできるが、毒性と同時に薬効や風味なども失われるため、煮豆や豆きんとんなどの増量剤にしか使用できず、ナタマメを利用する価値も少なくなる。
《私見》この記述は毒にも薬にもならないただの豆にナタマメが変貌してしまうかも?という気になる記述ですね。
(51)【ナタマメの加工⑤】ナタマメの花は酢漬けとして保存し、染色して料理のつまとする。
(52)【ナタマメの加工⑥】ナタマメのやや若いサヤ(15センチ~20センチ)は塩漬けできる。十分の一の量の塩と五分の一の量の水を加え、2週間程度重石をして漬物とし、取り出してさらに十分の一の塩で漬けかえる。塩漬けを原料とし加工食品を作れる。
(53)【ナタマメの加工⑦】ナタマメのモヤシは、容器の中にスノコを置き、豆が底に付かないようにし、水洗いした豆を一昼夜水に漬ける。水は3~5時間おきに換える。容器に豆を入れ、30℃くらいの温水を入れ、しばらく暖めてから水を捨てる。容器に覆いをして放置する。毎日2回くらい20℃の水をかけては水を捨てる操作を続けると2週間程度で豆モヤシができる。
《私見》私がビンの中に水を入れてナタマメを育てようとしたときには、水が少ないと乾いてしまいました。水が多すぎても何日かして腐りはしないか心配でした。数日経つと豆は土に移植して腐ったのと、文字通りモヤシっぽくか弱い芽が出たのがありました。モヤシも育て方があるんですね。
(54)【ナタマメの加工⑧】ナタマメ味噌は、豆をよく洗い一昼夜水に漬けます。途中2~3回水を換えながら豆を煮ます。親指と小指にはさんで豆がつぶれるくらいまで蒸し、皮をむく。別に若コウジに塩を加え、塩切りコウジを作る。水1.8リットルに95グラムの塩を入れた種水で種味噌を溶かし、汁状にする。これらを皮むき豆と混ぜ、容器につめこみ、表面をならして塩をふり、中蓋をして重石をする。夏を越す1年後にナタマメ味噌ができる。
(55)【ナタマメの加工⑨】ナタマメの糸引き納豆は、味噌と同じように煮るか蒸すかして、皮をむいて小割りにし、ワラつとにつめる。43度Cくらいの所に、5~8時間おくとできる。あるいは、納豆菌を溶かした水を皮むき豆に散布し、よく混ぜてタッパー容器につめ、40℃~50℃、湿度95%以上の室温に置く。12時間で熱が出るので、室温を下げ、過湿を防ぐ。25時間たったら少しずつ冷却し、1日涼しい所でアンモニア臭を除き、完成する。
(56)【ナタマメの加工⑩】ナタマメコーヒーは炒って粉にしてコーヒーの代用にする。
《私見》ナタマメ茶とナタマメコーヒーは炒って粉にする点では呼び名の違いともいえます。
(57)【ナタマメの加工⑪】粉末にして1日に4グラム~10グラム服用すれば、生薬として効果があるそうです。茎や葉などを煎じて入浴剤として利用することもできるそうです。
(58)【補足情報⑩ダイズの栄養阻害・有害物質】『大豆』(女子栄養大学出版部86p~,123p~)によれば、ダイズが含むサポニンやイソフラボノイドなどは、ヨード摂取を阻害する。
日本人は海草などヨード摂取が多いので、ダイズを食べて甲状腺異常を起こす心配はないという。ただし、ヨード摂取が少ない国などでは配慮が必要とされている。
ダイズにもトリプシンインヒビター、ヘマグルチニン、サポニンなどの有害物質が含まれている。
これらの3物質は、いずれも水溶性で水を加えれば溶ける。しかし、加熱には比較的強く、100度以下の加熱ではその作用は残る。
たとえば、豆腐製造工程では投入中に18~20パーセント、製品の豆腐にも11~12パーセントのトリプシンインヒビターが残っている。
(市販)豆乳は、130~140度の加熱を行うので、有害物質は完全に失活・除去されて、安全な飲料とすることができる。
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ナタマメ豆知識(4訂版)【大幅改定しました】
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コメントありがとうございます。
以前ご紹介した中国企業の英文紹介ページに、次の一節がありました。
"The young stem tips and leaves are eaten as a cooked vegetable."
(http://www.e2121.com/のSword Beanの項目をご参照ください)
拙い訳文ですが、「若い茎の先と葉は料理用野菜として食べられる。」ということらしいです。
おぼろげな記憶ですが、江戸時代にも食べられていたという文献があったような気がします。当然、豆が食べたいのですが、ついでに(食糧難の江戸時代は)茎や葉も食べたのかも知れません。
戦後の日本もサツマイモの茎とか食べたような感じに近いでしょうか?
アジア地域では「なた豆」が食用のほか、肥料にも用いられているそうですから、当然、茎も葉も無駄にはしてないのでしょう。
ただ、健康食品として「お茶」にしたりして摂取するということになると、一般的には豆の葉ですから、顕著な薬効を求めるのは過大な期待といえるかも知れません。
逆に言えば、豆に薬効とも毒性とも騒がれている主成分が集中するらしいので、ドクダミやビワやアマチャズルの葉ほどでないにしても、ついでに混ぜて焙煎して飲むという「なた豆の葉っぱと茎の茶」というのはあるかも知れません。
日本でも伝統的な「なた豆」の発酵食品とかを作っているところでは、もしかしたら茎や葉も有効利用しているところがあるかも知れません。
例えばお茶にして・・・・
薬になると聞いたのですが・・・・
コメントありがとうございます。
白い花か?有色の花か?
これだけで食用かどうかを素人が判断するのは正直難しいと思います。
『なた豆日記』に「赤ナタマメ」の花の写真が紹介されていますが、実際は「ほとんど純白?」かと一見すると思えてしまいます。
「よ~く見ると薄いピンク色というか紫色が混じってはいます」。
観賞用で食用でない旨が書いてあるのでしたら、食用には適さないと考えましょう。昨年も観賞用の刀豆(なたまめ)をご主人が買ってこられ、サヤを収穫された方のお話がありましたが同様です。
さて、「白ナタマメ」と「タチナタマメ」の識別の問題ですが、中国産であれば「タチナタマメ」の可能性は少ないと推定されます。
もともとアメリカ大陸の原産といわれており、中国や日本の栽培量は薬品用(アメリカは飼料用も)が主な目的かと思われます。
ただ、上で述べましたように、素人が花の色や豆の色・形・大きさから識別することはとても難しいと思います。
もしかしたらタチナタマメが観賞用ということで中国から輸入されたのかも知れません。「食用ではありません」とわざわざ書いてあるのも、そういう可能性があるからかも知れません。
タチナタマメの花の色も、赤ナタマメの花の色と同じように濃い色から薄い色まで可能性はいろいろです。
お役に立てなくて申し訳ありません。
明確な識別方法が分かるとよいですね。。
順調に育ち白い花が咲き2つ大きな実がなりました
中国産でマメは食用ではありませんと書いてありましたが白ナタマメかタチナタマメか知りたい今日ころごろです.