葦が無残にも焼かれていた。
葦は水辺の生きものの住処であり、葦の水中の茎は水の浄化作用をする。野鳥のさえずりが葦の中から聞こえていたのに、野鳥は何処へ…ヌートリアは何処へ…
私が芦田川へ出かけるようになってから何時も見かけるので、芦田川のぬしと呼ぼう。
マガモは川の浅瀬で餌をとる。まず両足で川底をひっかく、次に頭を水の中へ突っ込む。これを繰り返しやる。マガモの逆立ち姿がなかなか可愛くておもしろい。
3月31日見かけぬマガモ2羽が来ていた。ぬしよりも毛が荒れて貧弱にみえる。
2頭のヌートリアが現われた。突然“ギャオー、ギャオー”と鳴き声が ドボン、ドボンと大きな水音がした。何事か…草木にさえぎられ様子が見えない。
覗いてみると、もうそこにはヌートリアの姿は見えなかった。激しい2頭の戦いがあった。
芦田川を眺めていると4羽のマガモの前を黒っぽい物体が動いている。
あれは何か?
岸に並んでいるゆりかもめの前を得体の知れない物体が泳いでいった。
すぐ後にマガモが泳いでいる ゆりかもめはキョロキョロしながら眺めている。
あれは一体何なのか??
得体の知れない物体が岸に上がってきた。ゴミの中を漁っている。
それは、なんと大きな“ドブネズミ”?? ヌートリアだった。
さてさて、ヌートリアとは、どの様な生きものなのか
知りたくなった。
水鳥にカメラを向けながら、ふと横を見るとヌートリアが葦の中にいた。
急いでシャッターを切った。そこには可愛いしぐさのヌートリアの姿があった。
気味の悪い大きなドブネズミのイメージが私から消え去った。
ますますヌートリアに興味が湧いた。
この時からカメラを提げて会いに出かけて行くようになった。
ヌートリア(沼狸 ぬまたぬき)
ヌートリアは南アメリカ原産で、第二次世界大戦ごろ軍隊の防寒服用として飼育されていた。
1939年頃日本へ輸入されたが、必要とされなくなり野外へ放逐された。
遠い国からはるばる連れてこられ、人間の都合で捨てられ野性化し、
いま害獣ヌートリアとして捕獲駆除されている。
人間の勝手な都合で異国で捨てられ殺され、なんとも不運なヌートリア(ぬまたぬき)