今回は、「アサヒペンタックス ESⅡ」を紹介します。
1971年10月発売の「アサヒペンタックスES」は、世界初の絞り優先オート(AE)撮影機能、開放測光、電子シャッター搭載の一眼レフカメラです。名称の「ES」は、電子シャッターを意味する「Electronic Shutter」より由来するようです。(カメラに書かれているELECTRO SPOTMATICの略かと思っていました)
AE撮影時は全速無段階(1-1/1000秒)の電子シャッターを使用。マニュアル撮影時はバルブ、X同調速度(1/60秒)と高速側(1/125秒以上)のみ機械式シャッターを使用する、いわゆる"ハイブリッドシャッター仕様機"です。SPのシリーズ機として開発されたため外見は酷似するものの、パーツの高級化による各部の堅牢性の向上などが図られており、巻上げ機構などの共通できる機械部分以外は、ほぼ新設計になっています。
この機種の最大の特徴である絞り優先AEと開放測光、電子シャッターですが、PSマウントで開放測光を実現するために、ES本体のマウント内径部のねじの奥端1mm部に対応レンズ用の回転式絞り値伝達レバーを設け、また対応レンズ側に「定点」を設け、ボディ側に設けられた定点受けの可動によって位相を検出し、絞り値の正確な伝達を可能としました。その新機能対応レンズ群が「SMCタクマー」レンズです。この機構はマウント外径に細工をした他社マウントに比べて互換性面では大幅に有利なものでした、PSマウントの規格から踏み出てしまうこととなってしまいM42マウントアダプターなどを使用した時の障害になることもあります。。
次に絞り優先オートとこのESで採用された開放測光機能は、ボディとレンズ側で機械的に「ASA感度設定値」と「レンズ側の絞り値」の情報を設定し、それがボディ、マウント側の摺動抵抗によってセットされます。レリーズすると、ミラーアップ直前にTTL測光(CdS)回路から専用記憶回路に通電させ、摺動抵抗によってセットされた情報(ASA感度、絞り値)を加味した電圧を記憶させ、ミラーアップ中に適正シャッター速度が電子的演算によって決定され、シャッター後幕の起動制御を電子的に行うために「電子シャッター」と呼ばれています。
写真の「ESⅡ」は、1973年6月に発売されたESの後継機種でありPSマウントのアサヒペンタックスシリーズ最高級機である。ESと外観は酷似するものの回路設計の大幅な見直しが図られています。ESは輸出版の改良型ESが存在し、その輸出版ESがの「ESⅡ」ベースとなっています。
ESとの主な相違点を挙げると、まず露出計の記憶回路をIC化することによって、処理速度の向上と回路の大幅な小型化を実現し、絞り優先オート時のスローシャッターが8秒まで向上されたこと。新たに-20度まで耐えうる温度保障回路が内蔵されたこと。次にESでは省かれたセルフタイマー機能の復活。そしてセルフタイマー撮影時や、長時間露光時における逆入光防止のためのアイピース・シャッター機構の実装。他にファインダー部の接眼レンズにも旭光学独自の多層幕コーティングであるSMC(スーパー・マルチ・コーティング)が施されたことなどが挙げられる。しかし、IC採用による測光精度に比べ、応答速度の遅いSP系機種で採用されて続けていたCdSセルでは高速化には限界があったようです。またペンタプリズムもアルミ蒸着のままであり、接眼レンズのSMCコーティング処理によっても従来より指摘されていたファインダー像の暗さを解消されていません。この機種はプリズムの腐食が目立つものが多いのが気になります.
「ESⅡ」は、この時期のペンタックスシリーズの中で最高級機です。
ASAHI PENTAX 「ESⅡ」 性能諸元
メーカー ペンタックス
型式 自動露出TTL電子シャッター内蔵 35mm一眼レフカメラ
ボディ外装仕上げ:ブラックとクロームの2種
レンズ SMCタクマー50mmF1.4 および55mmF1.8 完全自動絞り付直進ヘリコイド
フィルターサイズ49mm
マウント ペンタックススクリュウーマウント(42φmm、ピッチ1mm)
ピント方式(AF方式) マニュアルフォーカス
距離環を回してピントグラスの映像をルーペで拡大透視
露出制御 開放平均測光式TTL露出計(絞り込み平均測光式に切替可能)
絞り優先自動露出(ファインダー内にシャッタースピード表示)
自動露出範囲:EV1~18(ASA100F1.4~16の時)
露出調節:露出倍数切替 4×.2×.1×.1/2×(無段階切替可能)
ファインダー ペンタプリズム式ファインダー
フレネルレンズ クロスマイクロプリズム付
像倍率:標準レンズ50mm=0.89倍・55mm=等倍
視野率:約93%、視度:-1ディオプトリー
オート電子シャッターの時ファインダー窓遮蔽可能
シャッター フォーカルプレーンシャッター(オート電子シャッターおよびメカニカルシャッター切替可能)
シャッターボタン ロック付
オート電子シャッター=8~1/1000秒(連続無段階) ファインダーブラインド装置内蔵
メカニカルシャッター=B・1/60(X)・1/125・1/250・1/500・1/1000秒
液晶表示 なし
ストロボ 内蔵ストロボなし
フィルム送り 巻上げ:レバー式(160°分割巻上げ可能 予備角10°)、巻上げ完了表示装置付
巻戻し:クランク式、巻き戻し完了表示装置付
電源・電池 1.5V銀電池G-13型 4個(エバレディS76EあるいはマロリーMS-76H)
大きさ・重量 50mmF1.4付…143×98×91mm 931g(電池約10g)
50mmF1.8付…143×98×90mm 880g(電池約10g)
その他 ボディ外装仕上げ:ブラックとクロームの2種
発売年月 1973年06月
発売時価格 62,000円(ボディのみ)
84,000円(SMCタクマー50mmF1.4レンズ付)
76,000円(SMCタクマー50mmF1.8レンズ付)
写真のレンズは「SMC TAKUMAR 1:1.4/50mm」です。PSマウント(M42)のレンズですが、このレンズが最終タイプとなり、このあと「Kマウント」レンズに変わります。このあたりのレンズは経年変化による色やけ(薄茶色)も比較的少なく、良好な状態のものが多いと思います。前述の、連動させるための突起があるためにマウントアダプターによって他のボディで使用するときに、干渉してしまうことがあるのが残念です。写りについては、定評があります。
タムロンでは「ESⅡ」用のアダプトールが作られていましたので、タムロンマクロ「SP90mmF2.5」などをつけて写すこともできます。
1971年10月発売の「アサヒペンタックスES」は、世界初の絞り優先オート(AE)撮影機能、開放測光、電子シャッター搭載の一眼レフカメラです。名称の「ES」は、電子シャッターを意味する「Electronic Shutter」より由来するようです。(カメラに書かれているELECTRO SPOTMATICの略かと思っていました)
AE撮影時は全速無段階(1-1/1000秒)の電子シャッターを使用。マニュアル撮影時はバルブ、X同調速度(1/60秒)と高速側(1/125秒以上)のみ機械式シャッターを使用する、いわゆる"ハイブリッドシャッター仕様機"です。SPのシリーズ機として開発されたため外見は酷似するものの、パーツの高級化による各部の堅牢性の向上などが図られており、巻上げ機構などの共通できる機械部分以外は、ほぼ新設計になっています。
この機種の最大の特徴である絞り優先AEと開放測光、電子シャッターですが、PSマウントで開放測光を実現するために、ES本体のマウント内径部のねじの奥端1mm部に対応レンズ用の回転式絞り値伝達レバーを設け、また対応レンズ側に「定点」を設け、ボディ側に設けられた定点受けの可動によって位相を検出し、絞り値の正確な伝達を可能としました。その新機能対応レンズ群が「SMCタクマー」レンズです。この機構はマウント外径に細工をした他社マウントに比べて互換性面では大幅に有利なものでした、PSマウントの規格から踏み出てしまうこととなってしまいM42マウントアダプターなどを使用した時の障害になることもあります。。
次に絞り優先オートとこのESで採用された開放測光機能は、ボディとレンズ側で機械的に「ASA感度設定値」と「レンズ側の絞り値」の情報を設定し、それがボディ、マウント側の摺動抵抗によってセットされます。レリーズすると、ミラーアップ直前にTTL測光(CdS)回路から専用記憶回路に通電させ、摺動抵抗によってセットされた情報(ASA感度、絞り値)を加味した電圧を記憶させ、ミラーアップ中に適正シャッター速度が電子的演算によって決定され、シャッター後幕の起動制御を電子的に行うために「電子シャッター」と呼ばれています。
写真の「ESⅡ」は、1973年6月に発売されたESの後継機種でありPSマウントのアサヒペンタックスシリーズ最高級機である。ESと外観は酷似するものの回路設計の大幅な見直しが図られています。ESは輸出版の改良型ESが存在し、その輸出版ESがの「ESⅡ」ベースとなっています。
ESとの主な相違点を挙げると、まず露出計の記憶回路をIC化することによって、処理速度の向上と回路の大幅な小型化を実現し、絞り優先オート時のスローシャッターが8秒まで向上されたこと。新たに-20度まで耐えうる温度保障回路が内蔵されたこと。次にESでは省かれたセルフタイマー機能の復活。そしてセルフタイマー撮影時や、長時間露光時における逆入光防止のためのアイピース・シャッター機構の実装。他にファインダー部の接眼レンズにも旭光学独自の多層幕コーティングであるSMC(スーパー・マルチ・コーティング)が施されたことなどが挙げられる。しかし、IC採用による測光精度に比べ、応答速度の遅いSP系機種で採用されて続けていたCdSセルでは高速化には限界があったようです。またペンタプリズムもアルミ蒸着のままであり、接眼レンズのSMCコーティング処理によっても従来より指摘されていたファインダー像の暗さを解消されていません。この機種はプリズムの腐食が目立つものが多いのが気になります.
「ESⅡ」は、この時期のペンタックスシリーズの中で最高級機です。
ASAHI PENTAX 「ESⅡ」 性能諸元
メーカー ペンタックス
型式 自動露出TTL電子シャッター内蔵 35mm一眼レフカメラ
ボディ外装仕上げ:ブラックとクロームの2種
レンズ SMCタクマー50mmF1.4 および55mmF1.8 完全自動絞り付直進ヘリコイド
フィルターサイズ49mm
マウント ペンタックススクリュウーマウント(42φmm、ピッチ1mm)
ピント方式(AF方式) マニュアルフォーカス
距離環を回してピントグラスの映像をルーペで拡大透視
露出制御 開放平均測光式TTL露出計(絞り込み平均測光式に切替可能)
絞り優先自動露出(ファインダー内にシャッタースピード表示)
自動露出範囲:EV1~18(ASA100F1.4~16の時)
露出調節:露出倍数切替 4×.2×.1×.1/2×(無段階切替可能)
ファインダー ペンタプリズム式ファインダー
フレネルレンズ クロスマイクロプリズム付
像倍率:標準レンズ50mm=0.89倍・55mm=等倍
視野率:約93%、視度:-1ディオプトリー
オート電子シャッターの時ファインダー窓遮蔽可能
シャッター フォーカルプレーンシャッター(オート電子シャッターおよびメカニカルシャッター切替可能)
シャッターボタン ロック付
オート電子シャッター=8~1/1000秒(連続無段階) ファインダーブラインド装置内蔵
メカニカルシャッター=B・1/60(X)・1/125・1/250・1/500・1/1000秒
液晶表示 なし
ストロボ 内蔵ストロボなし
フィルム送り 巻上げ:レバー式(160°分割巻上げ可能 予備角10°)、巻上げ完了表示装置付
巻戻し:クランク式、巻き戻し完了表示装置付
電源・電池 1.5V銀電池G-13型 4個(エバレディS76EあるいはマロリーMS-76H)
大きさ・重量 50mmF1.4付…143×98×91mm 931g(電池約10g)
50mmF1.8付…143×98×90mm 880g(電池約10g)
その他 ボディ外装仕上げ:ブラックとクロームの2種
発売年月 1973年06月
発売時価格 62,000円(ボディのみ)
84,000円(SMCタクマー50mmF1.4レンズ付)
76,000円(SMCタクマー50mmF1.8レンズ付)
写真のレンズは「SMC TAKUMAR 1:1.4/50mm」です。PSマウント(M42)のレンズですが、このレンズが最終タイプとなり、このあと「Kマウント」レンズに変わります。このあたりのレンズは経年変化による色やけ(薄茶色)も比較的少なく、良好な状態のものが多いと思います。前述の、連動させるための突起があるためにマウントアダプターによって他のボディで使用するときに、干渉してしまうことがあるのが残念です。写りについては、定評があります。
タムロンでは「ESⅡ」用のアダプトールが作られていましたので、タムロンマクロ「SP90mmF2.5」などをつけて写すこともできます。