むしゃむしゃ

なんでも奥歯でゆっくりむしゃむしゃ

鈍感力

2007-04-20 | 本 むしゃむしゃ
鋭さとか繊細さに注目しがちな視点を鈍感さに向けられる本。

鈍感だという言葉がマイナスイメージを帯びているのは
自分が「鋭いね」って言われたのと「鈍感だね」って言われたときの
気持ちを想像すればなんとなくわかると思う。

自分の勝手な解釈で
完全にわけることは難しいけど
鈍感力には「肉体的鈍感力」と「精神的鈍感力」があって

肉体的鈍感力はウイルス耐性とか5感の鈍さとか。

例えば、ウイルス耐性は旅行先で同じもの食べたのに1人だけ食中毒にならないとか
みんなで野宿したのに1人だけ風邪ひかないとかね。
5感の鈍さは蚊に刺されても気にならないとか
刺激的な味の食べ物(ハバネロとか)も食べられるとか。


精神的鈍感力はストレス耐性とか環境適応能力に言い換えられると思う。

ストレス耐性は、叱られてもそれをばねに頑張れたり
苦手な人間関係をそつなくこなせたり。
環境適応能力は、肉体的な面もあるように思いますが、新しい環境に楽しく馴染んでいけるか。今の時期なんか特にそれが試されている方多いと思います。


今なぜこの「鈍感力」が注目されるのか。

肉体的鈍感力はいまさら注目される内容でもないかと思います。
まぁハバネロをばりばり食べる人は体の構造が違うんだな
ってことがわかったので今後は無理して食べるのやめようってくらい。

あと5感の話で面白かったのは、感覚が鋭すぎると不便であるということ。

眼がよすぎて疲れるとか
耳がよすぎて幻聴のようなものが聞こえるとか
味がわかり過ぎて食を楽しめないとかね。

やっぱりなんでも「過ぎる」のは良くないみたい。


注目すべきは精神的鈍感力のほうだと個人的には思います。

近年起こる問題は精神的に敏感になることに起因していることが数多いように思います。

例えば恋愛に敏感になり過ぎて、相手の行動一つ一つが気になりストーキング行為に発展することもあると思う。
ストレス社会って言葉に表されるようなストレスに敏感な世の中で、会社の採用基準にストレス耐性が入るくらいです。圧迫面接の趣旨もそこにありそうです。
学校や職場あるいは家庭内での人間関係への敏感さは、いじめ問題や転職あるいは家庭内暴力や幼児虐待などを引き起こすこともあると考えられます。


こう考えると精神的鈍感力が注目される理由もなんとなくわかります。

ただ良く考えれば、現代は物事に敏感になる余裕があるんだと思う。

仕事にしても、昔は生活のために一生懸命働くことが第一だったと思うけど
今は生活の余裕もあり、自分でやりたいことを選択して、やりがいに敏感になって職を探せる。
ニートやフリーターの出現はある意味日本の生活水準が上がったことを示している現象にもとれる。働かなくても生きていけるんだから。

話がそれたけど
要するに世の中や人間がいろんなことに敏感になってきたから、今「鈍感力」が注目され始めたんだと思う。

情報に関しても、今その気になれば、多くの情報がメディアを通じて瞬時に手に入れられる状態にあります。
そこで情報に対して敏感過ぎると、あれもこれも流行を追わないと落ち着かなくなり不安にさえなります。
本当に自分に必要な情報だけを選択して、不必要な情報に「鈍感力」フィルタをかけるのが
これから大切な能力ではないかと思います。



「鈍感だね」が口説き文句になる日が近いかも。


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