直木三十五記念館の日々

直木賞にその名を残す直木三十五の記念館は市民参加型のミュージアム。運営の悪戦苦闘をストレートにお伝えします。

美章園温泉の顛末

2008年02月19日 | Weblog
 結論的に申し上げれば例の美章園温泉であるが、解体で姿を消す事が決定した。前出の建築家Uさんは話をしてみると銭湯文化を云々とおっしゃるが生活様式が大きく変化しているので単純にはいかないと考える。
 建物は残す、銭湯は続けるではますます困難な課題を積み上げるようなものである。所有者が賛同できる代替案を持って交渉にいくべきであると主張したのはR紙であるが、確かに数々の事例から考えての発言かと思う。しかしながら代替案をすぐに考え付くはずもないであろうし、ましてやUさんはなんもかもそのまま存続することを第一に考えておられる様子。
 かくしてなす術もなく解体当日を迎えたのである。前日に大阪市教育委員会の方が所有者に了解をとって実測に入ると聞いたのでこの機会でしか中を見ることは難しいと考え厚かましいながら同行させていただく。一階もさることながら閉鎖されていた二階も素晴らしい。加えてベランダや屋上まで含めて中々の建築物である。二階部分は充分にギャラリーや高級レストランにコンバージョン可能であるように思った。
 同時にこれだけの建物を個人で所有することの難しさも感じた。今後繰り返されるこの手の建物の解体や町並みの保存を目的にして公益信託を作ることはできないであろうか。個人の限界は多くの人の思いで乗り越えていけはしないであろうか。