はまあるきの東屋

 ブログ、ホームページ、釣、畑、ハイキング、園芸、読書など趣味の多い壮年の精神科医師です。奇麗な写真をおみせします。

人と犬がネアンデルタール人を絶滅させた

2016-02-07 21:28:06 | 読書


 非常に面白い本を紹介させて戴きます。
 これはあくまでも仮説です。
 完全に証拠が固められていません。
 しかし、相当に私もそうありうると思わされました。

人と犬がネアンデルタール人を絶滅させた
パット・シップマン著
原書房
2400円+税
2015年

 文章を一部抜書きして紹介にかえます。
 抜書きすることによって、著者に趣旨が曲げられることも確かにあるので、
その点も気を付けながら、抜書きします。
 
 「私が言いたいことは、現生人種は生物史上最も侵入的な生物だということだ。」
 「・・・『現生人類の登場のあとには例外なく動物相の崩壊をはじめとる
生態学的変化が生じるという、世界的なパターン』が存在するのである。」
 「・・・ネアンデルタール人の核DNAは現代人の既知の核DNAと
共通する部分があったのだ。しかしその重なりはわずか1~4%で・・・」
 「・・・ネアンデルタール人は4万年前以降はおそらく生存しておらず、
生存していたとする主張はすべて間違った年代測定にもとづいている・・・」
 「・・・ネアンデルタール人は投げ槍を放ったり弓矢を射るのではなく、
槍をもって獲物に突き刺したり、獲物と組み合って倒していた・・・」
 「ネアンデルタール人が出土する層と現生人類が出土する層に見られる
動物化石に大きな違いはなく、どちらも陸上動物に強く依存していたのである。」
 「どちらのヒト属にしても、たとえ10人ほどの小さな集団でも、
おそらく約30平方キロ以上の広大な面積が必要であった。」
 「ゴイエ洞窟(ペルギー)のイヌは、オオカミと先史時代のイヌと広く
認められている標本の中間に入る。」
 「・・・オオカミイヌ(wolf-dog)と同定された化石のほとんどすべては、
狩猟法の大躍進が起きたことの証拠となる並外れた規模のマンモス骨の
出土の大型遺跡で出土している。」
 「そして最後まで生きながらえていたネアンデルタール人も、
このオオカミイヌの力を借りた狩猟によって絶滅に追いやられたのではないだろうか。」
 「もうひとつオオカミイヌが大きな役割を果たしたのではないかと考えられるのは、
獲物の死体を見張って他の捕食者にうばわれないようにすることだ。」
 「イヌは人間から食物を与えられるため食糧不足にさらされることなく、
さらにほかの肉食動物による攻撃や競争からも保護される。」
 「東京工業大学の幸島司郎と小林洋美は実際にこの特徴を分析し、
現生人類に非常に目立つ白い強膜と強膜のほとんどを露出させる瞼があることは、
現存する霊長類のなかでも独特であることを明らかに。」
 「オオカミに似たイヌ科動物の中で群れで狩りをする種はすべてAタイプの
顔面色彩(光彩が明るく、顔の気が明るい)だが、吠え声でコミュニケーションをとる
ディンゴと、同種の仲間の先端が白い尾を振って合図を送るリカオンは例外だ。」
 「今日の人間は飼い犬の目を見てその感情を『読み取る』のが大好きだ。
それは心のふれあいでもある。イヌも同じように人間を思い、
コミュニケーションをとろうとして人間の目を見つめるのだろう。」