日本香堂が販売するろうそくについて、すすの量が90%少ない、消したときの臭いが50%少ないと表示したのは、不正競争防止法の「品質等誤認表示」および「営業誹謗行為」に当たるとして、カメヤマが訴えていた裁判の控訴審判決が4月28日に大阪高裁で出ています。
◇
●当事者
カメヤマ株式会社・・・1審原告
株式会社日本香堂・・・1審被告
大阪地裁判決の敗訴部分をそれぞれ控訴したので、高裁ではどちらも「控訴人兼被控訴人」
●訴えた内容
カメヤマは、日本香堂が販売するろうそくについて、
・燃焼時に発生するすすの量が90%減少
・火を消したときに生じる臭いが50%減少
などと表示していることは、
・不正競争防止法2条1項13号(品質等誤認表示)、
・同14号(営業誹謗行為)
に該当すると主張して、以下を求めた。
・上記表示や表示をした商品の販売などの差し止め
・上記表示の廃棄
・損害賠償3000万円の支払い
・謝罪広告の掲載
●裁判所の判断
【消し臭50%減少の根拠は信用性が低い】
日本香堂は、消したときの臭いは気化したパラフィン類の臭いであり、パラフィン類の属する炭化水素系の臭いの臭気指数相当値は50%強カットされていると主張している。
しかし、その根拠となる日本香堂の実験でサンプルとされた気体の臭いの類似度を見ると、以下のようになっている。
・従来品
炭化水素系9.2%、アルデヒド系35.0%、エステル系12.6%、アンモニア系12.1%、有機酸系10.8%
・新商品
炭化水素系12.8%、アルデヒド系27.5%、エステル系27.5%、アンモニア系10.5%、有機酸系11.4%
上記によれば、炭化水素系に属する気化したパラフィン類の臭いよりも、むしろアルデヒド系やエステル系の臭いに近いものと考えられ、消し臭が気化したパラフィン類の臭いであることと明らかに矛盾している。
全体としての臭いの強度を示した臭気指数相当値では、従来品が36.3、新商品が31.7であり、日本香堂の新商品は約13%減少したにとどまるということができる。
以上により、消した臭いが50%減少していると認めることはできない。
【すす量90%減少について】
省略
※原審で出た判決がそのまま控訴審でも通っているようですが、原審を見つけられず、どのように検証したかが分かりませんでした。「品質等誤認表示」と判断されているようなので、90%減少しているとは認められなかったものと思われます。
【損害額の算定】
(1)信用毀損に係る損害 → 0円
(2)営業上の損害 → 300万円
(3)有形損害 → 413万1259円
(1)について
日本香堂の行為は、「品質等誤認表示」に当たるが、このことから直ちにカメヤマの信用が毀損されたということはできない。
(2)について
一般消費者は、日本香堂の新商品は従来品に比べてすす90%、消し臭50%減少していると信じて新商品を購入し、これと競合するカメヤマの商品を購入しないという消費行動をとることがあるものと推認され、これを覆すに足りる証拠はない。
カメヤマがいくらの損害を受けたかについては、これを認定するに足りる的確な証拠がなく、その額を立証するために必要な事実を立証することが極めて困難なものであるといえる。
したがって、日本香堂の品質等誤認表示の態様、カメヤマの市場占有率(50~60%)などを考慮して、原告の損害額は300万円であると認めるのが相当である。
(3)について
内訳は、人件費150万円、環境保全事業団への実験委託費150万4146円、機材費3万6960円、調査活動費0円(認められなかった)、ろうそく購入費9万0153円、弁護士費用100万円。
(上記内訳の額が認められた根拠は省略)
●結論
・日本香堂は、カメヤマに対して713万1259円とその利息(年5%)を支払え。
◇
日本香堂のホームページを見ると、50%、90%との表示はなく、「油煙減少、消しニオイ減少。従来のローソクと比べて、仏壇・神棚を汚すとされている油煙(スス)を少なくした、画期的なローソク」と書かれていました。
H17. 4.28 大阪高裁 平成16(ネ)2208 不正競争 民事訴訟事件(最高裁判所HP)
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●当事者
カメヤマ株式会社・・・1審原告
株式会社日本香堂・・・1審被告
大阪地裁判決の敗訴部分をそれぞれ控訴したので、高裁ではどちらも「控訴人兼被控訴人」
●訴えた内容
カメヤマは、日本香堂が販売するろうそくについて、
・燃焼時に発生するすすの量が90%減少
・火を消したときに生じる臭いが50%減少
などと表示していることは、
・不正競争防止法2条1項13号(品質等誤認表示)、
・同14号(営業誹謗行為)
に該当すると主張して、以下を求めた。
・上記表示や表示をした商品の販売などの差し止め
・上記表示の廃棄
・損害賠償3000万円の支払い
・謝罪広告の掲載
●裁判所の判断
【消し臭50%減少の根拠は信用性が低い】
日本香堂は、消したときの臭いは気化したパラフィン類の臭いであり、パラフィン類の属する炭化水素系の臭いの臭気指数相当値は50%強カットされていると主張している。
しかし、その根拠となる日本香堂の実験でサンプルとされた気体の臭いの類似度を見ると、以下のようになっている。
・従来品
炭化水素系9.2%、アルデヒド系35.0%、エステル系12.6%、アンモニア系12.1%、有機酸系10.8%
・新商品
炭化水素系12.8%、アルデヒド系27.5%、エステル系27.5%、アンモニア系10.5%、有機酸系11.4%
上記によれば、炭化水素系に属する気化したパラフィン類の臭いよりも、むしろアルデヒド系やエステル系の臭いに近いものと考えられ、消し臭が気化したパラフィン類の臭いであることと明らかに矛盾している。
全体としての臭いの強度を示した臭気指数相当値では、従来品が36.3、新商品が31.7であり、日本香堂の新商品は約13%減少したにとどまるということができる。
以上により、消した臭いが50%減少していると認めることはできない。
【すす量90%減少について】
省略
※原審で出た判決がそのまま控訴審でも通っているようですが、原審を見つけられず、どのように検証したかが分かりませんでした。「品質等誤認表示」と判断されているようなので、90%減少しているとは認められなかったものと思われます。
【損害額の算定】
(1)信用毀損に係る損害 → 0円
(2)営業上の損害 → 300万円
(3)有形損害 → 413万1259円
(1)について
日本香堂の行為は、「品質等誤認表示」に当たるが、このことから直ちにカメヤマの信用が毀損されたということはできない。
(2)について
一般消費者は、日本香堂の新商品は従来品に比べてすす90%、消し臭50%減少していると信じて新商品を購入し、これと競合するカメヤマの商品を購入しないという消費行動をとることがあるものと推認され、これを覆すに足りる証拠はない。
カメヤマがいくらの損害を受けたかについては、これを認定するに足りる的確な証拠がなく、その額を立証するために必要な事実を立証することが極めて困難なものであるといえる。
したがって、日本香堂の品質等誤認表示の態様、カメヤマの市場占有率(50~60%)などを考慮して、原告の損害額は300万円であると認めるのが相当である。
(3)について
内訳は、人件費150万円、環境保全事業団への実験委託費150万4146円、機材費3万6960円、調査活動費0円(認められなかった)、ろうそく購入費9万0153円、弁護士費用100万円。
(上記内訳の額が認められた根拠は省略)
●結論
・日本香堂は、カメヤマに対して713万1259円とその利息(年5%)を支払え。
◇
日本香堂のホームページを見ると、50%、90%との表示はなく、「油煙減少、消しニオイ減少。従来のローソクと比べて、仏壇・神棚を汚すとされている油煙(スス)を少なくした、画期的なローソク」と書かれていました。
H17. 4.28 大阪高裁 平成16(ネ)2208 不正競争 民事訴訟事件(最高裁判所HP)